年収が「500万円」から「600万円」にアップしたら来年の「住民税」は毎月どのくらい高くなる?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月23日 9時30分
昇進や転職などで、年収が以前よりも100万円以上高くなった経験がある方もいるでしょう。年収が高くなると、手取り額が増えますが、住民税など給料から引かれる金額も大きくなります。人によっては、想定よりも多く引かれたと感じる可能性も少なくありません。 今回は、年収500万円と年収600万円の場合で引かれる住民税の差や、節税する方法などについてご紹介します。
年収500万円と年収600万円で引かれる住民税の差
今回は、以下の条件を基に年収500万円と年収600万円のときの住民税額を比較していきましょう。
・住所は東京都
・40歳を超えている
・賞与はないものとする
・月収は一定とする
・適用される控除は基礎控除、給与所得控除、社会保険料控除のみ
・健康保険料および介護保険料、厚生年金保険料は全国健康保険協会の「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を参考
なお、今回のケースだと給与所得控除額は「収入金額×20%+44万円」で求められます。
年収500万円のケース
まず、課税される所得金額を求めるために社会保険料控除の金額を計算する必要があります。
条件を基にすると、年収500万円のときの月収は約41万6667円です。月収約41万6667円の際の健康保険料と介護保険料は、合計で月に2万3739円で年28万4868円、厚生年金保険料は月に3万7515円で年45万180円になります。また、雇用保険料率は年収に対して0.6%なので、年に3万円です。すべてを合計すると、社会保険料は76万5048円になります。
給与所得控除は「500万円×20%+44万円」で144万円なので、社会保険料控除と給与所得控除を引いた279万4952円が税金の計算に使う数値です。
住民税は合計所得金額が2400万円以下の場合基礎控除が43万円のため、課税金額は236万4952円になります。住民税は金額にかかわらず「課税金額×10%+5000円(東京都の住民税均等割額)」なので、住民税額は約24万1495円です。
年収600万円のケース
年収600万円の場合、月収は50万円です。月収50万円の健康保険料と介護保険料は、月に2万8950円で年34万7400円、厚生年金保険料は月4万5750円で年に54万9000円になります。雇用保険料は年3万6000円のため、社会保険料は合計93万2400円です。給与所得控除が164万円なので、社会保険料控除と給与所得控除を引いた342万7600円を計算に使用します。
住民税の基礎控除を引いた金額は299万7600円になるため、住民税額は30万4760円です。年収500万円のときと比べると、年6万3265円ほどの差になります。
なお、年収からは住民税のほかに所得税も引かれるため、実際の手取り額はさらに減少します。
節税する方法
できるだけ節税をしたい場合は、控除制度を活用することがおすすめです。例えば、1年の間に医療費を支払っており、合計額が10万円を超えていれば「医療費控除」を受けられます。国税庁によると、医療費控除の対象となる条件は以下の通りです。
(1)納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
(2)その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)。
また、10万円に満たない場合でも、健康診断などを受けていて、その年に特定一般用医薬品等を購入していれば、「セルフメディケーション税制」による控除を受けられる可能性があります。どちらも所得控除なので、所得税や住民税の金額を少なくできるでしょう。
年収500万円と、年収600万円では住民税だけでも年6万3265円ほどの差が出るケースがある
今回のケースだと、年収500万円と年収600万円では、給料から引かれる住民税額に年6万3265円ほどの差がありました。月額換算で約5272円の差です。ただし、控除の種類や賞与の金額などによって変動します。
また、医療費控除やセルフメディケーション税制といった控除制度を利用すると、節税が可能です。少しでも節税したい方は、利用できる控除がないかチェックしておきましょう。
出典
全国健康保険協会ホームページ
国税庁 確定申告書等作成コーナー 医療費控除とセルフメディケーション税制の違いについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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