一人暮らしの母が要介護に。「施設に入りたい」と言うのですが、入居費用は誰が払うのですか? 私は自分の家庭があってあまり援助できません
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月23日 5時20分
介護が必要になった親から、「施設に入りたい」と言われるケースは多くあります。そのような相談を受けたとき、「入居費用はいったい誰が払うの?」と悩む人もいらっしゃるでしょう。親の介護施設の費用は誰が払うのか、費用はいくらくらい必要なのか、お金が足りなくなったときはどうしたらいいのか、など一緒に確認していきましょう。
本人の介護保険と年金で賄いたい
介護は育児と違って、「何年か後には必ず自立できる」というようにゴールが決まっているものではなく、「生きているかぎり続き」かつ「さらによりサービスが必要になる可能性が高い」ものです。
人間は加齢とともに、筋力や体力が衰えていきますから、例えば、かつては要介護3だったのが要支援になった、ということはまずないと考えるべきでしょう。そうなると、子どもとしては「いつまで負担しなければならないのか」先が見えない費用を負担し続けることは難しいので、お母さまご自身の介護保険と年金で賄うことを前提とすべきです。
月額8~40万円、平均介護年数5年で総額500~2500万円
介護施設によって月額利用料金は大きく変わります。民間型で、手厚いサービス、ホテルのような生活を提供するところであれば、月額40万円以上で一時金が数千万円というところもあります。一方公共型であれば、月額料金8万円、所得や資産が一定額以下であれば、減額制度が適用になりさらに安く利用でき、一時金もありません。
以下に、確認のポイントをまとめました。
1.公的年金受給額などの収入と資産の確認
お母さまは、公的年金をどのくらい受給しているのでしょうか?
ご主人とは死別、ご主人は生前会社員(学校卒業から定年まで勤務)であったと仮定すると、お母さまの国民基礎年金とご主人の遺族厚生年金を併せて月額20万円前後になるかと試算されます。もし、ご主人が自営業の場合は前提が大きく変わります。
さらに、お母さまの預貯金など資産も併せて確認しましょう。
2.要介護度はいくつか
次に、お母さまの要介護度を確認しなければなりません。
介護施設には、民間が運営するものと社会福祉法人が運営する公共型施設があります。民間型施設には、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅およびグループホームがあります。それぞれの施設が手厚い見守り体制などアピールポイントを打ち出していますが、月額利用料はおおむね18~40万円で、年金だけでは賄えないことが多いです。
終の棲家になる可能性もあるため「いつまで」と期限がないだけに、預貯金などの資産での埋め合わせ、あるいは家族(子ども世代)からの支援が前提となります。
公共型施設としては特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)があり、それぞれ多床室と個室タイプがあります。月額利用料は、施設サービス費の自己負担分、居住費・食費とその他費用を合わせたもので、8~20万円と民間型に比べてリーズナブルです。利用料は収入や資産によって決定されます。
2つの運営主体による施設を比較すると、公共型施設であれば利用料負担として、子どもの支援に頼らなくても入所できるでしょう。
ただし、公共型施設の注意点として2つあります。
1つめは、入所にあたって要介護度の基準が設定されている点です。特養の場合は要介護3以上、老健の場合は要介護1以上の認定を受けていなければ、入所できません。
2つめは、費用負担が少ないだけに、常に順番待ちで入所に至る可能性が高くない点です。都心などでは何年も待機させられる場合も少なくありません。
公共型施設入所に早く入所希望ならば地方施設も探す
費用負担を考えて、公共型施設入所に絞って順番待ちをする間、どのようにして過ごしていけばよいか、という問題ですが、思い切って場所を選ばず、競争が激しくない地方を候補に加えることです。
その間、日常生活に不安があれば、要介護度に応じて利用限度額まで1割負担で使える訪問介護やショートステイ(短期入所)を経験して、施設入所の生活に慣れてもらうといいでしょう。
まとめ:母親の年金収入と介護度を確認し、地方の公共型施設を探す
ご相談者がやることは、自分からの持ち出しがないようにする。母親の年金収入や資産と介護度を確認し、地方で順番待ちが少ない公共型施設を探すのが現実的でしょう。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 介護にまつわる基礎知識 ~介護保険、成年後見、福祉サービス~ 介護サービスの種類
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者
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