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兄が父から200万円を借りて返せていないことが発覚しました。もしも父が亡くなった場合、遺産相続に影響はありますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月12日 5時20分

兄が父から200万円を借りて返せていないことが発覚しました。もしも父が亡くなった場合、遺産相続に影響はありますか?

相続が発生すると、亡くなられた方(被相続人)の財産上の権利や義務を、相続人(遺された家族など)に引き継ぐ手続きを行います。相続財産は、自宅などの不動産や金融機関にある預金等のほか、貸付金や債務も含まれます。   今回は、「兄が父親から200万円を借りていたが、返せていない」という事例について、遺産相続にどのような影響を与えるのか、また揉めないための対策はあるのか考えていきます。

兄が父から借りたお金について「借用書」がある場合

今回の質問では、お金を借りたのが兄、貸したのが父親、相談者は弟でした。母親は既に他界しており、もし父が亡くなった場合には、民法で決められている法定相続人は子である兄と弟(相談者)の2人です。
 
兄の父に対する借金については、双方の意思表示によって成立しているため、家族であっても第三者である弟は口出しできません。ただし、相続となると話は別です。
 
なぜならば、被相続人(父)の財産について、相続人は、何がどれだけあるのか確認する必要があるためです。ここでいう財産とは、自宅などの不動産や金融資産のほか、貸付金や債務も含まれます。
 
つまり、被相続人(父)が兄に貸し付けたお金も相続財産に含まれるのです。そのうえで、相続人の間で話し合い、被相続人の財産を分割することになります。この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。
 
相続財産を確定する際に、子である兄と父親との間で「200万円の借用書」が作成されていれば、それは有効な証拠となり、父には兄に対して200万円の貸付金があることが証明されます。兄の立場からすると、兄は父に対して200万円の債務を負っていることになります。
 
この債務は、遺産分割協議において考慮されるべき事項となり、兄が弟よりも200万円少ない遺産を受け取る、もしくは他の形で債務を清算する必要が生じる可能性があります。
 

兄が父から借りたお金について「借用書」がない場合

借用書がない場合でも、兄が父から借金をしている事実が確認できれば、遺産分割協議において考慮されるべき事項となり得ます。ここで懸念されるのは、借用書がないために、借金の存在を証明できないことです。
 
相談者がどのような経緯で、兄に父親から借りたお金があること、その返済ができていないことを知ったかにもよりますが、証拠がないと協議すること自体が難しくなると考えられます。
 
口頭での約束であっても、証拠となる他の書類、例えば、銀行取引の記録やメールのやりとりなどがあれば、それを借金の事実の証明とすることが可能です。ただし、時間の経過とともにそういった証拠を探すことは難しい場合もあり、相続が「争族」となってしまうリスクが高まります。
 

父と兄との間で特別な約束がある場合

父と兄との間で特別な約束があり、例えば「返済の必要がない」「遺産相続の際に調整する」などの取り決めがある場合もあります。
 
こうした取り決めが文章化されていれば、前述の通り、お金を「貸す」「借りる」は当事者間の問題であるため、遺産分割協議において、兄がその旨を示すことで、その内容に従い遺産を相続することとなり、少なくとも兄弟間で揉める要因にはならないでしょう。
 
本来であれば、親子間であっても、こうした取り決めを文章化しておくことが「言った」「言わない」のトラブルを回避するために重要なのですが、実際には書類等は存在しないことが多いのが現実かもしれません。そういった場合には、お互いの信頼関係とコミュニケーション次第といえるでしょう。
 

遺言書があれば、その内容に従う

日本の相続では、相続が発生し、その遺産を引き継ぐにあたって、民法で相続人となるべき「法定相続人」やどのように分割すべきかを示した「法定相続分」が定められています。
 
ただし、「遺言書の有無」によって、手続きは大きく変わります。つまり、遺言書がある場合には、原則として遺言書の内容が優先されます。遺言書は、亡くなられた方の最期の意思表示であるため尊重されるのです。
 
遺志を尊重したうえで、相続人の話し合いで遺産分割することも可能ですが、もし、父が亡くなった際に遺言書があるのであれば、その内容に従うことをおすすめします。
 

まとめ

法的には、相続人が被相続人に対して借金がある場合、借りた側がその金額を相続財産から差し引く形で遺産相続を行うことが一般的です。つまり、兄が200万円の借金をしていると認めた場合には、相続の際に兄が受け取るべき金額から200万円が差し引くことが想定されます。
 
契約という観点では、弟である相談者は、兄の借金についての口出しはできませんが、将来のトラブルを防ぐ意味で、配慮しつつも、事情や状況を把握することは可能かもしれません。相続が起こってからでは真相が分からず、誤解が生じたり納得ができなかったりするまま、お互いの溝が修復できない事態に陥る事例も多くあります。
 
今からできること、今だからできることを考え、もしものときにも、その内容をもとに調整できるよう考えておきたいものです。可能であれば、借金の存在や返済条件について、家族全員が理解し合意していることが理想的です。透明性を持って情報を共有することで、後々のトラブルを防ぐことができます。
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士

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