車の購入費「300万円」を祖父に立て替えてもらいましたが「返済はいつでもいい」といわれています。返すつもりなので「贈与」ではないですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月21日 5時10分
車や家など大きな買い物をするときは、親や祖父母からお金を一部貸してもらうケースがあるでしょう。借金は贈与税の課税対象ではありませんが、返済状況によってはそもそも借金ではないとみなされるときがあるため、注意が必要です。 今回は、借金が贈与とみなされる条件や、課税されないための対策などについてご紹介します。
返済しなければ贈与になる可能性
もし、親や祖父など身近な人にお金を立て替えてもらった場合、返済をしなかったり、不定期での返済にしたりしていると、贈与税の課税対象になる可能性があります。国税庁によると、借金が贈与でないと認められるのは「借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合」です。
返済をしていなければ、借金の実態があるとはみなされないでしょう。実際、国税庁でも「あるとき払いの催促なし」や「出世払い」といった賃借は、親族への借金とはみなされず贈与扱いになるとされています。
ただし、相続税法第8条では「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その債務者の扶養義務者によつて当該債務の全部又は一部の引受け又は弁済がなされたとき」は借金の免除を受けても贈与にはあたらないとされています。
例えば、車のローンを組んで購入したものの返済が難しくなり、祖父に立て替えてもらったとしましょう。このケースだと、祖父があるとき払いとした理由が「本人のお金の困窮により返済ができなかったため」にあたるため、贈与にならない可能性もあります。
しかし、もし贈与税の課税対象にもかかわらず借金だったからと放置していると、納税忘れとして税務署に指摘される場合があります。課税対象か分からない場合、税務署に確認した方がいいでしょう。
もし300万円が課税されると税額はいくら?
今回は、300万円が課税対象になり、同じ年にほかの贈与は受け取っていないと仮定して税額を計算しましょう。
借りたお金が贈与税の課税対象になった場合、借りた本人が成人していれば特例税率が適用されます。特例税率とは、成人した人物が直系尊属から財産を贈与されたときに適用される税率です。そのほかは一般税率で計算されます。
また、贈与税を計算するときは、まず基礎控除額である110万円を引いてから税率をかけます。今回のケースだと、300万円から110万円を控除するので課税金額は190万円です。190万円のときの税率は10%のため、贈与税19万円が課されます。
なお、贈与税は1年間に受け取った財産の合計額を基に計算するため、もし、ほかの人からも同じ年に財産を贈られていれば、贈与税額も変動します。贈与税の申告をするときに、ほかの人からも何か財産を受け取っていなかったかを確認しておきましょう。
課税されないための対策は?
贈与だと判断されないためには、借用書を作ったり少額ずつでも返済したりする方法があります。返済の実態がなければ借りたものではなく、贈与されたものと判断されるためです。
借用書は目に見える形で残る借金の証拠です。祖父と自分の署名をしたうえで、双方で保有しておきましょう。さらに、借用書を作っていない場合は、分割払いでも祖父へお金を返していれば、返済していると判断される可能性があります。借金と返済は口座間でやり取りをすると、客観的証拠としての口座履歴が残るためおすすめです。
返済しているとはっきり分からなければ贈与と判断される可能性もある
当人同士はお金の貸し借りのつもりでも、返済の実態がなければ税務署から贈られたとみなされて税金が課される可能性があります。返済の約束をしていても、あるとき払いや出世払いは借金とはみなされない可能性があるため注意が必要です。
もし、借りたお金が贈与税の課税対象となると、300万円の借金で、他に贈与されていない場合は19万円の贈与税が発生します。少しでも税金の負担をなくしたい場合は、借用書を作ったり口座間で少額ずつ返済をしたりして「借金をして返済もしている」明確な証拠を残しておきましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4420 親から金銭を借りた場合
デジタル庁 e-Gov法令検索 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第八条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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