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夫が「定年後は両親と暮らしていた田舎に移住したい」と言っています。相続した実家はありますが、築50年ですし建て替えで「1000万円」はかかりますよね?“フルリノベーション”ならもう少し安く済むでしょうか…?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月18日 2時20分

夫が「定年後は両親と暮らしていた田舎に移住したい」と言っています。相続した実家はありますが、築50年ですし建て替えで「1000万円」はかかりますよね?“フルリノベーション”ならもう少し安く済むでしょうか…?

定年後、田舎に移住したいという人は増えており、地方自治体でも移住者に補助金を出すなど、積極的に受け入れているところが増えてきました。しかし、地方での住まいを確保するため、定年後に1000万円以上の大金をかけて、田舎の実家を建て替えたり、フルリノベーションをしたりするのは少し勇気がいるのではないでしょうか。   本記事では、築50年の家を建て替える場合と、フルリノベーションする場合の費用の目安について解説し、どちらを選択すべきかの判断基準についても紹介します。

建て替えやフルリノベーションにかかる費用の目安は?

まずは築50年の古い家を建て替える場合、フルリノベーションする場合にかかる費用の目安についてそれぞれ見ていきましょう。
 

建て替えにかかる費用

国土交通省の令和5年度の調査によると、戸建ての建て替えにかかる平均費用は5745万円です。高額な費用ですが、建て替える住宅のエリアや面積、設備の種類などさまざまな要因で建て替え費用は大きく変動します。この調査における平均延べ床面積は、136.3平方メートル(約41.3坪)のため、諸費用等も含めた建て替え費用の坪単価は平均約139万円となります。
 
不動産・住宅に関する総合情報サイトSUUMOによると、築50年の実家の建て替えにかかる費用には、図表1のようなものが挙げられています。このデータでは、建て替え費用の坪単価は60~80万円とされています。
 
図表1

図表1

SUUMO一戸建て(土地あり)を建て替える費用はどれくらい?坪数別シミュレーションも紹介 を基に筆者作成
 
SUUMOの情報を参考に、夫婦2人で住むために地方の40坪の広い古家を、25坪程度のコンパクトな平屋に建て替えた場合の費用を計算してみましょう。

古家の解体費:6万円×40坪=240万円
 
地盤調査:約5~30万円
 
新しい家の建築費:60~80万円×25坪=1500~2000万円
 
仮住まいの費用:家賃6万3000円×6ヶ月=約38万円
 
諸経費:75~100万円

以上より、築50年の家を解体して立て直す費用の目安は1858~2408万円程度となります。
 

フルリノベにかかる費用

では、築50年の家をフルリノベーションした場合の費用はどうでしょうか。リノベーションとリフォームは厳密には多少意味が異なりますが、ここではスケルトンリフォームをした時の費用について考えてみます。
 
フルリノベーションでは、基礎や柱などの躯体のみを残して建物を解体し、建物の大部分を新しく作り直します。通常の部分的なリフォームと違い、配線や配管のやり直し、耐震補強、断熱機能をあげる工事なども行いやすいため、完成後の見た目や住み心地は、新築との違いが分からないほどです。
 
費用は、どのような間取りや設備を取り入れるかによって大きく異なりますが、100平方メートル(30坪)ほどの住居の場合、1000~1500万円が目安といわれています。建て替えの場合と比べると解体費や地盤調査費、基礎や柱などをつくる費用がかからないため、安く済むことが多いでしょう。
 
しかし、フルリノベーションの場合には、床や壁をすべて解体してみた結果、シロアリ被害が甚大であったり、躯体が腐っていたりと予想外に傷んでいる場合もあります。このような時は、結果的に建て替えと同等の費用がかかったり、結局建て替える判断になったりという可能性もあります。
 
なお、フルリノベーションではなく、水回りの設備の入れ替えのみを行うなどの、通常のリフォームであれば500万円程度で済むことが多いでしょう。住宅リフォーム推進協議会の調査によると、フルリノベーションに限らないリフォーム全体の平均費用は約347万円となっています。
 

築50年の家は建て替え? フルリノベーション? 判断基準のポイント

費用の面だけを考えると、築50年の家に移住するならフルリノベーションのほうが安く済む可能性があります。しかし、次のような観点で、建て替えとフルリノベーションのどちらを行うか考えてみるのがおすすめです。

・今後、ずっと住み続けるのか
 
・家の基礎や柱などの躯体の劣化度合いはどうか(シロアリ被害や木材が腐っているなど)
 
・新耐震基準に沿っているか

家の躯体が著しく劣化している場合は、補修するよりも、解体して立て直したほうが結果的に費用は安く済み、きれいに仕上がって、安全面でも安心できるでしょう。また、1981年以前の旧耐震基準で建築された家の場合も、フルリノベーションで耐震補強を行うよりも、立て直して最新の耐震性を備えた家に立て直したほうが無難です。
 
しかし、一時的にしか住まない、今後引き継ぐ人はいないなどの場合は、家の状態にもよりますが、フルリノベーションか設備のリフォームにとどめる方法も検討すると良いでしょう。
 

まとめ

築50年の家を建て替える場合は、解体費用がかかるため、さら地に新築の家を建てる場合よりも費用がかかります。40坪の実家を解体して建て替え、25坪のコンパクトな平屋にする場合の費用は、1800万円~2400万円ほどでしょう。一方、フルリノベーションする場合は、躯体が再利用できるため、建て替えよりも費用が抑えられる傾向があります。30坪ほどの家をフルリノベーションするなら1000~1500万円が目安です。
 
費用だけで見るとフルリノベーションにメリットがありそうですが、躯体が予想以上に傷んでいて補修に想定外の費用がかかり、新耐震基準に沿っておらず建て替えたが良いという判断になるケースもあります。家の状態や、今後の生活についてよく家族で話し合い、専門家の意見も聞きながら最善の選択をしてください。
 

出典

国土交通省 令和5年度住宅市場動向調査報告書
SUUMO一戸建て(土地あり)を建て替える費用はどれくらい?坪数別シミュレーションも紹介
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 2023年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書
 
執筆者:古澤綾
FP2級

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