民間の銀行が日銀にお金を預けるだけで、0.25%の利息が入ってくる!? 好転的な状況のなかで私たちがやるべきこととは
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月30日 23時0分
2024年10月30日から日銀の金融政策決定会合が開催されます。日本銀行が、7月30~31日の金融政策決定会合において、政策金利を0.25%に引き上げました。 この件はすでに報道を通して広く周知されていますが、金利が上がれば家計がどうなるのかといった視点で取り扱われています。 確かに生活者目線では、その視点は重要ですが、NISA(少額投資非課税制度)を活用して投資を行っている人にとっては、今後どのように判断すればよいか、気になるところです。 そこで今回は、金融政策決定会合で決まった「あること」についてクローズアップしていきます。
日銀は「いよいよ、大規模金融緩和政策を終わらせよう」と動き出した
日銀は毎回、金融政策決定会合で決まったことを資料として公表しています。
月30~31日の金融政策決定会合後の報道では、政策金利が0.25%に引き上げられたことと、国債の買入額を2026年3月までに3兆円程度にまで減額することが、クローズアップされています。
しかし筆者としては、「補完当座預金制度の適用利率」が0.25%に引き上げられたことに着目しています。
言葉が難しいので簡単に説明すると、民間の銀行が日銀にお金を預けるときの金利を0.25%に引き上げた、ということです。つまり、日銀は、民間の銀行から資金を吸収することで、事実上、マネーのフローを減らそうとしています。
これは市中に出し過ぎているお金を減らす動きですが、開催の前日に発表された「プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化」と合わせて見ると、事実上、本格的に金融緩和解除に向かい出したと捉える必要があります。
要するに、「これまでの大規模金融緩和政策はおおよそ終わらせ、これから金融政策を正常化していく」というメッセージとして受け止める必要があるということです。
銀行は日銀にお金を預けるだけで収益性が高まる?
ここまで踏み込んだということは、日銀は、今の経済状況を必ずしも悪いものとは考えておらず、むしろ、今後よくなっていくだろうと考えていることになります。
生活者目線では「景気が回復している」とは思えないかもしれませんが、マクロ経済政策においては、日銀は「景気が緩やかに回復していくだろう」と判断しているということになり、投資家目線ではこれを好感する動きが今後出てくるでしょう。
特に注目したいのは、銀行や保険、証券、消費者金融などの金融セクターですが、株式投資をする場合、この業界に着目すると収益率を高く見込める可能性があります。
このようなことがいえる理由は、単純に金利が上がるからともいえますが、より重要な点は、前述した「補完当座預金制度の適用利率」が0.25%に引き上げられたことにあります。
これは、民間の銀行が日銀にお金を預けるだけで、0.25%の利息が支払われることを意味するため、これを見るだけでも銀行の収益性が向上することが分かります。このような銀行業界の動きにつられるように、他の金融セクター株が上がっていくという構図です。
まとめ
投資初心者向けに「長期投資でほったらかし」をすすめる向きがありますが、投資についてよく分からない、勉強する時間がない、詳しいところまでは興味がない……などの声に対応した動きであることは理解できます。
しかし、長期投資を行う場合、中央銀行の金融政策をある程度理解する必要があります。なぜならば、中央銀行の政策スパンは、通常、長期だからです。金融政策に関する情報を探る場合、直接、日銀などのホームページにアクセスし、発表される一次情報に目を通すことがベターといえます。
今回の話は、あまり報道に乗ってこない内容かと思われますが、この話を知っているのと知らないのとでは、投資をするうえで大きく結果が異なります。難しい話には、チャンスがあるものです。物事を表面で簡単に捉えるのではなく、少し深いところまで潜って考える、よい事例といえるでしょう。
出典
日本銀行 金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
日銀、12月利上げへの準備進める~10月「主な意見」でここまで分かる~(愛宕伸康)
トウシル / 2024年11月13日 8時0分
-
市場安定の判断留保、利上げ急がず米大統領選後まで「見極め可能」=日銀10月会合主な意見
ロイター / 2024年11月11日 11時20分
-
金融株、空運株5選:金利上昇メリット大!日銀の追加利上げに備える
トウシル / 2024年11月6日 18時30分
-
【10月開催】日銀の金融政策決定会合直前! 0.25%への利上げによる家計への影響は? 7月の会合内容を振り返り
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月29日 9時40分
-
45歳会社員、住宅ローンを「変動金利」で返済中です。“短期金利”が上がると聞きましたが、固定金利に借り換えるべきですか?「残高1500万円」ですが、影響はあるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月28日 5時10分
ランキング
-
1クリスマスケーキに異変…『卵』の価格高騰止まらず 夏の猛暑の影響で今後は鳥インフルエンザによる卵不足の恐れも
東海テレビ / 2024年11月21日 21時22分
-
2業績悪化の日産、アメリカでの希望退職に1000人が応募か…世界で9000人削減方針
読売新聞 / 2024年11月21日 22時2分
-
3食用コオロギ会社、破産へ 徳島、消費者の忌避感強く
共同通信 / 2024年11月22日 1時18分
-
4さすがに価格が安すぎた? 『ニトリ』外食事業をわずか3年8カ月で撤退の原因を担当者に直撃「さまざまな取り組みを実施しましたが…」
集英社オンライン / 2024年11月21日 16時49分
-
5為替相場 22日(日本時間 8時)
共同通信 / 2024年11月22日 8時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください