4年前から「遺族年金」受給中の63歳です。制度が変更になるといわれていますが、私はずっと受給できるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月19日 4時50分
共働き世帯が増え、働く女性が増加してきている中で、遺族年金の在り方についても改善が必要とされています。制度改正に向けての議論が進められているようですが、具体的にどのようなことが変わるのか確認しておきましょう。 本記事では、子どものいない年金受給者を対象とした「遺族年金」の制度が変更になる件について、改正の背景や内容・これから必要な対策も含めて解説します。
なぜ遺族年金制度の改正が必要になったのか?
そもそも遺族年金とは、国民年金・厚生年金保険の被保険者が亡くなったとき、その遺族によって生計を維持されていた場合、所得を保障するための年金です。一家の大黒柱が亡くなり、のこされた家族が生活に困ることがないように、年金を受け取れるようになっています。
これまでは、受給者が男性か女性かによって受けられる保障内容に大きな違いがありました。今回の改正は、働く女性が増え、共働き家庭が増加したことが背景にあるようです。
内閣府 男女共同参画局によると、令和5年における女性の就業率は15~64歳が73.3%、25~44歳が80.8%と上昇傾向にあります。このように「男性が主たる生計維持者である」という以前までの社会的状況は変化しつつあるといえるでしょう。制度上の男女比をなくすことが、今回の改正の目的であると考えられます。
子どものいない遺族年金受給者にとって何が変わる?
現行制度では、20歳~50歳で配偶者を亡くした子どものいない人を対象とし、次のような給付が行われてきました。
●30歳未満:5年間の有期給付
●30歳以上:無期給付
●55歳未満:給付なし
●55歳以上:無期給付(支給開始は60歳)
女性は年齢に関係なく遺族年金を受給できる一方で「男性は働いて生計を立てられる」という考えにより、55歳未満だと受給なしとなっています。こうした男女差をなくすために、今回の改正により、以下のように変わることが予定されているようです。
●年齢要件にかかわる男女差を解消するために、20代~50代に死別した子のいない配偶者は男女ともに5年間の有期給付とする
●現行における妻への有期給付については、対象年齢を30歳以上へ段階的に引き上げる
すでに遺族年金を受給している人にも影響はある?
今回の事例は「4年前から遺族年金受給中の63歳」ということですが、制度改正により遺族年金をもらえなくなる可能性はあるのかを確認しておきましょう。
厚生労働省の「遺族年金制度等の見直しについて」には「施行日前に受給権が発生している遺族厚生年金については、現行制度の仕組みを維持する」と記載されています。つまり、現在すでに遺族年金をもらっているのならば、今回の改正による影響を受けることはないと考えていいでしょう。
いずれにしろ、有期給付を受けられる年齢を、20年以上の相当な時間をかけて段階的に引き上げるとされているため、今すぐ遺族年金を受給できなくなるといった心配は必要ないでしょう。
受給中の人は制度変更による影響を受けないと考えていい
社会に出て働く女性の増加により、男女差のあるこれまでの遺族年金制度の見直しが開始されています。
これまで、妻を亡くした夫は55歳未満では給付を受けることはありませんでしたが、男女ともに「5年間の有期給付」というように変更される予定です。また、女性の有期給付についても、対象年齢が徐々に引き上げられることが検討されています。
ただし、すでに遺族年金を受給している人は今の制度がそのまま適用されることになっているため、今回の事例のような心配をする必要はないと考えられます。
しかし、将来的に制度がどのように変更になる可能性があるのか、詳しく確認しておくと安心でしょう。
出典
厚生労働省 遺族年金制度等の見直しについて 20代から50代に死別した子のない配偶者の遺族厚生年金の見直し(2ページ)
内閣府 男女共同参画局 男女共同参画白書 令和6年版 2-1図 女性就業率の推移
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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