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年収の壁、超えたらどうなる? 短時間労働者が手取りを減らさない方法とは?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月29日 3時20分

年収の壁、超えたらどうなる? 短時間労働者が手取りを減らさない方法とは?

パートなど短時間労働者の方々には、夫など生計維持者の扶養の範囲内で働けるように、年収額を調整している人も多いでしょう。この年収額は、「106万円の壁」や「130万円の壁」など、いわゆる「年収の壁」と呼ばれています。もし「年収の壁」をうっかり超えてしまった場合、夫の扶養から外れ、自分で社会保険料を納めなければなりません。   ただし、場合によってはこの壁を超えてしまっても、社会保険料を納めなくてもよいケースがあります。今回は、年収の壁を超えても社会保険が適用されないケースについて紹介します。

年収の壁をおさらい

まずは、「年収の壁」についておさらいしていきます。妻がパートなどの短時間労働者として働いている場合、年収が一定以上になると、妻は夫の扶養から外れて、自分で健康保険料などの社会保険料を納める必要があります。
 
この扶養から外れる基準が、「年収の壁」と呼ばれているものです。社会保険料においてポイントとなるのは「106万円の壁」と「130万円の壁」です。

<106万円の壁>

1. 厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等
2. 週の勤務時間が20時間以上
3. 継続して2ヶ月を超えて働くことが見込まれる
4. 賃金の月額が8万8000円以上(年収106万円以上)

上記の方が、社会保険の加入対象となっています(学生を除く)。

<130万円の壁>

企業の従業員数にかかわらず、全ての労働者が社会保険に加入しなければならない基準の年収が、「130万円の壁」です。

 

106万円の壁を超えた場合

年収が106万円を超えても、企業によっては手取り金額が減らない場合があります。
 
現在、国は労働市場の人手不足に対応するため、短時間労働者に対し、年収の壁を超えて働くことを推進しています。その一環として「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」を実施しており、106万円の壁を超えて働いた場合、政府が企業に対して、労働者1人当たり最大50万円の支援を行います。
 
年収の壁を超えて働いた場合、労働者は社会保険料を自分で納めなければなりません。しかし、この助成金を受けている企業は、社会保険料の分を企業が補うなどの支援を行ってくれるので、手取りの金額は減らない可能性があります。
 
自分が働いている企業が、キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)の対象かどうか、確認してみましょう。
 

130万円の壁を超えた場合

次に、130万円の壁について見ていきましょう。
 
残業などにより、一時的に収入が増えて、年収が130万円を超えてしまうこともあるかもしれません。このようなケースでは、企業が「繁忙期の労働時間の延長によるもの」という証明を行えば、引き続き扶養の範囲内であると認定され、社会保険料を納めなくてもよくなります。
 
これは2つ以上の事業所に勤務している方も対象となり、人手不足に伴う労働時間の延長等を行った事業主から、証明書を取得する必要があります。自分の働き方でも被扶養者として認定を受けられるか、心配な場合は、加入している健康保険組合などに相談してみましょう。
 

まとめ

年収の額を調整しながら働いている人でも、繁忙期などに残業をすることがあるでしょう。うっかり年収の壁を超えてしまった場合、手取り金額を減らさない方法があることを知っておくと安心です。今回紹介した内容を参考にしながら、自分が働いている会社は、どのような取り組みをしているのか、調べてみるとよいでしょう。
 

出典

内閣府大臣官房政府広報室 「年収の壁」対策がスタート!パートやアルバイトはどうなる?
厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
 
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

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