将来まで年金を保つ目的「マクロ経済スライド」って何?
ファイナンシャルフィールド / 2019年1月9日 23時0分
![将来まで年金を保つ目的「マクロ経済スライド」って何?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_33178_0-small.jpg)
老後の生活資金として重要な「公的年金」。この制度では、少子高齢化が顕著になることを想定して、将来まで年金制度を保つことを目的に「マクロ経済スライド」が導入されています。 しかし、「マクロ経済スライド」と聞いても「名前は聞いたことがあるが、何のことかは分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?この制度は、今から約15年前の2004年にスタートしています。 今回は「マクロ経済スライド」に焦点を置いて、年金について考えてみましょう。
マクロ経済スライドってそもそも何?
私たちの老後の生活の支えとなる「年金」。その年金の額を決定するにあたって、「マクロ経済スライド」というものが関係してきます。「マクロ経済スライド」とは一体何なのでしょうか?
私たちの年金は、毎年物価の上昇などが加味されて変動していきます。しかし、物価が上昇すると年金額も増えるため、支払う年金が増えてしまいます。
現在の日本は「少子高齢化」で、働き手が少なく、年金を支える現役世代の負担が増える一方です。そのため導入されたのが、「マクロ経済スライド」です。導入されたのは2004年ですが、初めて適用になったのは2015年のことです。
「マクロ経済スライド」は、「年金額の伸び」を調整する機能として重要な役割を果たしていますが、その仕組みについては次の項目で説明させていただきます。
「マクロ経済スライド」はいつ発動するの?
「マクロ経済スライド」は、単純に年金を減らすための政策ではありません。物価などが大きく上昇したときに、年金の増額を抑えるのが一番の役割です。それでは、物価が少し上がったり、下がったりしたら年金額はどうなるのでしょうか?
物価が少し上昇したときには、年金額が前年度よりも下がらないように調整がされます。また、物価が下がったときには、年金の額が前年度よりも減少しますが、それ以上はマクロ経済スライドによって調整されることはありません。
マクロ経済スライドが適用になるのは、物価が上昇したときとイメージしていただければよいかと思います。
2004年に導入されたマクロ経済スライドが、初めて発動されたのは2015年でした。それまでの10年間は物価が下落していたため、マクロ経済スライドを発動することはありませんでした。
来年はマクロ経済スライド発動?
では、2019年度はマクロ経済スライドが実施されるのかというお話ですが、現在のところ、実施される見通しが強いという意見が多くみられます。
その理由は、2018年度の物価上昇率(インフレ率)が1.2%と、前回のマクロ経済スライドが実施された前年の2014年の2.76%に次ぐ高水準となったこと、2015年にマクロ経済スライドが実施されて以降、マクロ経済スライドが実施されていないことの、2点が挙げられます。
その場合、いうまでもなく「年金の増加」よりも「物価上昇」の割合の方が大きくなり、年金は「目減り」してしまいます。そして、2015年度に適用された「払いすぎ特例措置」は今後いつ適用になるかも分からない状況です。
マクロ経済スライドが適用されたのは、今のところ2015年度の1回だけですが、今後は年金に関する改革が行われることも考えられます。来年10月には消費税が増税されますが、年金の増額は抑えられると予想されます。
今後は、年金のさらなる目減りも視野に入れた老後資金対策が必要になるのではないでしょうか。
出典
厚生労働省 「いっしょに検証! 公的年金」
Text:藤山 優里(ふじやま ゆうり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、第一種証券外務員
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