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50代の私は定年退職が近づいており、「老後に対する漠然とした不安」を感じています。老後の不安を解消するために今からやっておくべきことはありますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月13日 2時20分

50代の私は定年退職が近づいており、「老後に対する漠然とした不安」を感じています。老後の不安を解消するために今からやっておくべきことはありますか?

40・50歳代になると、少しずつ自分自身の「老後」の生活が気になり始めませんか。それはちょうど親世代の老後の生活状況を見ているからかもしれません。また、会社員にとって、先輩の定年退職を目の当たりにすることは、自分ごとのように考えるきっかけにもなります。   そこで、今回は「老後の生活が不安」と思ったときに実践してほしいことについてお話しします。

老後の生活の不安の原因は「お金」と「健康」

筆者がこれまでの相談事例から考えるに、老後生活の不安の大きな原因は、「お金」と「健康」です。おそらく誰もが思い当たることでしょう。
 
ここでいう「健康」は寿命とは少し異なります。いわゆる「健康寿命」です。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、老後生活が公私ともに楽しく生活できる期間といえるかもしれません。
 
この期間を長くするためには、日常生活での運動、食事、睡眠等を意識するとともに、健康診断も必要になってくるでしょう。最低1年に1回は健康診断を受けて自分の体の健康状態を確認しておくことが望ましいです。
 
自身の体について1年に1回の健康診断を受けている人は多いと思います。一方で、「お金の健康状態の確認」をしている人は少ないのではないでしょうか。「お金の健康状態の確認」とは、「現状の収支や財産価額を確認し、将来のお金の流れを確認すること」です。
 
40・50歳代は子どもの教育費の増加とともに親の介護費用の発生といった事態が起こりうる年代でもあります。さらには、自分自身の老後生活が少しずつ近づいていることを実感するころなので、「お金の健康状態の確認」をする必要があります。その確認方法を具体的に見ていきましょう。
 

「お金の健康状態の確認」方法とは?

「お金の健康状態の確認」とは、「現状の収支や財産価額を確認し、将来のお金の流れを確認すること」です。
 
まずは「現状の収支の確認」をしましょう。家計簿をつけている人は、その家計簿の1年分を集計すると1年間の収支の把握ができます。ここでいう「現状の収支の確認」は「月ごと」ではなく「年間」であることに注意してください。月ごとに「赤字」「黒字」を把握するのではなく年間で「黒字かどうか」がポイントです。
 
一方、家計簿をつけていない人はどうすればよいのか、簡単な確認方法をお伝えします。まず自分名義の預貯金の通帳をすべて用意します。そこで、例えば2023年5月31日時点のこれらの通帳残高を合計します。そして次に2024年5月31日時点でも同じように通帳残高を合計します。この2つの額の差し引きが1年間の収支差額です。
 
厳密にいえば収入と支出の把握ではなく、その差額の把握にはなりますが、最も簡単に1年間の家計を確認できる方法だと思います。ぜひ「現状の収支の確認」をしてみてください。そのうえで、将来の老後の収入がどのように変化するのか、老後にやりたいことの費用はどのぐらいかかるのか、といったことも合わせて確認できるとよいでしょう。
 
次に「現状の財産価額の確認」です。これは自分名義の預貯金の通帳に加え、保険証券や株式、投資信託といった金融商品の残高を書き上げてみましょう。さらに不動産を持っている人はその不動産の価額について固定資産税評価証明書を使って評価額をまとめてみましょう。
 
また、財産とはプラスのものだけではないので、住宅ローンや教育ローン等、マイナスの財産も書き上げておく必要があります。これらも「現状の収支の確認」と同様に、1時点(上記の例では2024年5月31日)を基準に毎年行うことで、その増減を感じることができるはずです。それにより、老後はこの増減がどのようになるか、想像がしやすくなると思います。
 

老後の生活の不安の解消は行動することから始められる

筆者は、「老後が不安でどうしたらよいのですか」と相談に来られる人に対して、「お金の健康状態の確認」をしてください、と回答します。しかし、これを実践するかどうかは、そのご本人の意思次第です。
 
実践した人は、問題点が浮き彫りになり、その問題点を解決していくという具体的な次の段階に進みます。実践しない人は、残念ですが「不安だ」という思いだけが積み重なっていき、何の解決にもつながりません。
 
老後の生活に不安を感じている人は、体の健康診断に毎年行くように、お金の健康診断もやってみてください。解決への糸口が見えるかもしれません。
 

出典

厚生労働省 e‐ヘルスネット〔情報提供〕 平均寿命と健康寿命
 
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

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