60歳で定年を迎えた後に、再雇用で働くか迷っています。再雇用で働くメリットはありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月19日 8時0分
定年後も働くことは、もはや珍しいことではありません。「生涯現役」という言葉があるように、定年後も何かしらの形で働きつづける方は、決して少なくはないでしょう。そこで、定年後に改めて雇用契約を結んで働く「再雇用」のメリットについて考えてみました。
慣れた勤務先で働きつづけられる
定年後も慣れた勤務先で働きつづけられるのは、再雇用の大きなメリットです。個人差はありますが、定年を迎えてから新しい環境で働くことや、新しい仕事を始めることに、ハードルを感じることもあるでしょう。
そういったことを理由に、定年後の働き方に悩んでいる場合は、再雇用によってその問題をクリアすることができるでしょう。
もちろん、定年前と全く同じ仕事内容や業務量で働くことは難しいかもしれませんが、少なくとも同じ会社や系列の会社、店舗で働きつづけることができ、安心できるはずです。
再就職のための活動なくすぐに働きつづけられる
再就職するとなれば、前職やプライベートなどでコネがない限り、就職活動は大変なものとなるでしょう。たしかに高齢者向けの求人が増えているとはいえ、現役時代の頃よりも収入が落ちることが一般的です。
かといって、少しでも望む業務内容や収入に近い働き方を求めれば、再就職できなかったり、かなりの時間を要したりすることになるかもしれません。再就職に当たっては、年齢も相まって、想像以上にエネルギーを要することが想定されます。
その点、再雇用であれば、基本的に就職活動をすることなく、かつ、定年前の働き方や実績を踏まえた条件で働くことも期待できます。
老後の収入が増える
再雇用に限った話ではありませんが、定年後も働くことで、年金以外の収入を得ることができ、生活が安定します。
仮に年金が月15万円であっても、再雇用で働き、そこで毎月20万円の収入を得られれば、額面35万円の収入が得られます。年金だけでは生活が難しいという場合、再雇用で働くことの金銭的な安定性は、かなり大きなものとなるでしょう。
人によっては「年金の繰下げ受給」によって、受け取る年金額を増やすこともできるようになるかもしれません。年金の繰下げ受給とは、年金の受取開始時期を65歳ではなく、66歳以後75歳までの間で繰り下げることで、1ヶ月遅らせるごとに受け取る年金額が0.7%増加する、というものです。
いずれにせよ、収入面のメリットは非常に大きいものといえそうです。
忘れてはいけない年金問題
正直なところ、「慣れ」の問題や再就職のための活動については、なんとかなるはずです。「慣れ」の問題も時間が解決してくれるでしょうし、妥協すれば働く先は見つかるはずです。しかし、年金についてはそうはいきません。
年金には「在職老齢年金」という仕組みがあります。簡単に説明すると、賞与を含む給与と老齢厚生年金の合計額が1ヶ月50万円(令和6年度の支給停止調整額)を超えると老齢厚生年金の一部または全部がカットされる、という仕組みです。
参考までに、賞与を含む給与が36万円・老齢厚生年金が20万円・老齢基礎年金が6万円という方であれば、本来は額面上1ヶ月62万円の収入を得られたはずです。しかし在職老齢年金により、老齢厚生年金額は20万円から17万円になってしまいます。結果、給料と年金の合計額は59万円になってしまう、というわけです。
まとめ
定年後も再雇用で働くことには、働きやすさや就業のたやすさというメリットのほか、収入増加による金銭的なメリットが考えられます。しかし、老齢厚生年金と給与の合計が月50万円を超えると、在職老齢年金によって老齢厚生年金が一部または全部カットされる可能性もあります。
思わぬデメリットで損をしないためにも、再雇用で働く際は、メリットだけでなくデメリットも含め、十分な検討が必要です。
執筆者:柘植輝
行政書士
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