よく「自分の会社の株」を保有している方がいますが、自社株を購入すると「インサイダー取引」に該当しないのですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月15日 10時20分
株式会社に勤めている人の中には、自分の会社の株を保有している人がいるかもしれません。周囲にもそのような人がいる中で、自社株の購入がインサイダー取引に該当しないのかが気になる人もいるでしょう。 今回はインサイダー取引とはなにか、また、自社株を購入する行為がインサイダー取引に該当するのかをご紹介します。また、インサイダー取引の適用が除外されるケースもまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
インサイダー取引とは?
インサイダー取引とは、上場会社の関係者が、外部からは得られない情報を仕事の中で知り、投資判断に用いて自社株を売買する行為のことです。金融商品市場の信頼を損なう代表的な不公正取引となっており、一般の投資者が不利な立場での取引となってしまうことから、インサイダー取引は禁止されています。
インサイダー取引を行った際、違反者に適用される罰則は以下の通りです。
・刑事告発
・課徴金納付命令の勧告
なお、平成26年4月1日施行の金融商品取引法等改正では、投資法人の発行する投資証券等の取引にインサイダー取引規制を導入すると定めました。上場投資法人はもちろん、資産運用会社や関連する親会社、特定関係法人の関係者なども含まれるようなので、この部分にも注意しましょう。
自社株を購入する行為はインサイダー取引に該当する?
自社株を購入する行為の中には、インサイダー取引に該当するケースもあるとされています。例えば株価に影響するような重要事実を事前に把握している場合や、把握している重要事実が公表されていない場合などは、該当してしまう可能性があるようです。
なお、重要事実について、日本証券業協会全国証券取引所は以下のようなものを指すとしています。
・会社が意思決定したもの(株式等の発行、自己株式の取得、株式の分割など)
・会社の意思にかかわりなく発生したもの(災害に起因する損害、訴訟の提起など)
・会社の決算情報に関するもの
・その他会社の運営、業務又は財産に関する重要な事実で投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの
・子会社の重要事実
情報が公表されているかは、有価証券報告書や臨時報告書などに重要事実が記載されているかを確認しましょう。そのうえで、関連する書類が一般に広く閲覧できるようになっているかが重要です。また、重要事実が報道機関に公開されてから、12時間たっているかも、公表の基準の一つになるようです。
インサイダー取引の適用が除外されるケース
インサイダー取引の適用が除外されるケースは、おもに以下の内容があげられます。
・新規予約権を行使して株式を取得する
・重要事実を把握する前に締結した契約の履行による売買
・重要事実を把握している関係者間で市場外にて発生した取引
など
また、重要事実に該当する事項には、軽微基準と呼ばれるものも定められているようです。これは投資判断に与える影響が軽微であると考えられることに基づいており、該当する場合は重要事実には含まれないとされることも覚えておきましょう。
例えば1億円未満の株式発行や純資産3%未満の災害に起因する損害、公表されている予想力10%未満の増減が発生した売上高などは、軽微基準に該当し、重要事実には含まれないようです。
自社株を購入する行為はインサイダー取引に該当するケースとそうでないケースがある
自社株を購入する行為の中には、インサイダー取引に該当するケースがあるとされています。しかし、すべての取引が該当するわけでないため、必ずしも違法になるわけでない点は理解しておきましょう。
仮にインサイダー取引に該当してしまうと、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科される可能性があります。決して軽い罰則とはいえないため、自社株を購入する際は、自身の取引がインサイダー取引にならないのかを必ず確認しましょう。
出典
日本証券業協会 全国証券取引所 自社株式へ投資をするには
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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