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「平均寿命」は、その年に生まれた赤ちゃんの平均寿命のこと! すでに高齢の私はあと何年生きるの?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月21日 6時0分

「平均寿命」は、その年に生まれた赤ちゃんの平均寿命のこと! すでに高齢の私はあと何年生きるの?

日本人の平均寿命は、コロナ禍で一時下がりましたが、また上昇に転じています。しかし、平均寿命って誰の寿命のことかご存じですか? 中高年層の老後準備の実態と合わせ、解説します。

平均寿命と平均余命

2024年7月に公開された令和5年簡易生命表(※1)には、最新の平均寿命と平均余命が載っています。
 
平均寿命とは、「0歳時点」で何歳まで生きられるかを統計から予測したものです。つまり、令和5年の平均寿命はその年に生まれた赤ちゃんの平均寿命です。すでに何十年も生きている人の寿命予想ではありません。たとえば、来年70歳になる方が生まれた1955年の平均寿命は、男性が63.30歳、女性が67.75歳でした。平均寿命をもう上回りますから、このあと何年生きそうかの参考にはなりませんね。
 
この場合、70歳になる方が同年齢の寿命予測を知りたい場合に用いるのが平均余命です。
 

自分の年齢だと寿命は何歳?

平均余命は、ある年齢時点の方が何歳まで生きられるかを統計から予測したものです。実は平均寿命と同じ算出方法です。異なるのは、「0歳以外の年齢」からあと何年生きるかを示している点です(※1)。
 
表1を見ると、令和5年の平均寿命(0歳の人の平均余命)は男性81.09歳、女性87.14歳ですが、同じく5歳の人に平均余命を足すと、もう同年の平均寿命を上回ります。すでに85歳まで存命の方に平均余命を加えると、それぞれ91.29歳、93.33歳と平均寿命を大きく上回ることがわかります。
 
同じ年に生まれ、調査時点まで生存できた人の寿命予測なので、長く生きるほど医療技術の進歩による貢献等もあり、最新の平均寿命も超えた余命になるということです。
 
表1:主な年齢の平均余命(令和5年)

表1

同じく、男女それぞれ10万人の出生に対する男性90歳、女性95歳の生存率が25%以上になっているとの調査結果もあります(※1)。
 
このように、老後のライフプランや家計を考える際のポイントである自分の余命は、男女とも平均寿命を大きく上回っています。老後資金の検討では、平均寿命にとらわれず、90代まで抑えておくほうが手堅いでしょう。
 

老後資金の見通しをもっているか

一方、気持ちや行動はその現実に追いついているのでしょうか。老後に向けての意識や準備状況について確認します。
 
表2は、「何歳まで生きると考えて経済的準備を行っているか」を聞いた意識調査の結果です(※2)。
 
40歳から59歳(中年層)では、80代前半までしか準備を考えていない方が多く、意識だけではなく実際の備えにも不安が残ることが見て取れます。
 
表2:何歳まで生きると考えて経済的準備を行っているか〈図表Ⅵ-10〉

表2

なお、60歳以上が準備している金融資産の上位3つは、預貯金、生命保険、NISAの順となります。
 
また、公的年金の繰り上げ繰り下げ制度を知っているかどうかを聞く設問では、知らないと答えた割合が50代前半で22.8%、後半でも17.9%いました。
 
もうすぐ定年を迎える50代で、まだこれだけ老後資金の基礎になる公的年金の受け取り方を知らないのは、思いのほか多いと感じます。
 

何歳まで生きたいですか

同じ意識調査に「何歳まで生きたいですか」という問いもありました。
 
その結果、40~50代の中年層は、「60~70代まで生きたい」との希望が38.3%に達しています。最新の平均寿命よりも若いですね。
 
「自分は長生きしないだろうから」「迷惑かけずにピンピンコロリで死にたい」など、中年層のうちはあまり深い考えも根拠もなく捉えているのでしょう。
 
自分の寿命に関する漠然としたイメージと、実際の平均年齢にギャップのある方が多いことも、老後資金準備が不十分な一因かもしれません。
 

最後に

よく比較されるものに「健康寿命」があります。
 
健康寿命とは、健康上の問題で日常生活に制限のない期間の平均を指します。高齢社会白書(※3)によれば、2019年時点で男性は平均寿命より約9歳、女性は約12歳早く健康寿命を迎えますから、男女とも健康で過ごせる平均年齢は70代中頃までになります。
 
ちょうど「生きたい年齢」と重なるようですが、さらに90代まで、心身の健康問題と付き合いながら暮らしていく可能性が大きいということです。
 
これらの年齢はあくまで平均値あるいは予測ですが、それらを知ったうえで、自分の経済的準備を進めることが大切といえます。
 

出典

(※1)厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況
(※2)生命保険文化センター ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査(2021年6月)
(※3)内閣府 令和6年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向
 
執筆者:伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

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