実家放置で固定資産税が6倍に!? 空き家になる前に考える対策とは?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月25日 23時20分
改正空家法は、2015年に全面施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、空き家の管理を強化するための法律です。 この法律は、増加する空き家問題に対処するために、自治体に対して空き家を適切に管理する責任を課し、所有者に対しても、空き家を放置することのリスクを明確にしました。 今回は、2023年12月に施行された改正空家法で定められた「管理不全空き家」と「特定空き家」の違いを踏まえつつ、空き家になる前にできる対策について解説します。
「管理不全空き家」と「特定空き家」の違いについて
空き家問題が深刻化するなか、改正空き家法では「管理不全空き家」と「特定空き家」という2つのカテゴリが設けられています。これらの違いを理解することは、空き家を適切に管理し、リスクを回避するための第一歩です。
1)管理不全空き家とは?
「管理不全空き家」とは、適切に管理されていない空き家を指します。この状態にある空き家は、外観が荒れ果てていたり、放置されていたりして、周囲に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような状態が該当します。
・塀や屋根の崩れ
・窓の破損
・ゴミが散乱している
・害虫や害獣の巣になっている
管理不全空き家として認定されると、自治体から改善を求める勧告が届きます。もし改善が行われない場合、最終的には強制的に撤去や処分されることもあります。
また、市区町村長から勧告を受けると、住宅用地の特例が適用されなくなります。通常、住宅用地に該当する場合、固定資産税は小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)において6分の1に軽減されます。
よって、管理不全空き家として勧告を受けると、固定資産税が最大で6倍になる可能性があります。
2)特定空き家とは?
一方、「特定空き家」は管理不全空き家のなかでも特に、「地域に深刻な影響を及ぼす」と判断された空き家を指します。特定空き家に該当する条件は、以下のとおりです。
・周囲の環境に重大な影響を与えること
・地域の景観を損なうこと
・住民の生活に支障をきたすこと
具体的には、崩落や火災の危険性がある場合、悪臭や害虫の発生によって近隣住民に直接的な悪影響を与える場合などが挙げられます。
特定空き家に指定されると、所有者には改善のための具体的な期限が設けられ、期限内に対応しない場合は、自治体が強制的に撤去を行うことがあります。
特定空き家が行政代執行されて解体される場合、その解体費用は原則として所有者が負担します。このため、特定空き家に認定されることは、所有者にとって非常に厳しい状況を意味します。
図表1
特徴 | 管理不全空き家 | 特定空き家 |
---|---|---|
定義 | 適切に管理されていない空き家 | 地域に深刻な影響を及ぼす管理不全空き家 |
影響 | 周囲に悪影響を与える可能性 | 具体的な危険や悪影響を与える状態 |
対応 | 自治体からの勧告がある | より強い措置が取られる可能性 (行政代執行等) |
例 | 荒れた外観の空き家 | 崩落の危険がある空き家 |
筆者作成
空き家になる前にできること
空き家になる前に、所有者ができる対策はいくつかあります。これらの対策を講じることで、空き家問題を未然に防ぎ、経済的負担を軽減することができます。
1)定期的な管理とメンテナンス
実家が空き家になっている場合でも、定期的に訪れて清掃や点検を行うことが重要です。特に、風雨や自然災害により劣化が進むことがあるため、早めの対策が求められます。
2)賃貸に出す
空き家を賃貸物件として活用することで、固定資産税の負担を軽減し、安定した収入を得ることが可能です。地域の需要を調査し、適切な賃料を設定することが、成功の鍵となります。
3)地域のコミュニティーと連携する
地元の自治体や地域のコミュニティーと協力し、空き家を地域資源として活用する方法を探ることも一つの手です。例えば、地域のイベントスペースとして利用するなどすれば、地域貢献にもつながります。
4)専門家に相談する
空き家管理に関する専門家や不動産業者に相談することで、より具体的な対策を講じることができます。特に、売却や賃貸に関するアドバイスを受けることで、スムーズな手続きを進めることができるでしょう。
まとめ
空き家問題は、個人の資産だけでなく、地域全体に影響を与える重要な課題です。
実家が空き家になりそうな場合は、早めに行動を起こすことが求められます。定期的な管理や地域との連携、専門家の助言を活用することで、空き家問題を未然に防ぎ、持続可能な地域社会の形成に寄与することができるでしょう。
出典
国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について
執筆者:廣重啓二郎
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー
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