実家リフォーム代を親の代わりに支払ったら贈与税がかかるって本当ですか? 脚が悪い親のためにリフォームしたいのですが、それでも税金が発生するのですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月18日 2時0分
「父が最近脚を悪くして、小さな段差もつらそうです。実家をリフォームしてあげたいのですが、贈与税がかかるって聞きました。介護要のリフォームであっても税金が発生するのでしょうか? 」と相談に来られた40代会社員のAさん、どうなのでしょうか?
父親名義である限り、父親に贈与税がかかる
「実家の名義が誰か=誰の所有物か」がポイントです。もし実家の名義がお父さまならば、実家のリフォームは、すべてその父親の所有物ですから、Aさんが支払った費用が、「子から親への贈与」とみなされます。
贈与税は110万円の基礎控除がありますので、リフォーム費用が300万円だった場合は、
300万円-110万円=190万円
この控除した後の額に10%の税率をかけて19万円が贈与税となります。
贈与税を避けたければ、実家の名義を変更
贈与税の支払いを回避したければ、父親名義の実家を子へ売却して名義を変更する方法があります。
名義がAさんになれば、Aさん所有の住宅をAさんがリノベーションするためにAさんが費用を負担しますから、贈与税の支払い義務はなくなります。
さらに、Aさんが「自己所有の住宅」のリノベーションを行ったことで、条件を満たせば住宅ローン控除の適用を受けることができる場合もあります。
次に、名義変更にあたって注意しなければならないポイントがあります。
名義変更の注意1:適正価格で行うこと
1つめは、適正価格で行うことです。
親子間だからといって極端に安い価格での売買となると「贈与」とみなされる可能性がありますので、注意が必要です。
名義変更の注意2:高額の売却額にならないか確認
2つめは、適正価格で親子間売買を行った結果、高額な価格になってしまわないかを確認することです。
最近、都心部などでは不動産価格の上昇が続いているため、適正価格での売買の結果3000万円以上での取引になれば、売り主である父親に譲渡所得税が課せられる場合があります。
これを防ぐために、土地の名義は父親のままで、家屋の名義だけを変更するということもできます。家屋は経年劣化により価値が低下していきますので、売買取引額を抑えることが可能です。
相続時精算課税制度を使う
親子間であっても適正価格で通常の売買を行うのではなく、「生前贈与」とし、「相続時精算課税制度」を使うという方法もあります。
「相続時精算課税制度」というのは、60歳以上の親または祖父母から、20歳以上の子または孫へ住宅などの資産を生前分与する場合、その贈与額が2500万円以下であれば、「一時的」ですが贈与税が非課税、2500万超になった場合には、一律20%が課税されるというものです。
父親が亡くなったときには、ほかの相続財産と合算して相続税が計算されます。このとき、仮に贈与を受けたときよりも父親の実家の価格が大きく上昇していた場合には、贈与を受けた時点の価格(=値上がりする前の据え置かれた価格)で相続財産に合算されるので節税効果が期待できます。ただ、将来価格がどうなるのかは、実際に相続が開始されたときになってみないと節税できたのかどうかは判断できない、といえるでしょう。
どの程度のリノベーションなのかによって検討・選択
親子間で通常の取引をして名義を変更するのか、贈与として名義を変更するのかは、どの程度のリノベーションなのかによって選択・決定することになるでしょう。いずれにしても、そのままリノベーションをすると110万円以上であれば贈与税がかかるという前提で検討されるとよいでしょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者
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