夫が急逝し今後の生活が不安です…今まで夫の年金「月20万円」で生活していましたが、これからはどうすればよいのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月8日 4時10分
老後の生活費を配偶者の年金からおもに支出している場合、配偶者が急に亡くなるとその後の生活費に不安を感じる方もいます。しかし、条件を満たしていれば遺族年金を受け取れる可能性もあるため、チェックしておきましょう。 遺族年金で受け取れる金額は、配偶者の年金額や自身の年金受給状況などによって左右されます。今回は、遺族年金の概要や受給できる金額などについてご紹介します。
遺族年金とは
一定条件に該当している方が亡くなった際、遺族は遺族年金を受け取れる可能性があります。各遺族年金の受給条件は表1の通りです。
表1
条件(亡くなったタイミング) | 受け取る方 | |
---|---|---|
遺族基礎年金 | ・国民年金加入期間中 ・国民年金の被保険者かつ60~65歳未満で住所は日本国内 ・老齢基礎年金の受給権を有していた ・老齢基礎年金の受給資格を満たしていた |
死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族 ・子どものいる配偶者 ・子ども |
遺族厚生年金 | ・厚生年金加入期間中 ・厚生年金加入期間中に初診日を有するけがや病気が原因で初診日から5年以内 ・1級か2級の障害厚生(共済)年金を受給中 ・老齢厚生年金の受給権を有していた ・老齢厚生年金の受給資格を満たしていた |
死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方 1.子どものいる配偶者 2.子ども 3.子どもがいない配偶者 4.両親 5.孫 6.祖父母 |
出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」、「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」を基に筆者作成
亡くなった本人の条件は、表1のどれかに該当していれば適用されます。また、「子ども」とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、もしくは障害年金の障害等級1級または2級に該当する20歳未満の方です。
配偶者が亡くなったときに受け取れる年金額
遺族基礎年金に該当する場合は、令和6年4月分から、昭和31年4月2日以後生まれの方なら81万6000円、昭和31年4月1日以前生まれなら81万3700円に子どもの人数に応じた金額が加わります。子どもの加算額は、2人目までが各23万4800円、3人目以降は各7万8300円です。
一方、配偶者が亡くなって自身も老齢厚生年金の受給権を有しているケースでは、「夫や妻の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3」か「夫や妻の老齢厚生年金の報酬比例部分の半額と自身の老齢厚生年金額の半額を足した金額」のうち、多い方が遺族厚生年金の支給金額になります。報酬比例部分は、老齢厚生年金を計算するときの基礎となる金額です。
なお、日本年金機構によれば、65歳以上で老齢厚生年金と遺族厚生年金を受給する権利がある場合は老齢厚生年金が支給されることになり、遺族厚生年金は老齢厚生年金より年金額が高い場合にその差額を受給することができます。遺族厚生年金よりも老齢厚生年金の方が高い場合は、遺族厚生年金は全額支給停止となります。
子どものいない夫婦で夫が亡くなったケースで仮定して、受給できる金額を求めてみましょう。条件は以下の通りです。なお、報酬比例部分と老齢厚生年金額は同じとします。
・夫は老齢基礎年金が月6万8000円、老齢厚生年金が月13万2000円の合計年金受給額月20万円
・妻は老齢基礎年金の月6万8000円のみで、専業主婦のため老齢厚生年金はなし
今回のケースだと、老齢厚生年金の13万2000円を基に支給金額が計算されます。月13万2000円だと、年間で158万4000円です。妻の老齢厚生年金はないため、受給できる遺族年金額は「158万4000円×4分の3」で、118万8000円となります。
これに、妻の老齢基礎年金月6万8000円、年間81万6000円が加わるため、夫が亡くなったあとの年金額は200万4000円、月額換算で16万7000円です。
配偶者が亡くなったときは遺族年金を受給できる可能性がある
配偶者の年金で生活を支えてもらっている状態で配偶者が先に亡くなると、遺族年金を受給できるケースがあります。ただし、子どもが成人していたりそもそも子どもがいなかったりすると、遺族基礎年金は受給できません。遺族厚生年金は、配偶者なら子どもがいなくても適用されます。
実際に受け取れる金額は、遺族厚生年金のみだった場合、亡くなった方の年金額により変動するため、受け取れる金額を計算する際は注意が必要です。また、配偶者が亡くなり自身も年金があるときは、自分の老齢厚生年金額によっても金額が変わります。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 年金の併給または選択
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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