自然災害が増えていますが、防災対策をなにもしておらず不安です……。防災対策を始めようと考えていますが、一般的な家庭では防災対策費用にどのくらいかけているのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月10日 22時30分
2024年は能登半島地震(1月)に始まり、宮崎県日向灘(8月)を震源とする地震や秋田・山形豪雨(7月)など、規模の大きな自然災害が次々と発生しています。それに伴い各家庭においては、災害に対する危機意識や防災対策にも、これまで以上に意識が向けられているように感じます。 そこで本記事では、防災対策に関する調査結果の概要や災害に関する用語などについて確認していきます。
高まる防災意識、対策費用は1人当たり平均2831円
株式会社インテージの「防災意識・行動を調査」(2024年7月実施、全国15~79歳の男女5000人対象)によると、家庭において「防災対策をしている」(自分もしくは家族が防災対策を実施)と回答した割合が全体の半数を超え、50.9%となっています(前回2023年8月調査と比較して、3.8ポイントの上昇)。
そして、「防災対策費用」として過去1年間にかけた費用は、1人当たり平均2831円となりました。
これは前回調査と比較すると、プラス779円と大幅な増加となっています。金額増の背景には、昨今の物価高による影響も多少なりともあると思われますが、全体としては防災意識の高まりと、防災対策実施率の向上の表れであると思われます。
また、自然災害をはじめとする「脅威」のなかで、最も不安を感じるのは「地震」(86.9%)となっており、次いで「猛暑(高気温)」が83.3%、「集中豪雨・大雨・暴風」が79.2%、「感染症や伝染病の爆発」で76.4%となっています。
さらに、自治体の防災対策として強化を希望するものとしては、「水・食料、生活必需品、薬などの備蓄倉庫の設置」の割合が41.3%と最も高く、次いで「生活再建支援制度(見舞金・援護資金・融資など)」が36.1%、「災害用のトイレの設置」が35.4%と続きます。
この調査結果から、石川県と富山県のデータのみを抽出してみると、最も割合が高いのは「災害用トイレの設置」で46.6%となっており、現実的にはトイレの利用における不便さが浮き彫りとなっています。
正しい情報を得るための災害に関する用語の知識
自然災害に関する用語はさまざまですが、ここ最近、これまではあまり聞いたことのない用語が多く聞かれるようになったと感じます。初めて聞く用語であることもありますが、それぞれの用語の響きが少し刺激的で、より恐怖心を喚起されるものが多いように思われます。
私たちはこれらの情報のみに一喜一憂するのではなく、常に正しい情報を得て、適切な行動をすることが重要と思われます。主な用語の定義について確認してみたいと思います。
(1)「線状降水帯」
次々と発生する発達した積乱雲が列をなし、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出された、線状に伸びる強い降水を伴う雨域です。
(2)「ゲリラ豪雨」
局地的に短時間で降る激しい豪雨のことを指します。規模が小さく、突発的かつ散発的に(ゲリラ的に)起こるため、事前に予測することが難しくなっています。
(3)「顕著な大雨に関する気象情報」
大雨による災害発生の危険度が急激に高まっているなかで、「線状降水帯」というキーワードを使って解説する情報です。この情報は、警戒レベル4相当以上の状況で発表されます。
(4)「記録的短時間大雨情報」
数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、観測したり解析したりしたときに発表されます。
(5)「キキクル(危険度分布)」
気象庁の大雨による災害発生(土砂災害、浸水害、洪水など)の危険度の高まりを地図上で確認できる「危険度分布」のことを指します。「キキクル」はその愛称です。
(6)「南海トラフ地震臨時情報」(宮崎県日向灘の地震後に初めて発表)
南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合や、地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価された場合に、気象庁から発表される情報です。マグニチュード6.8以上の地震等の異常な現象を観測した後、5~30分後に「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」などと、情報名の後にキーワードを付記する形で発表されます。
(7)「長周期地震動」
大規模な地震で発生する、周期の長いゆっくりとした大きな揺れ(地震動)です。「周期」とは、揺れが1往復するのにかかる時間です。長周期地震動が起こると、例えば高層ビルが大きく長く揺れることで、室内の家具などが転倒することや、エレベーターが故障することもあります。
(8)「正常性バイアス」
危険な状況であっても、ちょっとした変化なら「日常のこと」として処理してしまう人間心理のことです。災害時に陥りやすく、避難せずに逃げ遅れる原因となる場合もあります。
まとめ
大地震などの自然災害の発生時期や発生場所を正確に予測することは、ほぼ不可能ともいわれています。かたや気象予報や危機予測の精度は一段と高まり、これから発生する危機にある程度備えることも可能となってきています。2024年の大規模災害の発生場所を見ても、日本全国どこでも災害が発生する可能性があることが分かります。
平常時に最も重要となる行動の指針は、「正しい情報を基に、正しく備える」ことなのではないでしょうか。
出典
国土交通省 気象庁ホームページ
株式会社インテージ インテージ 防災意識・行動を調査
一般財団法人日本気象協会 tenki.jp 知る防災 ゲリラ豪雨のしくみ
内閣府 防災情報のページ 南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!
神戸市役所 正常性バイアス ~災害時にカギとなる心理作用~
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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