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定年して毎日家でゆっくりしていたら、妻が「暇なら働いたら?」と言います。生活費は足りているはず…お金以外に働く意味はありますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月26日 23時30分

定年して毎日家でゆっくりしていたら、妻が「暇なら働いたら?」と言います。生活費は足りているはず…お金以外に働く意味はありますか?

63歳会社員のAさん。収入を得られることはもちろん、そもそも仕事が好きで、できる限り長く働きたいそうです。   しかし「進むデジタル化や作業内容の変化など、いつまでも働き続けることで若者に迷惑をかけるかもしれない」など、デメリットに目がいってしまうとのこと。全国の60歳以上で、どのくらいの人が働き続けているのか、第二の人生も働くことで得られるメリットについて考えてみましょう。

2023年現在、65〜69歳の就業率は52%

厚生労働省による「高齢者雇用対策の概要」によれば、2023年で60歳から64歳までで74%、65歳以上69 歳までで52%、70歳以上の18.4%が就労しています。
 
就労を継続している人はすべて経済的理由からでしょうか?
 
前述の報告から見てみると、理由の1位は「収入がほしいから」が45.4%ですが、「仕事そのものが面白いから、自分の能力を生かせるから」が21.9%、「仕事を通じて友人や仲間を得ることができるから」が4.4%、「働くのは体に良いから、老化を防ぐから」が23.5%となっています。
 
この結果からも明らかなように、新しいスキルや知識を学ぶことで自己成長を実感し、仕事にやりがいと満足感を感じることが重要だと認識しているシニア世代は多いです。また年齢が上がるにつれて、達成感や周りの人との関係性といった内的な動機付けが強くなる傾向があるとも言われ、非経済的理由が思いのほか大きいということがわかります。
 

新しいスキルと知識の獲得

老後も新しいスキルや知識を身につけることは、自己成長を促す重要な要素です。例えば、日々新しく市場に登場するデジタルデバイスやアプリケーションの使い方を学ぶことで、現代社会で起こるさまざまな話題を理解できます。
 
定年になったからといっても、第二の人生で「社会から取り残される」より「社会の成長とともに自分も成長させられる」ほうが充実した時間になるのではないでしょうか。
 

社会とのつながりと組織や人間関係の拡大

働き続けることで、社会とのつながりを維持できます。職場やボランティア活動を通じて、新しい人々と出会い、今まで知らなかった情報やものの見方、価値観を得る機会が増えるでしょう。
 
その結果、孤独感にさいなまれることなく豊かな日々を送ることができます。社会との交わりがなくなることで鬱状態になり、それが体の状態にも悪影響をおよぼすという話はよく耳にします。シニア時代を通院生活、入院生活で医療機関との往復に時間やお金を費やすことは誰もが望んでいないことです。
 

健康寿命=平均寿命へ

定期的に外出し、人と接するごとに他人を思いやったり、新しく入ってきた情報をインプット、アウトプットしたりする機会が増えれば、認知症の予防や身体機能の維持につながるでしょう。
 
仕事をすることはストレスが蓄積するだけでなく、時にはストレス解消にもなり、精神的な健康を維持させることができます。
 
内閣府の「令和5年高齢者白書」によれば、日本人の平均寿命は女性が約87歳、男性が約81歳、健康寿命は男性が約73歳、女性が約75歳となっています。見過ごしてならないのは、平均寿命と健康寿命の間、つまり「健康ではない期間」が女性で約12年、男性では約8年であるということです。この平均寿命と健康寿命のギャップは比較的長い国であるといわれています。
 
人として生を授けられたのなら、自分らしく充実した日々を過ごすこと、健康寿命と寿命が限りなく等しくありたいと誰もが願うことだと思います。
 
こういったことを実現するには、日ごろの心がけ、取り組みが必須になるということかと思います。
 

出典

厚生労働省 高齢者雇用対策の概要(2024年6月24日)
内閣府 令和5年版 高齢社会白書(全体版) 第2節 高齢期の暮らしの動向2 健康・福祉
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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