「遺言書を書き換えたい・・」本人が気をつけるポイントとは
ファイナンシャルフィールド / 2019年1月12日 9時30分
もし、遺言書を書いたとしたら、時間の経過とともに事情が変化し、以前に作成した遺言書を書き換えたい…。そう思うこともあるかもしれません。 しかし、遺言はその方式などが法律より厳格に定められています。遺言を書き換える前に、あらかじめ注意すべき点を把握しておきましょう。
訂正の方法に注意
遺言を書き換えると聞いたときに、多くの方がイメージされるやり方として、遺言書を直接訂正するという方法があります。去年書いた遺言書の「預金の1000万円は息子のAへ相続させる」を「預金のうち500万円を長男Aに、500万円を次男Bへ相続させる」と訂正するようなものだと思ってください。
ただ、遺言の訂正には署名押印が必要など、遺言の方式によって様式が厳密に定められています。(民法968条など)その様式に反する訂正は、無効となってしまうので注意してください。
本文の書き方に注意
遺言の内容ひとつであっても、些細な言い回しの違いで、相続が大荒れになってしまうということも少なくありません。記載する内容に注意することはもちろん、曖昧な記述は厳禁です。
また、数字の間違いなどがあっても、一度遺言が成立してしまうと、基本的にその間違った内容のまま有効とされてしまいます。数字など些細な記載ミスにも注意してください。
遺言間の優劣に注意
遺言には全文を自筆で自書する「自筆証書遺言」と、公証人の関与する「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があり、遺言同士で、その優劣が問題になることがあります。
たとえば、8月1日に作成された「Aには畑と山を、Bには財産を相続させる」という公正証書遺言と、12月1日に作成された「Aには家を相続させる」といった自筆証書遺言が、発見されたという場合です。
単純に考えてしまうと、公証人の関係する公正証書遺言を優先するように考えられます。しかし、2つの遺言の優劣に種類は関係なく、単純に日付の前後のみによって決定されます。
遺言同士で矛盾する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。(民法1023条)
上記の例でいうならば、12月1日に作成された自筆証書遺言が8月1日に作成された公正証書遺言よりも優先され、この遺言間において矛盾するAさんの相続財産については自筆証書遺言が優先されます。
それにより、Aさんは畑と山ではなく、家を相続することとなるのです。
また、遺言中の記載や、そのほかの方法による特段の意思表示のない限り、遺言間で矛盾のない部分(今回の例でいえば、後の遺言で特に触れられていないBさんの相続分)においては、前の遺言の効力は有効なままとなります。
ただ、作成に公証人が関わり、原本が役場に保存されている公正証書遺言を、本人がいつでも、どこでも任意に作成することのできる自筆証書遺言によって撤回してしまうと、納得のいかない相続人の間で新たな争いが発生するおそれもあるため、注意が必要です。
内容に注意
遺言に何を書くかは基本的に自由ですが、それと記載内容が法的効力を生じるか否かは、別問題です。法的効力が認められる事項(遺言事項)は、民法やその他の法律によって定められています。(民法902条など)
遺言によって実現させようとした内容が、実現できないという事態を防ぐためにも、遺言について書き直す際は、遺言事項についての確認も必要です。
遺言には最大限の注意を
遺言はその作成方法から執行の方法についてまで、法によって厳格に定められています。書き直しの方法ひとつとっても、それは同様です。遺言の効力をしっかり維持させるためにも、書き直しの際は、専門家やその他の相談機関に相談したうえで行うとよいでしょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
関連記事
■2019年1月から!今までよりも作成・修正しやすくなる自筆証書遺言
■相続法が変わったって知ってましたか? 先立たれた夫からの生前贈与について、どう変わったのか
■え?無効? 遺言書の【有効】【無効】の境界線はどこに
この記事に関連するニュース
-
「父の所有地」に自宅を建てた長男…父亡きあとに陥る〈悲劇〉を回避するには【行政書士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月8日 12時0分
-
相続トラブルを未然に防いで円満相続!熟練弁護士が解説する『もめない相続』発売
PR TIMES / 2024年9月3日 12時45分
-
相続財産が少額でも注意…相続争いに発展する「3つの典型トラブル」【弁護士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月2日 11時45分
-
自筆遺言書に潜むリスクとは? 実際にあった、京都のお家騒動から学べること
マイナビニュース / 2024年8月27日 11時0分
-
介護しなかった弟の妻が94歳母にコソコソ遺言書を書かせ財産を“横領”…粉骨砕身の71歳姉が泣き寝入りの訳
プレジデントオンライン / 2024年8月25日 9時15分
ランキング
-
1年齢のわりに老けて見える人は「化粧水」を間違えている…潤うどころか肌をヨボヨボにする「危険成分」の名前
プレジデントオンライン / 2024年9月22日 17時15分
-
2夏疲れは「ひざ裏」を伸ばすだけ「5秒ストレッチ」で解消【医師が解説】
ハルメク365 / 2024年9月22日 22時50分
-
3騒音や悪臭トラブル…やっかいな隣人への対処法。「役所に相談をしますよ」と直接交渉は危険、ひろゆきが考える“ズルい”言いまわし
日刊SPA! / 2024年9月22日 8時46分
-
4姿を消していたヒロミが旬芸人をしのぐ人気な訳 打ち切り「ジョンソン」の後釜番組のMCに座る
東洋経済オンライン / 2024年9月22日 11時0分
-
5現在使用しているエアコンのメーカーランキング! 2位「ダイキン」、1位は?
オールアバウト / 2024年9月22日 17時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください