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定年して毎日家でゆっくりしていたら、妻から「暇なら働いたら?」と言われました。生活費は足りているはずなのですが、お金以外に働く理由はありますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月18日 8時20分

定年して毎日家でゆっくりしていたら、妻から「暇なら働いたら?」と言われました。生活費は足りているはずなのですが、お金以外に働く理由はありますか?

定年退職して数ヶ月、毎日ゆっくり過ごしているAさん。妻が「暇なら働いたら? 」とちょくちょく言ってきます。退職金と年金があるので生活費は足りているはずなのに、なぜ働かなければならないのか疑問に思っているそう。定年後に働く意味はお金以外にあるのでしょうか。定年制度の実態と高齢で働く人の理由から解明していきましょう。

60歳以降の給与は下がる

現在70歳までの雇用が企業の努力義務化されているため、働く意思があれば70歳まで働ける環境が整いつつあります。
 
しかし、厚生労働省「令和5年 高年齢者雇用状況等報告」によると、定年制度を廃止している企業は少なく、7割~8割の企業が60歳での定年制をとったまま、その後は継続雇用や業務委託など企業の状況に応じた雇用形態になるのが一般的です。
 
そのため、多くの企業では60歳を過ぎると待遇面での変化が予想されます。国税庁「令和4年度 民間給与実態統計調査」によると、年齢別の平均給与(男女合計)は、55歳~59歳の546万円をピークに60歳~64歳では441万円(30代前半とほぼ同水準)になり、65歳~69歳では342万円(20代前半と同水準)まで下がっています。
 
60歳以降はそれまでの給与と比べて平均でも約2割減るのが一般的で、働くモチベーションが下がることもあるでしょう。
 

60歳での定年退職者は少ない

給与面での譲歩を余儀なくされても、実際に60歳で定年退職する人は少ないです。先の厚生労働省「令和5年 高年齢者雇用状況等報告」によると、60歳定年企業での定年退職者はわずか12.5%、継続雇用者は87.4%です。
 
なぜ、ほとんどの人が定年後も働き続けるのでしょうか。内閣府「令和4年度 高齢者の健康に関する調査」 では、65歳以上で仕事をする人の理由で最も多いのは、収入のため(41.6%)、次いで老化防止(20.2%)となっています。
 
つまり、高齢でも働き続ける理由は「お金と健康への不安」です。Aさんのようにお金の不安はなくても、今後健康面への不安は出てくるかもしれません。
 

やりたいことは75歳までに

図表1のとおり、日本人の平均寿命は男性81.7歳、女性87.2歳で、健康寿命(健康上の問題で制限されることなく日常生活ができる期間)は男性71.9歳、女性74.8歳です(出典:世界保健機構(WHO) 2021年データ)。
 
特に持病等がなければ、平均的には男性は72歳、女性は75歳位までは、ゆっくりすることも含めて自由に過ごすチャンスです。60歳で定年退職する男性は、健康な状態で好きなことができる期間は平均的には12年程度です。
 
人生100年時代といわれる昨今でも、老後思い通りに使える時間は案外短いかもしれません。
 
逆に平均寿命と健康寿命との差(男性9.8年・女性12.4年)は、何らかの介護が必要な期間とされ費用が必要なこともあります。
 
【図表1】

図表1

まとめ

退職後は「お金」以外にも「健康」が大切です。気をつけたいポイントは以下のとおりです。

・定期的な検診と適度な運動を心がける
 
・やりたいことは先送りにせず70代前半までにやる
 
・老後費用は介護費用も含めた余裕のある見積もりを

定年後をどう過ごすかは人それぞれです。お金と健康に気を配りながら、充実した人生を過ごしましょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
厚生労働省 高齢者雇用状況等報告 表1 雇用確保措置の実施状況
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
内閣府 令和4年度 高齢者の健康に関する調査結果
WHO World Health Statistics 2024
 
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士

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