10年間の「事実婚」の夫の「扶養」に入れるでしょうか。生涯一緒にいたいと考えているのですが…。
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月17日 4時20分
仕事を辞めたら、「夫の扶養に入りたい」「扶養の範囲内で働きたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。「入籍をしていない『事実婚』でも扶養に入れる?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。 そこで本記事では、「事実婚」のパートナーが扶養に入るための要件を解説するとともに、「事実婚」の将来的な注意点を紹介します。
事実婚の定義と扶養制度
まずは、「事実婚とは何か」「扶養制度にはどんなものがあるのか」について解説します。
事実婚の定義
「事実婚」とは婚姻届は提出していないが、実質上は夫婦として共同生活を送っている関係のことです。「内縁関係」とも呼ばれていました。
事実婚と認められる要件には、次のようなものがあります。
・婚姻の意思がある:お互いに夫・妻と認識し、対外的にも夫婦だと見られている
・共同生活をしている:同居し生計を一つにしている実績がある
・公的に届けを出している:同一の住民票に「夫(未届)」・「妻(未届)」と記載がある
扶養制度とは?
夫婦は互いに扶養する義務を負いますが、それは事実婚の場合も同じです。自分の収入だけでは生活するのがままならない配偶者のための「公的な扶養制度」には、次の2種類があります。
・所得税の扶養控除・特別控除
・社会保険(健康保険)の扶養
しかし、所得税に関しては「事実婚」のパートナーの場合、配偶者控除・配偶者特別控除を受けることができません。税法上の配偶者とは、民法で定められた戸籍上の配偶者のみを指すからです。
一方、社会保険(健康保険)の扶養には、「事実婚」と認められたパートナーも入れますし、年金の受け取り対象にもなれます。ただし証明できるものとして、妻(未届)・夫(未届)の記載がある住民票の提出や、夫婦それぞれの戸籍謄本などが必要になることもあります。事前に、各保険組合で確認しておきましょう。
将来設計から考える事実婚の注意点は?
「事実婚」を選択した場合、お互いの意思の尊重などよい面もある一方、制度上の不利益を受けることがあります。
将来設計するうえで注意しておきたい点は、次の3つです。
1.税法上の優遇措置が受けられない
配偶者控除が受けられないほか、遺産を受け取った場合には相続税が2割加算される(配偶者と親や子など一親等の血族以外の相続人は2割加算の対象)、医療費控除の対象にならないなど税制上の優遇が受けられません。
2.夫の子として推定されない
事実婚夫婦の間に子どもが生まれた場合、妻を筆頭者として新たな戸籍を作り、子どもはその戸籍に入ります。この状態のままでは子の父親欄は空欄なので、夫は認知しなければなりません。認知することで初めて戸籍に父親の名前が記載され、法律的にも親子と認められます。同時に、夫側の戸籍にも認知した事実が記録されます。
3. 法的には相続人になれない
「事実婚」の場合、法律上の配偶者ではないため、そのままでは相手名義の財産を相続することができません。死後にパートナーが困らないよう、公正証書で遺言書を残すとともに、生命保険の受取人に指定するなど、生前の対策が重要です。
まとめ
「事実婚」のパートナーも、制度によっては扶養に入れることを解説しました。しかし「法律婚」と違い、制度上の注意が必要な点も多くあります。早めに話し合ってリスクを明確にすることで、将来的な不安を減らしていきましょう。
出典
内閣府男女共同参画局 いわゆる事実婚※に関する制度や運用等における取扱い
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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