最新のシリコンバレーのトレンドを現地からレポート。新しいサービスは、人の生活や価値観をどう変えるのか?
ファイナンシャルフィールド / 2019年1月10日 23時30分
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アメリカ、シリコンバレーと日本のベンチャー企業を中心に投資を行う「Draper Nexus(ドレイパーネクサス)」。 北村マネージングダイレクターに、最新のシリコンバレーの状況と、そのトレンドが私たちの生活にどう影響を与えるか、お話を伺いました。
シリコンバレー3つのトピックス
はじめに、シリコンバレーの最近のトピックスを3つご紹介します。
1つ目は、従来どおり世界中のお金がシリコンバレーに集まっているということ。各国の企業がシリコンバレーに進出し、次のイノベーションを模索して、投資活動を行っています。シリコンバレーでは、お金が余っている状態が続いています。
2つ目は、カリフォルニア州の上場企業において、女性の取締役の設置が義務化されたということ。取締役の人数に応じて、女性取締役の数が決められます。この法律も絡めた、女性活用のトレンドは日本にもやってくると考えられます。
3つ目は、アメリカでのHIビザ(就業ビザ)の取得が厳しくなってきているということ。アメリカ政府による外国人就労の規制強化の流れです。
合わせて、外国人投資に関する規制が厳しくなってきています。軍事技術や、IT技術の中国への流出を念頭においてのものでしたが、その規制は中国だけでなく、日本を含めた外国企業全てが対象になっています。
以前から、外国人による企業買収は連邦政府による規制がありましたが、買収だけでなく、マイノリティー投資も連邦政府の承認を得なければならなくなりました。各国の企業が行っているシリコンバレーでの投資活動に、ブレーキがかかる恐れがあります。
新しいサービスが生活に与えるもの
今年の10月、サンフランシスコにも、レジで支払いをしなくても決済ができる「amazon go」がオープンしました。
「amazon go」を利用するには、まずamazonのアプリをダウンロードし、メールアドレス、クレジットカードを登録。その際に発行されるQRコードをかざして店内に入り、ショッピングをします。買い物が終わったら、そのままゲートを通過して退店。すると、登録したクレジットカードで自動的に決済され、メールアドレスに領収書が届く、という仕組みです。
店内には無数の監視カメラが設置されており、何の商品を手に取ったかamazonが認識しています。
このように、支払いを感じさせないサービスは他にもあります。シリコンバレーで欠かせない交通手段となった、「Uber」や「リフト」です。これらのアプリで配車すると、降車後に登録のクレジットカードで決済されます。そして、「amazon go」と同様にメールアドレスに領収書が届きます。
登録されたクレジットカードから自動で引き落とされる仕組みは便利ですが、お金を払う感覚がどんどん薄くなっていくという弊害があります。これが更に進むと、マシン同士での決済の時代になっていくと北村氏は指摘します。
例えば、冷蔵庫にアマゾンアレクサが搭載され、不足した食材を自動的に発注、登録されたクレジットカードで決済されるというものです。発注側も人ではなく、マシンになってきます。お金を払う感覚がなくなっていく分、使いすぎないように、お金をきちんと管理することが必要になってくるでしょう。
北村氏が注目する3つの投資分野
北村氏に、今注目している投資分野を3つお伺いしました。
1つ目は、決済に関連するサービス。オンラインでの決済はさらに増えていきます。新しい決済技術や、決済のオプションを提供するサービスは注目のマーケットと言えます。
例えば、北村氏の会社の投資先に、旅行サイトでの決済時にローンを提供する会社があります。「ローンを活用すれば、旅行をアップグレードすることが可能ですよ」と、オンライン上で提案してくれます。ユーザーはより良い旅を手に入れることができ、旅行サイトにとっては単価があがる可能性があります。この会社は、順調に業績を伸ばしているようです。
2つ目は、ビッグデータの時代における、さまざまなデータを統合するサービスです。信用できるデータかを精査したうえで、企業に必要なデータを複数から集め、使える状態に統合していくサービスです。
3つ目は、宇宙ビジネス。宇宙ビジネスといっても、有人宇宙旅行というわけではなく、宇宙から取得できるデータを活用するビジネスです。例えば、宇宙から世界のトウモロコシ畑の状況をリアルタイムで取得し、今後のトウモロコシの値動きを予想する、といったものです。このようなデータを、投資銀行が買っていきます。
新しい時代の価値観
「Uber」など、人々が物を所有せず共有して使う経済が進むと、物に価値を置かない文化が生まれてきます。物を自分が持たなくても、シェアリングサービスで十分事足りるわけです。
そうすると、「何か物を所有する代わりに、どこかに行こう」など、物から体験、経験に価値が移る可能性があるのではないかと北村氏は指摘します。細かい個人のニーズに対応した、驚くような体験や経験を提供するサービスが今後生まれてくるのかもしれません。
テクノロジーの進化による新しいサービスは、新しい文化を生み出すだけでなく、人々の生活の価値観をも変えていく可能性があると考えられます。
Text:FINANCIAL FIELD編集部
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