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引っ越しを考え中ですが、「UR物件」は家賃が安いんですか? 都内の物件は「10万円以上」するようなので、普通の部屋と変わらないように感じます…

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月11日 5時10分

引っ越しを考え中ですが、「UR物件」は家賃が安いんですか? 都内の物件は「10万円以上」するようなので、普通の部屋と変わらないように感じます…

賃貸物件の利用を検討している人は、CMでおなじみの「UR物件」が気になる人も多いのではないでしょうか。しかし、実際に「UR物件」の家賃や立地、あるいは一般的な賃貸物件との違いなどを理解している人は少ないでしょう。   本記事では「UR物件」がどういうものなのか、一般的な賃貸物件と家賃を比較しながら、そのメリット・デメリットを解説します。賃貸物件を探している人は、ぜひ参考にしてください。

UR物件とは

「UR物件」とは、1955年設立の日本住宅公団を前身とする「独立行政法人都市再生機構」が管理・運営する賃貸住宅です。日本住宅公団は戦後の住宅不足解消を目指した公的機関であり、都市再生機構もその性質を受け継ぎながら、賃貸住宅以外に都市再生事業や災害復興支援などにも取り組んでいます。
 
管理する物件は、団地から比較的新しいタワーマンションまでさまざまですが、物件をリノベーションしたり、リフォームしたりしているのも大きな特徴です。物件数は全国に約70万戸あり、大半が抽選なしの先着順受付先となっています。
 

UR物件の家賃は安いのか?

公的機関が運営しているため、比較的安いイメージを持つ人が多いUR物件ですが、実際に民間の賃貸物件に比べて家賃は安いのでしょうか。
 
1つの例として、世田谷区の空き室を調べてみましたが、1LDKはすべて10万円台です。一方、民間の賃貸物件であれば、同じ世田谷区の同じ間取りで、10万円を切るものから20万円を超えるものまで、幅広く数多くの物件があります。
 
また、ピンポイントで比較するため、あるJR駅周辺の「築20年以内、駅徒歩10分以内、50平方メートル以上、1LDK」で検索してみました。するとUR物件の家賃が10万円後半だったのに対し、民間の賃貸では10万円前半の物件が多く見つかるという結果でした。
 
同じエリアの物件でもグレードや間取り、立地の微妙な違いなどもあり一概には言えませんが、UR物件は「家賃に大きな魅力がある」とは言えないようです。
 

UR物件のメリット

家賃が安いとは言えないUR物件ですが、図表1のとおりメリットは別のポイントにあります。
 
図表1

図表1

UR賃貸住宅 UR賃貸住宅とは
 
まず、最大のメリットとして、仲介手数料や礼金がかからず、初期費用が安く済むことが挙げられます。民間の賃貸物件では、不動産会社に対して仲介手数料を「家賃0.5~1ヶ月分+消費税」を上限として支払わなければなりません。中には値引きする不動産会社もありますが、法律でも規定されており、大半の物件には必要な経費です。
 
さらに、大家さんへの謝礼的な意味合いがある「礼金」も、UR物件では必要ありません。礼金は通常家賃の1ヶ月程度ですが、仲介手数料とともに不要となることで、家賃の1~2ヶ月分程度初期費用が安く済みます。
 
初期費用以外にも、契約の更新料も無料です。民間の物件でも更新料が必要な物件は半数程度ですが、必要な場合は家賃の1ヶ月分ほどになります。また、申込みの際、保証人が不要な点も大きな特徴です。都会の一人暮らしなどで親族が近くにいない場合などは、小さくないメリットと言えるでしょう。
 
また、1ヶ月単位の家賃では魅力が少ないUR物件ですが、図表2のとおり賃借人の状況に応じたさまざまな家賃プランがあります。例えば、子育て世帯に優しい「子育て割」「そのママ割」、あるいは子育て世帯と親世帯が近くに住む際に利用可能な「近居割」などは、該当する人には魅力的な家賃プランでしょう。
 
ほかにも35歳以下の人が利用可能な「U35割」もあり、多くの年齢層に向けてプランを用意しています。
 
図表2

図表2

UR賃貸住宅 便利な制度
 

UR物件のデメリット

一方、UR物件最大のデメリットは、入居可能な物件が少なく、地域によっては物件そのものが限られてしまうことです。
 
特に都心の物件は空きが少なく、2024年10月初旬時点でチェックしたところ、先着順ということもあり、東京23区内の空き室は80件ほどしか見当たりませんでした。そのため、急な転勤や引っ越しといった際の選択肢としては、かなり難しい印象です。
 
物件に目を移すと、比較的古い物件や、駅から遠い物件も多いことが挙げられます。また、古い物件の中には、和室が多く使いにくい間取りだったり、エレベーターなどの設備が十分でなかったりする物件もあるようです。そのため、実際に内見し、リノベーションの有無や使い勝手などを確認する必要があります。
 
さらに、収入要件の厳しさをデメリットに感じる人もいるでしょう。一般的な賃貸物件の収入要件は「家賃が月収の3分の1以内、あるいは年収の36分の1以内」です。
 
しかし、UR物件の場合、収入要件は図表3のとおり、基準月収が家賃の4倍、つまり「家賃が月収の4分の1以内」になります。家賃が8万2500円以上だと、月33万円の収入が必要なため、収入に不安のある人にとっては、気になるポイントでしょう。
 
図表3

図表3

UR賃貸住宅 お申込み資格 世帯で申込みの場合
 

まとめ

公的な機関が運営している「UR物件」は、賃貸時の初期費用がかからないといった一般の賃貸物件とは違う特徴があり、信頼性も十分にある物件です。しかし、家賃そのものは決して安いとは言えず、中には古い物件もあり、都心では空きが少ないといったデメリットがあります。
 
そのため、急な転勤などでの利用は難しいかもしれませんが、子育て世帯などにはうれしい家賃プランもあります。自分の世帯にメリットがあるのかをチェックし、条件が合えば利用を検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

UR賃貸住宅 賃貸マンション・大規模マンションの物件情報
 
執筆者:松尾知真
FP2級

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