子どもに「1000万円」と「家」を遺す予定です。それぞれどの方法で渡すと一番節税できるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月22日 10時10分
自身の年齢も高齢になってくると、子どものために財産を遺しておきたいと考える方もいるでしょう。子どもに財産を遺す方法にはさまざまなものがありますが、方法によっては子どもが支払う税額が大きく異なるケースもあるため、注意が必要です。 今回は、子どもへ財産を遺す方法や、方法によって税額がどれくらい異なるのかなどについてご紹介します。
子どもへ財産を遺す方法は「相続」か「生前贈与」
子どもへ財産を遺す方法としては、自身が亡くなったあとに子どもへ所有権が渡る「相続」か、生きている間に財産を渡す「生前贈与」があります。
相続税は、贈与税よりも基礎控除額が高いため、相続で遺すほうが財産の金額によっては税金がかからない点がメリットです。また、家を相続する場合、条件に該当していれば「小規模宅地等の特例」を利用でき、相続税の節税につながります。
一方、生前贈与で渡すメリットは、任意のタイミングで渡せる点です。相続はいつになるか明確な時期が分かりませんが、生前贈与にしておくと子どもがお金を必要としているときに渡せます。
さらに、国税庁によると、令和7年3月31日までに「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」を利用すると、非課税で最大1000万円まで送金可能です。もし、今後子どもの結婚や子育て資金としてお金を渡したい場合は、このような非課税制度の活用も節税対策として有効でしょう。
相続と生前贈与で渡したときの税額
相続にするか贈与にするかで、税率が変わるため最終的な税額も異なります。今回は、現金1000万円と評価額3000万円の家を遺すとして、税額を計算しましょう。条件は次の通りとします。
●家の面積は300平方メートル
●相続人数は子ども1人(成人済み)
●生前贈与は非課税制度を利用して1000万円を渡す、家は同時期に渡す
相続で遺すときの税額
相続税の基礎控除額は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。今回の条件だと、3600万円になります。また、家の面積は300平方メートルで居住用の場合「小規模宅地等の特例」の対象です。家については評価額を80%減額したうえで、税金の計算に加えるため、相続税の計算に使われる家の価格は600万円になります。
現金1000万円と家の価格600万円を足すと1600万円となるため、基礎控除額以下です。そのため、今回のケースでは相続税はかかりません。
生前贈与で渡すときの税額
条件を基に生前贈与をすると、非課税制度を利用するため現金には贈与税がかかりません。ただし、家には贈与税が発生します。贈与税の基礎控除額が年間110万円なので、家の評価額から基礎控除額を差し引いた2890万円が贈与税の課税対象です。
贈与税率は、18歳以上の方が両親や祖父母などから受け取ったときに用いる特例税率と、それ以外のケースで用いる一般税率に分けられます。今回は親から成人済みの子どもへ渡すため特例税率で、国税庁によると、2890万円のときは税率45%、控除額が265万円です。そのため、贈与税額は1035万5000円かかります。
家の評価額によって最終的な税額は変動しますが、家を渡す場合には相続で譲ったほうが税金は安くおさえられるでしょう。現金は、使い道によっては生前でも非課税で渡せる可能性があります。
なお、相続税、贈与税ともに非課税制度や特例を利用するには手続きが必要です。申請を忘れると適用されず、受け取った全額に対して税金が発生するため注意しましょう。さらに、生前贈与で受け取っていても、贈与をした方が亡くなった際に相続税が課される場合があります。
家は相続のほうが税金を安くおさえられる可能性がある
子どもに財産を遺す方法としては、亡くなってから相続させる方法と、自身が生きている間に贈与として渡す方法があります。相続税、贈与税で利用できる制度が異なるため、渡したい財産の種類や金額に応じて、どちらを利用したほうがよいのかはよく考えて決めましょう。
特に、家を遺したい場合は、相続財産としてだと一定条件を満たしていれば「小規模宅地等の特例制度」を利用できますが、贈与では利用できません。少しでも子どもの税負担を軽くしたいのなら、事前に制度の利用条件や手続き方法などを子どもと確認しておくとよいでしょう。
出典
国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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