来年定年を迎えます。「年金をもらいながらパートで働く」場合、いくらまでなら損をしませんか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月12日 1時50分
定年後にパートに切り替えて年金をもらいながら働く場合、年金の支給額に制限がないか気になる方もいるでしょう。一定の条件はありますが、条件を満たせば定年後にパートで働きながらでも、年金を受け取れるようです。 今回は、定年後に働きながら年金を受け取る方法や条件、注意点を解説します。年金をもらいながら働く際に損しない方法やコツもご紹介しているため、参考にしてください。
働きながら年金がもらえる在職老齢年金とは?
在職老齢年金とは、60歳以上の方が厚生年金に加入して働きながら受け取れる年金のことです。ただし、個人事業主の方やフリーランスの方は対象外となります。
在職老齢年金を受給するためには条件を満たさなければならず、条件から外れると全額支給停止または一部支給停止となります。日本年金機構によると、受給できる条件は以下の通りです。
・基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円以下の場合:全額支給
・基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円を超える場合:一部支給または支給停止
支給停止額を求めるときは、以下の式に当てはめて計算します。
(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)×1/2
例えば、基本月額が10万円で総報酬月額相当額が50万円の方は50万円を上回り、月額5万円が支給停止額となります。基本月額とは年金額を12等分した額で、総報酬月額相当額は毎月の月給に賞与をくわえて12等分した額です。
仮に定年後に厚生年金に加入してパートで働く場合は、年金額を含めた月額収入が50万円を超えないようにすれば年金を満額受け取れるため、損しないと考えられます。
高年齢雇用継続給付金を受け取る際は注意が必要
高年齢雇用継続給付金とは、雇用保険への加入期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の方に対して、賃金が60歳時の75%未満となった場合に最高で賃金の15%程度の額が支給される制度です。高年齢雇用継続給付金には、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の2種類あります。
高齢雇用継続給付を受けていると、在職老齢年金の調整にくわえて、賃金に対して最高で6%にあたる額が支給停止される可能性があるため、注意が必要です。
年金をもらいながら働くコツ
年金をもらいながら働く場合は、ほかの働き方や知識なども身につけておくと安心です。ここでは、年金をもらいながら働くコツをご紹介します。
業務委託で働く
業務委託の場合は、在職老齢年金の支給額の基準となる50万円を気にせずに働けるとされています。毎月の収入が50万円以上になったとしても、年金が減額されることはありません。
ただし、業務委託の場合は労働基準法の対象外となったり、収入が不安定になりやすかったりします。厚生年金に加入しながら働く方がもらえる年金額も増えるため、そのほかの働き方も考慮しながら、損しない方法を選択するとよいでしょう。
確定申告の知識を身につけておく
年金をもらいながら働く場合は、確定申告の知識も身につけておくとよいでしょう。
年金以外の所得が年間で20万円を超えている方や、年金を含む収入の合計が400万円を超えている方は、確定申告をしなければいけません。年金を含む収入の合計が400万円以下の場合でも、年金以外の所得が年間で20万円以上ある方は確定申告が必要となる点には注意しましょう。
パートで働いて得た収入のほかにも、生命保険の返戻金や個人で積み立てている年金なども含まれます。
年金をもらいながらパートで働く場合、年金額を含めた月額収入が50万円を超えないようにすれば損をしない
定年後も収入を得ながら、在職老齢年金として年金を受け取れます。年金額を含めた月額収入が50万円以下であれば、全額支給されるため損しないでしょう。しかし、年金額を含めた月額収入が50万円を超える場合は、年金の全額支給停止または一部が支給停止となるため、注意が必要です。
また、在職老齢年金を受け取る場合は、厚生年金に加入している会社員が対象ですが、個人事業主やフリーランスの方は対象外となっています。そのため、収入が50万円を超えてしまい、年金額が減ってしまう場合は、業務委託などの雇用形態で働く方法も1つです。
それぞれメリットやデメリットがあるため、シミュレーションをしたうえで、損しない働き方を見つけてみてください。
出典
日本年金機構 令和4年4月施行年金制度改正資料【在職老齢年金関係】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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