相続するよりも破棄した方がいい3つのケース
ファイナンシャルフィールド / 2019年1月21日 9時30分
あなたの親族が死亡したとき、あなたは相続人となることがあります。相続人は、相続によって「相続財産」を引き継ぐことになります。また、相続財産は一般的には「遺産」といわれています。 もしあなたが相続人となったとき、相続財産は必ず引き継ぐものなのでしょうか。テレビドラマのように、親が借金を残して死亡したとき、その借金を相続人が引き継いで返済しなければならないのでしょうか。 このような疑問を解決するために、今回は相続について、知っておくべき基礎知識をご紹介いたします。
誰が相続人になるの?
死亡した人のことを被相続人といいます。基本的に、被相続人が遺言書を残していた場合には遺言に従い、遺言書がない場合には民法に従って相続人が定められます。
相続人は、代理権や扶養請求権などの被相続人の一身専属権などの例外を除き、被相続人に属していた一切の権利義務を包括的に承継します(民法898条)。
相続には3つのケースがあります。
相続には大きく分けて、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つのケースがあります。3つのうち限定承認と相続放棄は一定の手続きが必要ですが、単純承認は手続きを必要としません。
また相続人には、相続の承認をするのか放棄をするのかを決めるための期間が設けられています。この期間を「熟慮期間」といい、相続の開始を知ったときから3ヶ月以内となっています(民法915条1項)。
積極財産と消極財産について
積極財産とは、相続財産のうち預金、貯金、有価証券、不動産など金銭的な価値のある財産のことです。消極財産とは、借金などの負債や連帯保証人の地位などの不利益となる財産のことです。
相続人が相続するときは、相続財産を包括的に承継しなければなりません。相続人にとって有益な積極財産だけを相続するという都合のよい相続の方法はありません。
単純承認(民法921条)
単純承認は何の手続きも必要としないため、熟慮期間内に何も手続きをしなければ、すべて単純承認となります。これは最も事例の多い相続のケースといえるでしょう。
なお、次のような行為をした場合には、限定承認も相続放棄も認められず単純承認となります。
(1)相続人が限定承認または相続放棄の手続きをする前に、相続財産を消費してしまった場合。
→金融機関が被相続人の口座を一時凍結するのは、手続き前の消費を防ぐためという理由もあります。
(2)相続人が限定承認または相続放棄の手続きをするときに、相続財産を隠匿し、故意に財産目録に記載しなかった場合。
限定承認(民法922条)
限定承認とは、積極財産の限度においてのみ、消極財産の債務や弁済をすることを保留して相続することです。熟慮期間内での手続きが必要です。
積極財産>消極財産なら、消極財産の処理後の差額が承継する財産となります。
積極財産=消極財産なら、承継する財産はありません。
積極財産<消極財産なら、承継する財産はありませんが、負債を背負う必要もありません。
被相続人が事業などを営んでいたり、親族に対して秘め事が多かったりする場合など、積極財産と消極財産とが不明瞭であるときに有効な承認です。ただし、手続きに非常に多くの資料が要求され、実例は多くありません。
相続放棄(民法938条)
相続放棄とは、相続人が全面的に相続財産の承継を拒否することです。熟慮期間内での手続きが必要です。
被相続人に多額の負債があった場合、相続人に不利益をもたらさないように回避するために設けられた制度です。つまり、被相続人に消極財産が多かった場合には、利用すべき制度といえます。
また、相続放棄をした場合、放棄した相続人は、相続開始のときにさかのぼってはじめから相続人でなかったものとされます。相続放棄によって、他の法定相続人の法定相続分に増減が生じることがあります。
まとめ
相続は一般的には単純承認で構いませんが、被相続人に消極財産が多く、相続すると自己にとって不利益となる場合には、相続放棄をするのがよいでしょう。ただし、熟慮期間内に申述することが必要です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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