【自己都合退職の壁】退職金の実態とは
ファイナンシャルフィールド / 2019年1月17日 22時30分
定年まで勤め上げ、〇千万円の退職金を受け取って悠々自適に暮らす……。それは今の75歳以上の方に当てはまる老後の暮らし。いわゆる「逃げ切り族」と言われる世代です。 今では企業年金もそこまでの運用利回りを望めませんし、自分自身で運用する確定拠出年金に切り替える企業も多くあります。では、定年になる前に会社を辞めた場合、もらえる退職金はどのくらいなのか。実際の体験談を踏まえて述べていきたいと思います。
自己都合退職の壁
会社を辞めるというと、定年退職かもしくは自己都合退職かのいずれかに分けられます。もちろん、業績不振などによる「会社都合退職」もありますが、今回は割愛します。
定年退職と自己都合退職で退職金が大きく異なることを、皆さんは自覚していますでしょうか?
例えば現在、一般企業において大卒で38年間勤めた場合の退職金は、1500万円が相場と言われています。もちろん、昇級や男女の差は多少あると思います。しかし、だいたいは1000万円を上回るのではないのではないでしょうか。
これが自己都合退職であった場合、たとえ20年以上勤めた場合であっても、退職金はその半額以下となるのが現実です。
退職金の内訳
退職金は大きく「退職一時金」「企業年金」「企業型確定拠出年金」の3つに分類されます。
今までは退職一時金の割合が大きかったため、自己都合退職でも退職金としてもらえる額は多かったのですが、今では退職金として「企業年金」もしくは「企業型確定拠出年金」の占める割合が増加しています。
大卒、20年以上勤務、役職なしで自己都合退職した場合
さて、ここからは私が実際に聞いた話です。大卒で入社、20年以上勤務し、自己都合退職した方で、受け取った退職金は500万円だったそうです。その内訳はこちら。
・退職一時金……200万円
・企業年金の前倒し受け取り……300万円
企業年金については、60歳まで運用を続けると400万円で受け取れる、とのアドバイスが会社側からあったそうですが、その人は早々に受け取る方を選んだようです。
そして、「企業型確定拠出年金」については、原則60歳になるまで引き出すことができないため、自分で個人型の確定拠出年金に切り替えて運用していくしかないとのことでした。
結局は運用
起業することを選んで退職した場合は、生きていく上での現金がたちまち必要となります。そのため、運用は後回しにして早期受け取りを選ばざるを得ないという実態もあります。
ただ、これからは確定拠出年金の割合が増えていく傾向にあります。自己都合退職した場合の退職一時金は、ほとんど期待できないと言えるのではないでしょうか。
じゃあどうすればいいのか?という声も上がってきそうですが、そのためには結局、自分で運用していくしかないのです。
確定拠出年金も自分の運用次第で大きな差が出てきます。もし退職時に受け取れなかったとしても、それまでの運用実績を自分で続けていかれるなら、60歳になった時に受け取れる額も、ある程度は期待できるのではないでしょうか。
ちなみに、前述の方の確定拠出年金の運用実績は4%。なかなかの高利回りで運用できていると言えるでしょう。これからは全てが自己責任の時代です。定年まで勤めるにしても、自分の運用次第で退職金が変わってくるようになります。
つまり、早い段階で資産運用のノウハウを身につけておくことが、よりいっそう大事になると言えるでしょう。
定年までこの会社にいることはないな……。そう考えている方は、いま一度自分の会社の退職金制度の内容を把握し、もし確定拠出年金の利回りなどが思うほど伸びていないのであれば、配分を見直すなどしてみましょう。小さな一歩が大きな差に結びつきます。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者
一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー
住宅ローンアドバイザー
証券外務員
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