友人宅は、浴槽のお湯を「追い焚きで2日使う」そうです。節約になるそうですが、衛生的に大丈夫なのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月28日 4時30分
家庭内の生活習慣は人によってさまざまです。その中でもお風呂は、シャワーだけの家庭や毎日お湯につかる家庭、さらにはためたお湯を2日にわたって使う家庭など使用状況は大きく異なります。今回は、お風呂のお湯を追いだきして2日間使うメリットやデメリットを紹介します。
2日分同じ風呂水を使うと水道代が節約できる
まずは、2日間お湯を入れ替えずに浴槽に入る場合、減らせるコストについて考えます。
東京都内在住で、1リットル当たりの水道料金を0.24円として計算すると、浴槽に200リットル(0.2立方メートル)の水を入れたときの水道代は48円です。
水を2日に1回だけためて、2日に1回は残っている水を沸かして使うとなると、2日で1日分の水道代が浮くと推測できます。1ヶ月30日のうち15日分の水道代は、以下のように計算できます。
48×15(日)=720で、水の入れ替えを2日に1回にすれば、水道代を月に720円節約できることが分かります。
ガス代は変わらない
浴槽にためたお湯はどうしても冷めてしまうため追いだき機能を使うのですが、浴槽に水をためる場合にもガスで温めるのですから、結果として毎日ガスを使うため、水の入れ替えを2日に1回にしてもガス代は変わりません。
では、浴槽の水を温めるためのコストはどの程度になるのでしょうか。
まず、夏にかかる費用を考えます。夏には水道の温度が27度に達します。これを40度まで温めると仮定すると、温度を13度上げる必要があるということです。
浴槽の水を温めたときのガス代は次の計算式で求めます。
浴槽の水の量×上昇させる温度÷(熱効率×発熱量)÷基準単位料金(円/立方メートル)
給湯器の熱効率を80%、発熱量を1万755キロカロリー、基準単位料金を160.77円/立方メートル(1ヶ月のガス利用量が20立方メートルの場合)とすると、夏のガス代は以下のように計算できます。
200×13÷(0.8×1万755)×160.77=48.58
1ヶ月を30日として、48.58×30=1457と計算され、毎日水を温めるのに約1460円かかることが分かります。
寒い時期には大幅に温度を上げる必要がある
寒い時期になると水温が下がることから、風呂に入るには夏と比べて大幅に水温を上げる必要があります。11月における水道水の平均水温はおよそ15度で、これを40度まで温めるとなると、上昇させる温度は25度です。
夏の場合と同じく給湯器の熱効率を80%、発熱量を1万755キロカロリー、基準単位料金を143.61とすると、ガス料金は以下のように計算されます。
200×25÷(0.8×1万755)×160.77=93.42
つまり、毎日水を温めるのに約93円かかります。1ヶ月を30日として、93.42×30=2802となり、夏の約1460円と比べて約1400円高くなることが分かります。
2日目のお湯は衛生的に良くないのがデメリット
風呂水の入れ替えを2日に1回に済ませると、水道代はお得にはなりますが、大きなデメリットがあることを忘れてはいけません。残り湯を放置することで菌は圧倒的に繁殖するのです。
衛生微生物研究センターの調査結果によると、入浴人数が2人だった場合、1ミリリットルあたりの細菌数が入浴前に40だったのに対し、一晩放置させて培養させると入浴後は110に、一晩放置すると25万にまで増えたとなっています。
衛生面が気になる人は、2日に1回はたまった浴槽の水を使うのではなく、シャワーのみを利用するのもいいかもしれません。
人によりますが、シャワーで使う水量は風呂よりも少なく120リットルと仮定されます。10分間で120リットル使用する場合のガス代は、冬の場合120×25×(0.8÷1万750)×160.77=約36円と計算できます。1リットル当たりの水道料金が0.24円とすると、120リットル使っても120×0.24=約29円です。
水道代とガス代と足しても36+29=75円と、1日当たりのコストはシャワーのほうが20円弱安いことが分かります。
お風呂のお湯を2日使っても、大きな節約にはならない
今回は、お風呂のお湯を2日間使用した場合のメリットやデメリットを紹介しました。水道代だけで節約にはつながりますが、細菌が増殖してしまい、衛生面で懸念が出てきます。
そのためほかの方法で節約するのであれば、浴槽につかる代わりにシャワーを使うなどの手段が考えられます。節約も大切ですが、体への影響にも留意することも忘れないようにしましょう。
出典
東京ガス ガス料金表 一般契約料(2024年10月検針分)
株式会社衛生微生物研究センター お風呂の残り湯は使ってもよい?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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