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定年で退職金「2000万円」を受け取った父。銀行から「投資」をすすめられたそうですが、いまさら必要ないですよね…?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月11日 4時30分

定年で退職金「2000万円」を受け取った父。銀行から「投資」をすすめられたそうですが、いまさら必要ないですよね…?

65歳で定年退職を迎え、2000万円の退職金を手にした父親が、銀行から「投資をしてみませんか?」とすすめられたとしたら、「いまさら投資? 本当に必要なの?」と戸惑う姿に、共感する人も多いのではないでしょうか。退職金の運用について、本当に正しい選択とは何かを考えてみましょう。

老後の生活費と年金を考える

退職金の使い道を考える前に、まずは老後の生活費と年金について把握することが重要です。
 

生活費はいくらかかる?

2023年に総務省が発表した「家計調査年報(家計収支編)」によると、65歳以上の二人以上世帯の平均消費支出は、26万1235円です。もちろんこれは平均額であり、実際の生活費は、年齢、健康状態、生活スタイルなど、人によって大きく異なります。
 
例えば、賃貸住宅だと家賃は半永久的にかかりますが、持ち家でかつ住宅ローンを完済していれば、住居費はかなり低く抑えられるでしょう。
 

年金はいくらもらえる?

65歳から受け取れる年金は、老後の生活を支える基盤となり、会社員であれば、老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。いくら受給できるかは、毎月支払っている保険料によって変わってきますが、夫婦二人の老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計した標準的な年金額は、平均で月額23万483円です。
 
実際の年金受給額は、加入期間や収入によって大きく異なってくるため、毎年送付されてくる「ねんきん定期便」で確認しておきましょう。
 

年金だけで足りる?

上記の金額はあくまで平均ですが、生活費と比べて年金だけでは月3万円以上も不足することが分かります。単純計算で年間約36万円の不足となり、この差額を退職金や預貯金で補う必要があります。
 

退職金の使い道

2000万円の退職金は、老後の生活を支える重要な資金源となります。その使い道について、いくつかの観点から考えてみましょう。
 

老後の生活費の補填

年金で賄えない生活費の不足分を補うのが、退職金の主な役割の1つです。先ほど計算した年間36万円の不足を、20年間補填(ほてん)するとすれば、720万円が必要となります。
 

緊急資金としての役割

平行して、緊急時の備えを確保しておかなければなりません。突然の病気や事故、家の修繕など、予期せぬ出費に備えて、ある程度の金額を流動性の高い預金などで用意しておく必要があります。一般的には、半年から1年程度の生活費を目安とすることが多いでしょう。
 

趣味や旅行など豊かな老後のための資金

老後を豊かに過ごすための資金も考慮に入れましょう。長年の夢だった海外旅行や、新しい趣味にチャレンジするなど、人生を楽しむための資金として退職金の一部を活用することも大切です。
 

退職金は投資したほうがいい?

さまざまな使い道が考えられる退職金ですが、投資にも回したほうがいいのでしょうか。
 

投資のメリットとデメリット

投資のメリットは、インフレに負けない資産運用ができることです。また、運用次第では元本以上の収益を得られる可能性もあります。一方、デメリットとしては、元本割れのリスクがあること。特に、株式市場の変動が大きい時期に投資をすると、大きな損失を被る可能性もあります。
 

リスクを避ける

65歳という年齢を考えると、リスクの高い投資は避けたほうが無難です。ただし、全ての投資が高リスクというわけではありません。低リスクの債券型投資信託や、元本割れリスクの少ない金融商品もあります。
 
重要なのは、自分のリスク許容度を正しく把握し、それに見合った投資方法を選択することです。
 

インフレへの対策

退職金を全額預金で持っておくと、今後のインフレにより実質的な価値が目減りしていく可能性があります。そのため、インフレに負けない程度の運用を検討することも一案です。退職金の一部を個人国債のような低リスクなものに振り分けるなど、安全性を重視しつつもインフレに対応できる運用方法を考えることが大切です。
 

まとめ

生活費が年金で賄えるなら、退職金を無理に投資する必要はないかもしれません。ただし、将来的なインフレや予想外の出費を考えると、一部を安全な投資に回すのは有効です。
 
いずれにしても退職金の運用に正解はありません。それぞれの生活状況や価値観、リスク許容度によって最適な方法は異なります。退職金は、長年の労働の対価であり、これからの人生を支える大切な資金です。慎重に、そして賢明に活用していきましょう。
 

出典

総務省 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年) 家計の概要
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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