セカンドライフを考える 老後の暮らし、どうやってやりくりすればいい?
ファイナンシャルフィールド / 2019年1月21日 8時30分
社会人になってから毎日、会社のために働いているという方は多いと思います。数十年後にやって来る「定年」を境に、生活は一変します。今までできなかったことができるようになり、夢は膨らみます。 ただ、一方で、今までのような収入は確保できず、老齢年金のみの収入となります。一番の心配はやはり、一生涯、お金が足りるかどうかに尽きると思います。今からしっかりセカンドライフを想像し、どのような生活を送りたいかを考えてみてください。
老齢年金の収入額を知る
今までは給料が収入になっていたと思いますが、セカンドライフの収入は、働かないのであれば老齢年金に変わります。老齢年金は、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」に分かれます。
これら老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類とも貰える人もいれば、老齢基礎年金しか貰えない人もいます。以下、それぞれを見ていきましょう。
老齢基礎年金はいくら貰えますか?
老齢基礎年金は、国民年金の保険料の納付期間(免除期間などを含む資格期間)が10年以上あれば、原則65歳から貰えます。
貰える金額は納付した期間により異なります。20歳~60歳までの40年間に亘って納付した人は、年額77万9300円(平成30年4月からの1年間※)となります。つまり、月約6万5000円(77万9300円÷12ヶ月)です。
その額から介護保険料が控除される人もいるので、手元に残るのは6万円あるかないかです。※受給額は1年に1回、見直されます。
老齢厚生年金はいくら貰えますか?
老齢厚生年金の受給資格は、老齢基礎年金の受給資格があり、かつ厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上あることで、原則65歳から貰えます。簡単に言うと、サラリーマンとして働いて給料から厚生年金保険料が天引きされたことのある人は、ほとんどの人が貰えます。
複雑な計算となるので、計算式はここでは省略しますが、貰える金額は、現役時代の給料から天引きされていた、厚生年金保険料の標準報酬月額に応じて算出されます。
平成29年12月に厚生労働省が公表した平成28年度の厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、平均14万8000円です。
生活費(固定費)がいくら必要なのか?
貰える年金額が分かったら、あとは使う金額(生活費など)を考えていきましょう。
そもそも老後の生活費にいくら必要なのか。これは十人十色です。考えてもみてください。同じ家族構成であっても、生活の仕方で必要な生活費は異なります。まずは今、生活費にどれくらいかけているかを知ってください。
家計簿をつけている方は、だいたいの金額を把握しているでしょうが、つけていない方は、以下の方法で考えてください。
(1)通帳からの自動引き落とし額を合計する
(2)定期積立等、意識的に行っている毎月の積立額を合計する
(3)給料の手取り額から(1)と(2)をマイナスする
(4) (3)の金額と(1)の金額を足す
さて、いくらになりましたか? 家族構成にもよりますが、セカンドライフでは、この金額の6~8割で生活すると考えてください。
生活費は原則、老齢年金受給額の範囲内を意識する
老齢基礎年金のみの収入になる方(あるいはサラリーマン経験の少ない方)については、この収入だけで生活するのは厳しいと思います。
そういった方は、できるだけ早いうちからセカンドライフでの収入額を増やせる「小規模企業共済」「iDeCo」「国民年金基金」「付加保険料」を活用すべきです。これらの制度には、それぞれに加入条件があります。
老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類の年金を受給できる方は、可能な限り、これらの年金受給額で生活費を賄うべきです。それ以上かかるのであれば、生活費を見直すのも1つです。
今からできること
大切なのはずばり「現状を知る」ことです。今の「生活費」や「貯金額」、「将来入ってくる老齢年金額」、「将来入ってくる退職金額」、「将来入ってくる私的年金額」などを把握することで、老後不安の解消につながります。
最低でも、1年に1回は「現状の把握」に努めてください。
出典
厚生労働省「平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
日本年金機構「年金の受給(老齢年金)」
日本年金機構「老齢年金受給に必要な資格期間の短縮」
日本年金機構「老齢年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
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