30代のフリーランス、国民年金に加入しています。「ねんきん定期便」を見て年金額が少ないことに愕然としました。年金額を増やすにはどのような方法がありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月23日 7時0分
老後に受け取れる国民年金(老齢基礎年金)は、夫婦で月額約13.6万円(満額の場合)です。夫婦高齢者無職世帯の平均的な消費支出は、月に約25万円(2023年)かかります。 この不足分を補うものとして、会社員の方(第2号被保険者)には厚生年金がプラスされていますが、フリーランスなど第1号被保険者は自分で準備する必要があります。 主な準備方法として、「任意加入」「付加年金」「国民年金基金」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」があります。
国民年金の年金額
国民年金(老齢基礎年金)は、すべての国民を対象とした年金です。20歳~60歳までの40年間(480月)保険料を支払い、65歳から老齢基礎年金を受給します。
老齢基礎年金を受給するには10年以上の加入期間が必要です。加入期間は保険料納付済期間、保険料免除期間、厚生年金の加入期間、合算対象期間(カラ期間)の合計です。40年間保険料を納めた場合、年金額(満額)は年額81万6000円です(2024年度)。
保険料納付済期間が10年以上であれば老齢基礎年金は受給できますが、年金額は満額の4分の1(120月/480月)になります。ちなみに、国民年金の保険料は、月額1万6980円(令和6年度)です。
任意加入制度
国民年金には、本人の申し出によって「60歳以上65歳未満」の5年間(納付月数は480月まで)、国民年金保険料を納付することで、65歳から受け取る老齢基礎年金を増やすことができる[任意加入制度]があります。
任意加入のメリットは、納めた保険料は社会保険料控除(所得控除)の対象ですので、節税しながら65歳から受け取る老齢基礎年金を増やすことができます。また、納付期間が10年未満の方は、任意加入することで無年金の解消ができます。
任意加入できるのは、次の以下のすべての条件を満たす方です。
1.日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
2.老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
3.20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
4.厚生年金保険に加入していない方
上記のほか次の方も加入できます。
・年金受給の資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の方
・外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方
なお、保険料は480ヶ月を超えて納付することはできません。
付加年金
国民年金の一般保険料に加えて、第1号被保険者は任意で付加保険料(月々400円)を納めると老齢基礎年金に付加年金が上乗せされます。付加年金の年金額は、200円×付加保険料納付月数です。保険料の総額は2年で元がとれ、3年目からプラスになります。
ただし、国民年金基金に加入している方は付加保険料を納めることはできません。
国民年金基金
年金を大きく増やすなら、国民年金基金を活用しましょう。加入できるのは、20歳以上60歳未満の自営業者やフリーランスなど、国民年金の第1号被保険者の方となります。またそのほかに、60歳以上65歳未満の方、海外居住の方で、国民年金に任意加入している方が加入できます。
国民年金の第1号被保険者であっても、国民年金保険料を滞納している方や学生納付特例や納付猶予を受けている方などは加入できません。
国民年金基金には一般の方が加入する「全国国民年金基金」と、歯科医師・弁護士・司法書士が加入できる「職能型国民年金基金」があります。
加入するには最初に口数を決めます。1口目は終身年金と決められています。2口目からは終身年金または確定年金から自由に選びます。終身年金(2種類)は65歳支給開始ですが確定年金(5種類)は60歳支給のものもあります。
掛け金の額は、選択した給付の型・加入口数・加入時年齢・性別によって決まります。掛け金の上限は、月額6万8000円です。年間最大81万6000円、社会保険料控除できますので大きな節税効果があります。老後に年金を受け取るときは公的年金等控除も利用できます。
なお、国民年金基金に加入している方は付加保険料を納めることはできません。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金と合わせて月額6万8000円が上限となります。国民年金基金脱退は任意ではできませんので注意しましょう。ただし、掛け金の減額や1口目の掛け金の払い込みを停止することは可能です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、加入者が毎月一定の金額を積み立て、定期預金・保険(元本確保型)や投資信託などの金融商品で自ら運用し、60歳以降に一時金または年金として受け取ります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)には、以下のような大きな税メリットがあります。
掛け金は全額所得控除(小規模企業共済等掛け金控除)の対象となり、所得税や住民税が節税できます。拠出限度額は、公務員などの月額1万2000円から自営業者の6万8000円など職業によって異なります。なお、国民年金基金の掛け金と合わせて月額6万8000円が上限となります。
さらに、運用益も非課税です。積立金を一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」が使えます。
ただし、預金などと違い、積立金を60歳まで引き出すことができませんので、注意してください。
出典
総務省 家計調査報告 [家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要
日本年金機構 国民年金に関するパンフレット あなたも国民年金を増やしませんか?(任意加入制度のご案内)
日本年金機構 付加年金
国民年金基金連合会 国民年金基金
厚生労働省 iDeCoの概要
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
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