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友人の夫は外科医ですが、激務で「1週間に1回」帰れたらいいみたいです。「意外と余裕ないよ」とのことですが、忙しくても“高収入”ではないのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月30日 5時0分

友人の夫は外科医ですが、激務で「1週間に1回」帰れたらいいみたいです。「意外と余裕ないよ」とのことですが、忙しくても“高収入”ではないのでしょうか?

「配偶者の仕事は医者」と聞くと「生活にゆとりがありそうでうらやましい」と考える人も多いのではないでしょうか?   確かに一般的に医師の給料は高いといわれることもありますが、勤務時間が不規則で休みも取得しにくいというケースもあります。昼夜関係なく激務だと「1週間に1度家に帰れたら良いほう」といったこともあるかもしれません。   本記事では、主に外科医として勤務する場合の就労実態や収入事情を紹介し、世間のイメージとギャップはあるのか解説します。

外科医の勤務実態

「外科医は同じ医師でもほかの科に比べると激務で大変」といったイメージを持つ人もいるかもしれませんが、労働時間はどうなっているのでしょうか。
 
一般社団法人日本外科学会が実施した「外科医師の勤務実態調査」によると、男女合わせた労働時間は全世代平均で週66.8時間、当直は週0.8回となっています。若年層になるほど労働時間が増える傾向にあり、20代だと週77.7時間、当直は週1.1回です。
 
仮に「1週間に1日休みをとる」場合、労働時間が週70時間だと1日あたり12時間近く働いている計算となります。
 
労働基準法では原則1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないとされています。業種や業界によって仕事内容や実態が異なるので一概には言えないものの、外科医は勤務時間が長いことが分かります。
 
外科医は医師の中でも激務といわれることも多いですが、その理由として次のようなものが挙げられます。
 

・昼夜、休日問わず仕事が入る可能性がある
・日勤や当直など勤務時間が不規則
・手術や急患対応などが連続で入ると家に帰れないこともある

 
外科医の種類にもよりますが、患者の容体に合わせて手術やその他の処置などを行わなければならないため、「勤務時間はあってないようなもの」といっても過言ではないのかもしれません。
 
厚生労働省が公表している医師の勤務実態についての調査によると、2022年調査において「時間外・休日労働時間が年1860時間超の医師の割合」は外科医7.1%となっています。仮に年1860時間だと単純計算で月155時間の残業をしている形となり、「外科医=ハードワーク」の実態が改めて浮き彫りになっています。
 
ただし、2019年の調査に比べると、どの科でも「時間外・休日労働時間が年1860時間超の医師の割合」は低くなっているので、環境は改善しつつあることが分かります。
 

外科医の収入は高い?

少し古いデータですが、労働政策研究・研修機構が出している2012年の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、外科医の平均年収は1374万2000円です。脳神経外科、産科・婦人科に次ぐ報酬規模で、一般的には医師の中でも高収入を得ていることが分かります。
 
ただ、収入は科ごとにはっきり決められているわけではなく、勤務先の経営形態や実態、医師の数などによって大きく異なることもあります。金額だけ見ると外科医は高収入ですが、長時間労働、医療事故や訴訟などのリスク、勤務時間外に呼び出しをうけることも多いことなどを総合的に考慮して「費用対効果が見合わない」と判断する人もいるかもしれません。
 
「激務でも年収1000万円以上あるならお金持ちでは?」と考える人もいるかもしれませんが、実際の生活を考えるうえでは手取り金額をみる必要があります。一般的に公表されている収入金額は額面であることも多く、実際は所得税や住民税、社会保険料などが控除されます。
 
以下の条件で手取り収入を計算してみましょう。
 

・東京都在住
・30代(介護保険料負担なし)
・月収110万円(年収1320万円)でボーナス(賞与)なし
・控除される内容は基礎控除、給与所得控除、社会保険料控除のみ(ふるさと納税や医療費控除などは考慮しない)

 
月収110万円の場合、健康保険料は年間65万2692円、厚生年金保険料は年間71万3700円です。給与所得控除を引いた分を課税所得額とすると年間1125万円となります。
 
所得税は基礎控除48万円を差し引いた1077万円に対して課され、税率33%、控除額153万6000円で税額は201万8100円です。住民税は課税所得額から基礎控除43万円を差し引いた1082万円に対して課されます。住民税は原則「課税金額×10%+均等割5000円」で計算され、税額は108万7000円となります。
 
所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料を差し引くと年収1320万円の場合の手取り収入は「約873万円」です。
 
日本は累進課税制度が採用されているため、年収が高くなるほど税負担は重くなる傾向があります。控除される金額は実際の勤務状況や加入する健康保険組合、居住地などによって変わるため、同じ年収でも手取り金額が異なることも少なくありません。
 
今回は外科医の夫の収入のみで計算しています。そのため、妻も働いていて収入がある場合などでは世帯年収が増えて手取り金額が変わることもあります。
 

まとめ

本記事では、医者は激務でも給料が高くてお金持ちといえるのか解説しました。「お金持ち」の定義やライフスタイルの価値観などは人それぞれ異なります。
 
「手取り年収1000万円」あったとしても、1日12時間以上仕事をして休日もあまりない生活をするケースもあり、高年収であれば心身ともに余裕があるとは言い切れないかもしれません。高い給料をもらうからこそ責任も大きい点も考慮しましょう。
 

出典

一般社団法人日本外科学会 ナショナルビッグデータを用いた新専門医制度の地域外科医療に及ぼす影響の評価研究
厚生労働省 第18回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 資料2令和5年10月12日 医師の勤務実態について
独立行政法人労働政策研究・研修機構 勤務医の就労実態と意識に関する調査
全国健康保険協会(協会けんぽ) 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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