59歳で退職間際の会社員。退職金「2000万円」で不労所得がほしいのですが、株で「月3万円」を得るなら、いくら買う必要があるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月30日 5時30分
アパート経営や駐車場経営など不労所得が得られる生活に憧れる人もいると思いますが、まとまった資金が必要ですから、普通の会社員では退職金を全てつぎ込んでも難しいでしょう。 しかし、「株は持っているだけで不労所得を得られる」と聞くと、資産運用の1つの手段になるのではと興味を持つ人も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、なぜ株を持っているだけで収入が得られるのか、また株をどれくらい所有すると月3万円の所得になるのかを解説します。さらに、このような株式投資のリスクも紹介しますので、参考にしてください。
なぜ株を所有するだけでお金がもらえるのか?
株式を保有すると収入が得られるのは、企業から「配当金」がもらえるからです。株主の特権として、株主優待を思い浮かべる人が多いかもしれません。
株主優待とは別に、企業によっては株主に対して利益を還元するために支払う配当金が得られます。年に1~2回ほど分配され、証券口座や銀行口座で受け取れます。
よく株式投資でイメージされる利益として、株の売却益、つまり株価が上昇したときに売却して得られるものを想像する人が多いでしょう。この株の売却益を「キャピタルゲイン」と呼ぶのに対し、配当金は「インカムゲイン」の1つであり、売却することなく継続的に得ることが可能です。
配当金の1株あたりの額は企業が決算後に株主総会を経て決めています。過去の配当、配当予想などは、証券会社のホームページなどでも調べられます。
月3万円の配当を得るには、株をいくら買えばいいのか?
それでは、配当金によって月3万円の不労所得を得るためには、株をいくら保有すればいいのでしょうか? それには株の「配当利回り」を把握する必要があります。
配当利回りとは、1株で1年間に得られる配当金を株価で割ったもので、「配当利回り=1株当たり年間配当金÷株価×100」の計算によりパーセンテージで表示されます。例えば、1株の株価が1000円だったとして、年間の配当金が10円であれば、配当利回りは「10円÷1000円×100=1%」です。
そのため、月3万円、年間に直して36万円の配当金を得るためには、配当利回りが3%の株の場合は1200万円分を保有する必要があります。明確な定義ではありませんが、配当利回りが3%を超えるような株は「高配当株」と呼ばれ、利回りが4%や5%を超える株もあります。
ちなみに配当金には20.315%の税金がかかりますが、個別の株式も対象となるNISA口座の成長投資枠(上限1200万円)を使って購入すれば非課税です。これらを踏まえると、図表1のとおり、配当利回り4%の株を保有すれば、1000万円以下の投資でも、月3万円以上の不労所得を得るのは不可能ではありません。
図表1
年間36万円(月3万円)の配当金収入に必要な利回りと株式の総額(筆者作成)
「株を保有するだけ」にリスクはないのか?
配当金を分配している株式であれば、保有するだけで「インカムゲイン」を定期的に得られます。それではこの投資手法にリスクはないのでしょうか? 売却を伴わないため、一見リスクは少ないようにも感じますが、実は大きなリスクが存在します。
まず、株式である以上、日々の株価の変動による損失、いわゆる「キャピタルロス」のリスクは避けられません。例えば、年間36万円配当金を得られたとしても、毎年株価がそれ以上下落すると、トータルで見た資産は減少してしまいます。
また、配当金は決算ごとに決められます。企業業績が悪化すれば、配当金が減額されてしまう「減配」や、配当金がなくなってしまう「無配」になる恐れは常にあります。投資する企業の収益性や株主への還元姿勢などを見極めて、個別の株式を選ぶ必要があることから、決して簡単な投資とは言えないでしょう。
むしろ、投資信託などを利用したインデックス投資などに比べると、難易度の高い資産運用手法とも言えます。そのため、退職金が出たからといって、目先の配当金ばかりを考え、一気に利回りの高い株式に偏って投資するのは、あまりおすすめできません。
まとめ
配当金のある株式を保有すれば配当金が得られ、さらに一定以上の利回りの株式であれば、1000万円以下の投資でも月3万円の不労所得を手にすることは可能です。しかし「高配当株」と呼ばれる個別の株式への投資は、銘柄選びをはじめ難易度が高く、一定のリスクがあります。
いずれにしても、本記事で紹介した方法以外にも、資産の運用には多様な手法があり、それぞれのリスクが付きまといます。今後、退職金など大きな金額を得る機会がある人は、どのように運用すればいいのか、これを機会に考えてみてはいかがでしょうか。
執筆者:松尾知真
FP2級
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