今年は医療費が「8万円」ほどになりそうです。10万円を超えていなくても「控除が受けられる」と聞いたのですが本当ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月8日 5時0分
持病があり通院が多い方だと、1年間の医療費が数万円になるケースもあるでしょう。医療費が10万円を超えると、医療費控除の対象です。しかし、状況によっては10万円に満たなくても税金控除を受けられるケースがあります。 今回は、医療費控除の概要や対象、医療費が10万円以下でも控除される場合などについてご紹介します。
医療費控除とは
医療費控除は、1年間に自分か生計を同一とする配偶者や親族のために医療費を支払った場合に適用される控除です。医療費控除は金額が決められており、以下の式で控除額を求められます。
・(実際に支払った1年間の医療費の合計額-入院給付金や高額療養費などからまかなわれた金額)-10万円
全体の金額から10万円を引いて算出するため、自分または配偶者やその他の親族のために支払った分も含めて1年間の医療費が10万円以内であれば医療費控除の対象にはなりません。
さらに、該当年度の総所得などが200万円未満の方は、10万円ではなく総所得金額等の5%を引いて求めます。例えば、総所得が150万円だったときは7万5000円を超えていれば医療費控除の対象です。
医療費控除の対象
国税庁によると、医療費控除の対象になる項目は以下12種類です。
1. 医師や歯科医師による診療や治療費
2.治療や療養に必要な医薬品の購入費
3.病院や介護保険施設、助産所などへ収容されるための施設利用料
4.あん摩マッサージ指圧師やはり師、きゅう師などへの施術費
5.保健師や看護師、准看護師もしくは特に依頼した方への療養上のサービス費
6.助産師による分べんの介助費用
7.介護福祉士などによる一定の喀痰吸引および経管栄養などの費用
8.介護保険などの制度で提供された一定の施設や居宅サービスの自己負担費用
9.医師などによる診療や治療、施術もしくは分べんの介助を受けるために直接必要な費用
10.日本骨髄バンクへ支払う骨髄移植のあっせんに関する患者負担の費用
11.日本臓器移植ネットワークへ支払う臓器移植のあっせんに関する患者負担の費用
12.高齢者の医療の確保に関する法律に規定する一定の積極的支援に限った範囲の特定保健指導のうち一定基準に当てはまる方の自己負担費用
なお、健康診断の費用や医師への謝礼金、治療や介護などの目的以外で使われたお金は対象になりません。また、病気の状態などに対して一般的とされる金額を大幅に超えない範囲ともされています。もし自身の医療費が対象になるか分からないときは、専門家や税務署などに相談するのがおすすめです。
医療費の控除が10万円以内でも利用できるケースとは
先述したように、総所得が200万円以内なら10万円に達していなくても医療費控除の利用が可能です。ほかに医療費が10万円に達していなくても利用できる制度に「セルフメディケーション税制」があります。
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進および疾病の予防を目的とした一定の取り組みを行っている方が、同じ年に自分または生計を同一とする配偶者や親族のために特定の一般用医薬品などを1万2000円を超えて購入している場合に利用できる控除制度です。最大で8万8000円が控除されます。
例えば、健康診断を受けており、風邪や頭痛を治すためなどで医薬品を1年間で8万円購入してレシートも保管していれば、1万2000円を引いた6万8000円が控除されます。
なお、セルフメディケーション税制を利用するためには、特定医薬品を購入したり予防接種や健康診断を受けたりしたときのレシートや領収書、結果通知表の保管が必要です。また、医療費控除とセルフメディケーション税制の併用はできません。
10万円以内でも医療費控除を受けられるケースがある
医療費控除は、対象になる項目に支払った費用かつ10万円を超えていれば利用できる制度です。ただし、所得が200万円以下であれば、医療費が10万円以下でも医療費控除が適用されるケースもあります。
さらに、特定医薬品をおもに購入している方で医療費が10万円以下の場合は、セルフメディケーション税制の適用対象となる可能性があります。少しでも節税したい方は、制度を利用できないか確認しておきましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1122 医療費控除の対象となる医療費
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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