年金額を計算したら毎月「25万円」もらえるようです! 貯金がなくても老後は安心して過ごせるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月17日 5時50分
老後の収入源が年金のみという方は多いでしょう。毎月いくらくらい年金がもらえれば老後は安心して過ごせるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。 本記事では、毎月の年金額が25万円の場合、貯金がなくても老後の生活が成り立つのか、夫婦世帯・単身世帯でそれぞれ解説します。また老後に必要な生活費の目安だけでなく、老後に向けた貯金の重要性についても紹介します。
年金の平均額とは
総務省統計局がまとめた「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」で、65歳以上の夫婦のみ無職世帯での実収入額は月平均24万4580円でした。そのなかでも年金などにあたる社会保障給付は21万8441円です。
そして65歳以上の単身無職世帯の場合の実収入額は12万6905円となり、同様に社会保障給付は11万8230円でした。
また、厚生労働省年金局がまとめた「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、令和4年度末時点における厚生年金保険(第1号)の受給者平均年金月額は、老齢基礎年金の金額も含めて14万4982円となっています。
日本年金機構が公表している令和6年度の年金額の例でも、厚生年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は23万483円でした。
以上を踏まえると、毎月「年金25万円」は夫婦世帯であれば平均的、単身世帯であれば平均よりも高い年金額であるといえるでしょう。
老後に必要となる費用
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における食費や水道光熱費など生活費として支払う「消費支出」は、月平均25万959円となります。65歳以上の単身無職世帯の場合は月平均14万5430円です。
また、税金や社会保険料といった「非消費支出」においては、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の場合、月平均3万1538円、65歳以上の単身無職世帯の場合は月平均1万2243円です。
今回の事例の年金収入である25万円から上記税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた「可処分所得」は、夫婦世帯の場合月21万8462円、単身世帯の場合は月23万7757円となります。そこから消費支出の平均額を引くと、夫婦の場合はマイナス3万2497円と赤字になる一方、単身者の場合は9万2327円が残ります。
平均的な支出額でみる限り、夫婦世帯で年金額が毎月25万円の場合は収支がマイナスとなる可能性があり、貯金の用意が必要です。
老後に向けた貯金の重要性
夫婦が25万円だけで老後を過ごす場合、毎月3万2497円のマイナスとなる可能性があるため、貯金が必須でしょう。厚生労働省がまとめた「令和5年簡易生命表の概況」によると、65歳の平均余命は男性19.52年、女性24.38年となっているため、25年分は用意しておくと安心でしょう。
25年間で不足する金額を計算すると、合計974万9100円です。しかし、老後には「リフォーム費」や「介護費」などの大きな出費が控えているケースがあります。
国土交通省住宅局「令和5年度住宅市場動向調査報告書」によると、リフォーム実施世帯のうち「新築住宅として取得した住宅」の平均居住年数は26年です。そのため、30~40代で住宅を購入した場合、定年後がリフォーム時期と重なる可能性があります。なお、同調査によれば、リフォーム資金の平均は137万円、うち自己資金は112万円です。
また、公益財団法人生命保険文化センターがまとめた「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護に要した費用のうち、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時的な費用は平均74万円でした。また、介護に要した月々の費用は1ヶ月平均8万3000円で、平均介護期間は61.1ヶ月となっています。
生活費以外の金額を単純に備えた場合、平均額で計算すると「リフォーム費」や「介護費」などでおよそ700万円を用意しておく必要があると考えられます。単身者で毎月の年金額が25万円であれば比較的余裕がありますが、夫婦で25万円の場合にはある程度の貯金が必要でしょう。
老後に備えて貯金は必要
年金収入によって日常生活そのものは問題がなくても、リフォーム費用や介護費用など生活費以外にも発生する費用があります。予期せぬ出費に備えて貯金をしておくことで、安心して老後を迎えることができるでしょう。
可能な限り現役で働いているうちに貯金で備えておくことが大切です。
出典
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II.厚生年金保険 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 1 主な年齢の平均余命
公益財団法人生命保険文化センター 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査 2.生活保障に対する考え方 (5)世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の公的介護保険の範囲外費用に対する経済的備え (エ)介護経験 (b)介護期間(170ページ)、(e)介護費用(173~174ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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