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重い病気にかかると残債が免除される住宅ローン、利用しても大丈夫?

ファイナンシャルフィールド / 2019年1月17日 10時30分

重い病気にかかると残債が免除される住宅ローン、利用しても大丈夫?

がんや脳卒中、肝硬変など、重い病気にかかって所定の状態になったとき、住宅ローンの返済義務が免除される商品があります。これを一般に「疾病保障付き住宅ローン(団信)」と言います。   重い病気にかかると、働く能力を失って住宅ローンの返済が困難になることがあるので、こうした商品は一考の余地があると言えるでしょう。そこで今回は、この疾病保障付き住宅ローンの価値について検証してみます。  

疾病保障付き住宅ローンとは

住宅ローンを借りるときは、住宅金融支援機構で借りる場合を除き、団体信用生命保険(団信)に加入することが求められます。
 
一般の団信は契約者が死亡するか、高度障害状態にならないと返済義務はなくなりませんが、疾病保障付き住宅ローンなら、がんや脳卒中など所定の病気も対象となります。
 
対象となる病気の範囲は3大疾病のほか、さらに保障範囲を広げた商品が多くあります。こうした住宅ローンは商品名に「7疾病」「8疾病」「全疾病」のような言葉が入っています。
 
これらは一般の団信の金利に0.3%程度上乗せされ、それが保険料になります。所定の条件を満たした場合は保険会社から保険金が支払われ、住宅ローンの返済にあてられる仕組みです。
 

対象となる病気は?

「7疾病」や「8疾病」保障付き住宅ローンが保障の対象としている病気は、おおむね以下の3種類にわけられます(一般的な例です)。
 
1.がん
「悪性新生物」と診断確定された時点で住宅ローンが免除されます。なお、がん細胞が臓器の表面を覆う上皮内にとどまっている「上皮内新生物」は、基本的に対象外です。
 
2.急性心筋梗塞、脳卒中
初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、所定の状態が継続したと診断された場合に住宅ローンが免除されます。単にこれらの病気にかかっただけでは対象になりません。
 
3. 上記以外の病気
高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎などの病気が原因で「就業不能状態」に該当した場合、住宅ローンが免除されます。最初の12ヶ月は毎月の返済額が免除されるだけですが、13ヶ月目以降も継続した場合は残債の全額が免除されます。
 
なお「就業不能状態」とは、保険の対象となる人の経験や能力に応じたいかなる業務にも従事できない状態を言います。
 

保険料(相当額)はいくらになる?

疾病保障付き住宅ローンを利用した場合の金利負担を具体的に計算してみましょう。条件は以下のとおりとします。
・借入総額:3000万円
・借入期間:30年
・元利均等返済、ボーナス返済なし
・全期間固定金利
・一般の住宅ローン金利は年1%、疾病保障付き住宅ローンの金利は年1.3%
試算した結果は以下のようになりました。
 

 
この結果によると、疾病保障付き住宅ローンを選んだ場合の総返済額は約150万円、毎月の返済額は4190円増えていることがわかります。つまり、毎月4190円の保険料を払って住宅ローンが免除される保険に加入しているのと同じということです。
 

就業不能保険を選ぶという方法もある

疾病保障付き住宅ローンを利用せず、代わりに「就業不能保険」に加入する方法もあります。
 
就業不能保険で給付金を受け取る条件は、「就業不能状態」になったときです。そのため、疾病保障付き住宅ローンを契約し、がんや急性心筋梗塞、脳卒中以外の病気になった場合と条件は同じです。
 
ある保険会社のホームページで就業不能保険の保険料を試算したところ、30歳の男性が60歳まで加入し、毎月の給付金を10万円(≒住宅ローンの返済額)とした場合、月額1700円となりました(給付金は就業不能状態になって180日経過後から受け取るという条件)。
 
両者を比較すると就業不能保険のほうが保険料はかなり安くなっていますが、その理由は以下の2点が挙げられます。
 

・就業不能保険の場合はどの病気が原因でも就業不能状態にならないと給付金が受け取れない。しかし、疾病保障付き住宅ローンの場合はがん、急性心筋梗塞、脳卒中なら少し条件が緩い。

・就業不能保険は就業不能状態でなくなると給付金が受け取れなくなる。しかし、疾病保障付き住宅ローンは所定の条件を満たした時点で残債の全額が免除される。

 
つまり、就業不能保険のほうが給付金を受け取れる条件が厳しいので、その分保険料が安いということです。
 
住宅ローンが免除される条件は緩いほうがいいかもしれませんが、本当にいざというときだけ保障してもらえれば良いということなら、就業不能保険を契約するほうが合理的と言えるかもしれません。
 
詳細は商品によって違いがあります。契約にあたっては金融機関や保険代理店で詳しく説明を受け、よく検討してから決めましょう。
 
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
 
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