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55歳で役職定年になり収入減でガッカリ。定年まで働いて嘱託社員になるか、いま転職するか、それぞれのメリット・デメリットは?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月23日 7時10分

55歳で役職定年になり収入減でガッカリ。定年まで働いて嘱託社員になるか、いま転職するか、それぞれのメリット・デメリットは?

「役職定年制度」ってどんな制度で仕事と給与はどのようになるのか、転職した場合のメリットとして考えられること、デメリットとして考えられることについてまとめました。

役職定年とは

役職定年とは、管理職である部長・課長などの役職に定年を設けて、既定の年齢に到達したらその役職を退くことをいい、社内の制度として運用することを役職定年制度といいます。役職定年の年齢は企業によって異なり、55歳以降で設定しているところが多いようです。役職からは退きますが、定年までは雇用は継続します。
 
この制度は、若手のポスト不足を解消して円滑な世代交代を進めようとした時代背景があります。ただし、最近は労働力不足や社員のモチベーション低下や長年培った専門知識やスキルをもったベテラン社員の流出などを懸念して、制度を廃止する企業も出てきているところです。「ジョブ型雇用」への移行が進んでいることも背景にあります。
 
一方で、運用を継続する企業や新たに導入する企業もあります。
 
人生100年時代といわれるなかで、役職定年を節目として、各人がこれからも続く長い人生を豊かに歩むために、これまでの働き方や考え方をいったんリセットし、新しい働き方、新しいセカンドキャリアについて考える機会になり、必要なスキル、知識、価値観など学び直しをするための後押しにつながるからです。
 

役職定年後の働き方と収入

役職定年後は組織内での役割が変わります。「後進への技術・技能の伝承」などの役割を担うケースが多いようですが、「通常業務の遂行」を行っている場合もあります。
 
少し古いですが、人事院が平成17年に調査した資料(「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」)によると、部長級だった方の場合は「おおむね同格の専門職」とする企業の割合は57.9%と過半数を占めており、役職定年前に比べ格下となるケースは37.5%にとどまっているという結果でした。
 
また、課長級だった方の場合は「おおむね同格の専門職」とする企業の割合が52.4%にのぼるが、役職定年前に比べ格下となるケースも43.2%という結果でした。
 
なお、同格であったとしても給与においては、役割(役職)に応じて支給されていた「役職級」に相当する手当分の支給がなくなるのは一般的です。結果的には年間で100万円~300万円ダウンする場合もあります。いずれにしても役職定年で給与が減り、定年後も継続して嘱託社員等になってさらに給与が減ることは避けられない事実です。
 
このように考えると、役職定年を機にこのまま会社に残るか新しい環境で再スタートをするか悩ましい問題が出てきます。
 

転職した場合のメリットとデメリット

転職する場合のメリットを「転職する動機」の視点で整理してみました。
 

【やりたいことをしたい】

いままでのキャリアをいったんリセットして、新しい分野で挑戦をすることも可能です。そのためには学び直しなどの期間も必要になる場合もあります。また、挑戦する分野がいままでのキャリアとの親和性が高くない場合には、転職活動に苦戦する場合もあります。
 

【まだまだ管理職として挑戦したい】

体力的にも気力的にもまだまだ管理職として、プレイングマネジャーとしてやっていけるという年齢で、役職を降りることに物足りなさを感じている方にとっては、企業のライフサイクルとして拡大成長中、または組織変革を目指す企業など、マネジメント層を求めている企業で活躍する機会を得ることができます。
 

【いままでの経験を求めている企業で生かしたい】

専門職としての深い経験を持つ方、総合職として企業内でさまざまな部署を経験し知見を深めてきた方など、豊富な経験を持つベテランを求めている企業もあります。そのような企業でいままでの経験を還元し、世の中に貢献する機会を得ることができます。
 
一方でデメリットとしてはどのようなことがあるのか?転職後に戸惑う事例を整理しました。
 

【企業文化の違い】

いままで勤めてきた企業と会社の規模、歴史、業種、顧客層、サービスが異なりますので、恐らく企業理念や文化が異なることは普通にあります。そのような環境の変化を柔軟に受け入れることができる人もいれば、変化に対応できない人もいます。対応できない人にとってはストレスになってしまい、早期退職してしまうこともあります。
 

【ゼロからのスタート】

社員や関係部署との関係構築、仕事の進め方やルール、業務管理システムなど、業務面でもゼロから覚えていかなければなりません。最初はその部分にエネルギーを注ぐことになるでしょう。
 

【福利厚生面等のギャップ】

福利厚生面でも、いままで当たり前だったことが対応していないこともあります。大企業から非大企業への転職をした場合などはよくあることです。
 

まとめ

最後に、収入面での検討は必要です。役職定年後65歳までの収入と転職した場合の65歳までの収入面での比較をした上で、セカンドキャリアを見据えた働き方の両面から検討したいところです。
 

出典

人事院 民間企業における役職定年制・役職任期制の実態
 
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

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