年金生活を間近に控える60歳です。大学生のときに「学生納付特例」を利用しましたが、年金額はどのくらい減るのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月21日 5時50分
学生の間はバイトと勉強の両立であまりお金を稼げず、年金保険料が支払えないという方もいるでしょう。そうした場合に、利用できる制度が「学生納付特例」です。 ただし、学生納付特例を利用すると、老後の年金額が変動する可能性があります。年金を満額受け取りたいときは、制度の利用後に対策が必要です。今回は、学生納付特例の概要や年金額がどれくらい変わるのか、また60歳でもできる年金額を増やす方法などについてご紹介します。
学生納付特例とは
大学や高等専門学校などに通う学生が、国民年金の支払いを猶予してもらえる制度が「学生納付特例」です。本来、年金を受け取るためには受給資格期間が10年以上あることが必要ですが、制度を利用すると猶予されている期間も受給資格期間に算入できます。
日本年金機構によると、学生納付特例を利用できる条件は、本人の所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」の合計額以下の学生です。また、1年以上の課程に在学している必要があります。
なお、あくまでも学生納付特例は受給資格期間のみに算入されるので、受け取れる老齢基礎年金額の計算には加えられません。例えば、20~60歳の40年間のうち4年間にわたって制度を利用した場合、受給資格期間は40年ですが、受給金額の計算に使われるのは36年分です。
もし、年金を満額受け取りたい場合は、制度を利用してから10年以内に4年分を追納する必要があります。10年を超えると追納できないため、学校の卒業後で経済的に余裕があるときは、なるべく早いうちに追納をしておきましょう。
制度を利用すると受け取れる年金はどれくらい変わる?
受け取れる老齢基礎年金額は、免除制度を利用していなければ「満額の老齢基礎年金額×保険料を支払った月数/480ヶ月」で求められます。今回は、国民年金を支払うことで受け取れる老齢基礎年金のみの金額で、学生納付特例を使用した場合と全期間支払った場合の金額差を比較しましょう。
令和6年度の老齢基礎年金額は、満額で81万6000円です。もし20~22歳までの2年間、学生納付特例を利用したとすると、保険料の支払い月数は456ヶ月です。そのため、老齢基礎年金額は「81万6000円×456ヶ月/480ヶ月」となり、77万5200円を受け取れます。満額と比べると、4万800円の差です。
65歳以降で年金額を増やす方法
65歳になってから年金を増やす方法としては、繰下げ受給があります。繰下げ受給とは、本来の受給開始年齢である65歳以降に、年金の受け取るタイミングをずらすと受け取れる年金額を増やせる制度です。
受給タイミングを1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつの割合で増加します。例えば、学生納付特例を2年間使用した方が受け取る年齢を70歳まで延長したとすると、77万5200円から42%増額した110万784円を受給可能です。
さらに、75歳まで延長すると84%増額した142万6368円を受け取れます。ただし、繰下げ受給は最大75歳までです。また、すでに年金を受け取り始めている場合は、あとから繰下げ受給には変更できません。
なお、年金の受給時期を遅らせると、受け取るまでの生活費は貯金などから賄う必要があります。人によっては、遅らせることで逆に生活が苦しくなる可能性があるため、繰下げ受給を検討する際は生活費を工面できるか考えてから決めましょう。
2年間学生納付特例を利用すると老齢基礎年金が4万800円減る
学生納付特例では、年金保険料が支払えないときに、学生の間で条件を満たしていれば支払いを猶予してもらえる制度です。ただし、猶予期間は受給額の計算には加わらないため、制度を利用した場合は満額よりも少ない金額を受け取ることになります。
2年間制度を利用したとすると、令和6年時点で、老齢基礎年金額は4万800円少なくなる計算です。もし、満額を受け取りたい場合は、制度を利用してから10年以内に追納が必要となります。
追納をしていないケースでも、まだ年金を受け取っていないのであれば、繰下げ受給で受け取れる金額を増やすこともできます。貯金に余裕がある方は、繰下げ受給の利用も検討しましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
大学生の娘がいます。学生なので「国民年金保険料」は猶予されていますが、子どもの分を親が払っても問題ないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月27日 2時10分
-
友人が「学生のときの年金保険料を支払った」と言っていました。追納すると、将来もらえる年金はいくら増えるのですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月27日 1時40分
-
月にたった400円!? 付加年金を払えば将来の年金が増えると聞きました。夫が会社員の専業主婦は入れますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月21日 22時20分
-
平均月16万円だが…「年金が減らされた」と肩を落とす〈60歳定年退職の元大卒サラリーマン〉、年金「年6万円増額」の簡単な方法に歓喜
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月8日 8時15分
-
40歳の同僚が「大学生のころの年金が未納扱いになっている」と話していました。大学生時代に払わなかった数年分は年金にいくら影響あるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月3日 22時50分
ランキング
-
1インテル、ダウ平均から25年ぶり除外…8日からエヌビディアと入れ替え
読売新聞 / 2024年11月2日 7時16分
-
2米経済「崖から落ちた」=10月の雇用不振を批判―トランプ氏
時事通信 / 2024年11月2日 7時50分
-
3センスがいい人は自然とやっている…「エレベーター内の気まずい空気」をサラッと変える魔法の"声かけ"
プレジデントオンライン / 2024年11月2日 8時15分
-
4居酒屋で「料理+水だけ頼む」のはNG? お酒が飲めず「食事目当て」なのですが、あまり利益にならないでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月1日 4時40分
-
5「てんや」が値上げ コメの価格高騰が理由、ご飯おかわりサービスも終了へ
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月1日 20時34分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください