50代前半の会社員で定年退職後も働きたいと考えています。働き方として「再雇用」「再就職」「起業」の3つがありますが、それぞれの特徴はなんでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月20日 23時0分
人生100年時代を迎え、60歳はおろか、70歳を過ぎてからも、多くの人がバリバリ働いています。 総務省統計局の「労働力調査」によると、65歳以上の就業者数および就業率は上昇傾向であり、特に65歳以上の就業者数は914万人で、20年連続で前年を上回っています。また就業率を見ても、内閣府「令和6年版高齢社会白書」によれば、65~69歳は52.0%、70~74歳は34.0%、70歳以上の11.4%は現役なのです。 高齢者の就業率が右肩上がりの今、シニア向けの求人は多数ありますが、選び方を間違えると「働き損」にもなりかねません。定年後の働き方を大きく分けると、それまでと同じ職場で継続して働く「再雇用」、新たな職場で働く「再就職」、そして「起業」があります。どれを選ぶべきかを考えてみましょう。
安定を求めるなら「再雇用」
収入の確保や社会保障といった安定を優先したいなら、再雇用をおすすめします。また、それまでのスキルや経験が生きるうえ、人間関係を新しく構築する必要はなく、安心感があります。ちなみに、厚生労働省の令和5年「高年齢者雇用状況等報告」によると、60歳定年企業において、継続雇用された人は87.4%です。
ただし、「現役時代と同じ仕事内容でも給料が大幅ダウン」「部下が上司になる可能性がある」「過去にトラブルや大きな失敗があれば、その事実を知られたまま働くことになる」「65歳で強制終了となる可能性がある」など、デメリットもあります。「仕事がつまらない」「あと、5年も我慢か」と思う人もいるかもしれません。
長く働きたいなら「再就職」
続いては、再就職について考えてみましょう。例えば今の会社が60歳定年でも、70歳定年の会社に再就職できれば、生涯でもらえる収入は多くなる可能性があります。また、スキルや経験によっては再雇用と同じか、より条件のよい職場が見つかる場合もあります。
しかし、シニアの再就職市場は、厳しいのが現状です。
実際に、一般的な求人を検索してみましょう。60代や70代に求められている、年齢不問の求人案件は、いわゆるエッセンシャルワーカーが圧倒的に多いのが特徴です。「介護」「清掃」「警備」「調理」「建築」「販売・接客」などの職種は、全国的に多くの求人情報が掲載されています。
こうした職種で働くためには、体力が必須です。机に向かって行う事務仕事ではありません。時には一日中立ち続け、重いものを運ぶなど、下半身に負担がかかり体力的にはとても厳しい仕事です。そのためにも、自分の健康を維持するための努力をしておく必要があるでしょう。
また、「正社員」か「非正規雇用」かも大きなポイントです。「令和6年版高齢社会白書」によると、シニアの雇用形態は、非正規雇用が圧倒的に多いです。ちなみにその割合は65~69歳で、男性は67.6%、女性は84.8%にもなります。正社員として働くシニアは、男性で3人に1人、女性で4人に1人程度です。
ただし、シニアの場合は非正規で採用されたからといって、必ずしも正社員に比べて収入で見劣りするわけではないことも覚えておきましょう。若い人と比べ、シニアには長年の経験や知識があることが多いためです。
やりたい仕事が生涯できる「起業」
起業をすると、自分の好きなことややりがいを優先して仕事ができます。決して「やらされる仕事」ではありません。1人で仕事を行うことができ、気楽です。また、うまくいけば現役時代より多くの収入を得られる可能性があります。ただし、給与が保証されず、失敗するリスクもあり、不安定であり、さらに厚生年金に入ることができない場合もあります。
もし、生涯現役を目指すならば、起業することもおすすめです。
まとめ
定年後も働き続けるのであれば、3つの選択肢があります。安定を求めるなら「再雇用」、長く働きたいなら「再就職」、そしてやりたい仕事を生涯続けるなら「起業」です。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自身の定年後のライフプランに合わせ、じっくりと考えて、選択することをおすすめします。
出典
総務省統計局 労働力調査(基本集計) 2023年(令和5年)平均結果
内閣府 令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)
厚生労働省令和5年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
執筆者:水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
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