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老人ホームなのに人がいない?「住宅方有料老人ホーム」とは

ファイナンシャルフィールド / 2019年1月8日 8時19分

老人ホームなのに人がいない?「住宅方有料老人ホーム」とは

鹿児島県の有料老人ホームで、1ヶ月半の間に6人の入居者が相次いで亡くなり、ニュースとなりました。この施設では介護職員が全員退職してしまい、夜間は施設長しか常駐していなかったとのことで、県が立ち入り検査を行い、実態の把握に乗り出しています。   老人ホームなのに介護職員がいない、というと驚きますが、この施設は「住宅型有料老人ホーム」となっており、「介護職員が何名以上いなければならない」という規定はないのです。   「住宅型有料老人ホーム」はどんなものなのか、見ていきましょう。  

有料老人ホームには2つのタイプがある

国が定める規定では、「有料老人ホーム」の定義は「老人を入居させ、次のいずれかのサービスを提供する施設」となっています。
 
そのサービスとは、(1)介護、(2)食事の提供、(3)家事(洗濯、掃除など)の提供、(4)健康管理の4つで、このうちのどれか1つ以上を提供していればよいことになっています。
 
介護を提供している施設は、「介護付き有料老人ホーム」となります(以下、「介護付き」)。介護は提供しておらず、そのほかの3つのうちのいずれか1つ以上を提供している施設を、「住宅型有料老人ホーム」と言います(以下、「住宅型」)。
 
つまり、介護を提供していない老人ホームは「住宅型」となり、介護職員配置基準についても特にありません。冒頭に挙げたニュースの状況も、それ自体では法令違反にならないのです。
 
入居者は介護が必要になったら、外部の訪問介護事業者と介護保険サービスの利用契約を結び、ヘルパーさんに来てもらうことになります。「住宅型」は、介護を別建てで利用するわけです。
ただ、実態は異なり、「住宅型」にはヘルパーを派遣する訪問介護事業所が併設されていることが多いため、介護職員が常駐していることがほとんどです。
 
そのため、一見すると「介護付き」と変わらないような雰囲気で、見学に行っても確認しなければ、どちらのタイプか見分けがつかないでしょう。
 

住宅型有料老人ホームは内容をよく見て

「介護付き」は介護がセットになっており、常に介護サービスを受けることができます。規定以上の介護職員が常駐し、いつでも介護を受けられる状態ですので、本人はもとより家族も安心です。
 
それに対し、「住宅型」では、事前に依頼してある時間しか介護職員による介護を受けられません。自宅で暮らしている場合は事前に依頼してある日時にヘルパーさんが来てくれますが、それと同じ仕組みです。
 
「介護付き」はいつも介護サービスをフルに利用するのに対して、「住宅型」では必要な部分だけ介護サービスを利用することになります。
 
介護サービスは、介護保険から費用が出るとはいっても、1割(所得によっては2割または3割)の自己負担が必要です。そのため、「住宅型」は介護をそれほど必要としない人の場合、費用を抑えられるというメリットがあります。さらに、まだ介護保険を使っていない人でも入居できます。
 
逆に、介護保険の利用枠以上に介護が必要になると、その部分については全額が自己負担となり、大きな出費となってしまいます。
 
この点を考えると、「住宅型」は比較的、要介護の程度が低い人向けの施設と考えられます。ただ、もとから一定のサービス費を徴収していて、介護保険以上の介護をしてくれる「住宅型」もあります。
 
このように、「住宅型」は、施設によって運営の体制にかなりの違いがあります。
 
私が今まで見てきた経験で言えば、料金が高く、手厚い介護をしている高級な施設は「住宅型」が多かったです。一方、料金が安く、必要最低限のサービスに抑えている施設も、「住宅型」に多くありました。
 
「住宅型」は、高いところもあれば安いところもあり、よい施設もあれば、あまりおすすめできない施設もあります。「介護付き」よりも施設による違いが大きいだけに、入居を検討する場合は、見学や体験入居で状況をよく確認することが大切です。
 
Text:村井 英一(むらい えいいち)
国際公認投資アナリスト
 
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