45歳会社員、住宅ローンを「変動金利」で返済中です。“短期金利”が上がると聞きましたが、固定金利に借り換えるべきですか?「残高1500万円」ですが、影響はあるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月28日 5時10分
今年に入り「金利のある世界」という言葉が注目され、金利の上昇がトレンドとなっています。金利には長期金利と短期金利があり、今年の3月以降、長期金利がじわりじわりと上昇しています。 金利が上昇すると、借りている住宅ローンなどにも影響を与えるため、返済中のローンの立ち回りをどうしようか思案している人もいることでしょう。本記事では、金利上昇局面における住宅ローン返済について考えていきます。
ついに上がった“短期金利”
2024年7月の日銀の金融政策決定会合において、短期政策金利の誘導目標を0.15%引き上げ、0.25%程度とする方針が発表されました。これにより、メガバンク以下、金融機関における融資の基準金利の引き上げが随時行われるようになりました。
8月末から9月にかけて、地方銀行や信用金庫も追随し、基準金利を0.15%引き上げる動きを見せています。融資の基準金利は、変動型ですでに借りている人にとっても影響を与える状況となっています。
住宅ローン、金利上昇による影響をシミュレーション
多くの金融機関では、住宅ローン金利は「短期プライムレート(短プラ)」と呼ばれる指標に連動しています。金融機関によって「短プラ」を使うこともあれば、「基準金利」、独自基準で決められる「住宅ローン基準金利」などを使うこともあり、呼び方はいくつかあります。
それでは、金利上昇局面において、現在借り入れをしている人の返済負担はどれくらい増えるのでしょうか。現在の借入金利を0.75%と仮定し、今回の金利上昇局面で0.9%に上昇(+0.15%)、その後どうなっていくのかについて、2パターンに分けてシミュレーションしてみます。
0.15%上昇後、さらに1年ごとに0.15%、計3回上昇した場合
今回の金利上昇が毎年起こった場合のシミュレーションは以下の通りです。あくまでも3年間金利上昇が起こったと仮定したシミュレーションですので、参考程度にしてください。
1年目:8万9116 円
2年目:8万9975 円
3年目:9万1311 円
1年目:106万9392 円
2年目:107万9700 円
3年目:109万5732 円
●総返済額:1636万7268 円(うち利息分:136万7268 円)
0.15%上昇後、さらに1年ごとに0.3%、計3回上昇した場合
あまり想定されない状況ですが、さらに景気が好転し、金利上昇ペースが大きくなった場合はどうなるのでしょうか。
1年目:8万9116 円
2年目:9万0840 円
3年目:9万2455 円
1年目:106万9392 円
2年目:109万80 円
3年目:110万9460 円
●総返済額: 1654万2384 円(うち利息分:154万2384 円)
以上のように2つのパターンを比べると、2年目以降の返済金額および総返済額に大きな差が出ることが分かりました。
一気に金利上昇しても慌てることはないが……
前記のように変動金利が上昇すると、毎月の負担額もさることながら、総返済額が大きく変わってしまうことが分かりました。ですが、返済額に関して多くの金融機関が定める「5年ルール」と「125%ルール」と呼ばれるものがあるのはご存じでしょうか。
「5年ルール」とは、金利が上がっても5年間は毎月の返済額が変わらないというものです。「125%ルール」は、5年経過した6年目以降において、今までの返済額に対して125%の金額までしか上げることができないというものです。
「そういったルールがあれば気にする必要はないではないか」と油断してはいけません。金利上昇が大きくなり、125%ルールが適用されてしまうと「未払い利息」が発生します。125%で賄いきれなかった利息部分が返済の最終回に一括で上乗せされるというものです。最終回にローンを終えるために、さらにお金を借りたり、自宅を処分したりする可能性が高くなる、ということになります。
ローン期間は残り15年、最良の選択肢は?
これからの金利変動がどうなるのかは読めません。ですが、じわりじわりと変動金利が上がっていく可能性は否定できません。
それであれば今返済している住宅ローンの処遇をどうするのか考える必要があるかもしれません。まとまったお金が手元にあるのであれば一括返済すれば安心ではありますが、返せるだけの資産があるなら悩みませんよね。
そうなると残された選択肢は「今のまま条件変更しない」、あるいは「固定金利に借り換える」となるはずです。
前者は金利上昇におびえながら生活することになります。一方、後者は金利負担が大きくはなりますが精神的な安心感を得られるでしょう。幸いにも相談者はローンが残り15年と比較的短期間になりますので、当初10年固定金利型の住宅ローンを選択すれば、ある程度の負担は抑えられるかもしれません。
まずは借り入れをしている金融機関に相談したり、ネット検索してローンを比較したりするなどしてみるのはいかがでしょうか。
出典
日本銀行 2024年9月12日 わが国の経済・物価情勢と金融政策
執筆者:宇野源一
AFP
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