毎月の生活費がカツカツの40代夫婦です。現役世代で生活が大変なのに、老後になったら年金で暮らしていけるか不安です。将来年金はどのくらいもらえるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月4日 22時20分
定年退職後、原則として65歳から年金を受け取れます。もらえる年金額が会社員の頃の収入と比べて半分程度になったら、年金だけで生活することに不安を感じる人も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、老後にもらえる年金の平均月額をはじめ、65歳以上の夫婦2人の生活費などを解説します。その他にも記事内では、年金だけでは老後の生活費が足りそうにないときの対処法などをまとめていきます。
老後にもらえる年金の平均月額
老後にもらえる厚生年金受給者の平均月額は、図表1のとおりです。
【図表1】
60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 | 65歳以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 9万6583円 | 9万2895円 | 10万6853円 | 11万2992円 | 9万609円 | 16万7388円 |
女性 | 8万4623円 | 8万3049円 | 5万5477円 | 5万6063円 | 4万9763円 | 10万9165円 |
※厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成
会社員は厚生年金保険に加入し、原則として65歳以降に老齢基礎年金と老齢厚生年金のそれぞれを受け取ります。年金受給額は、厚生年金に加入していた期間や毎月の給与や賞与額によるため、一律ではありません。
一方、国民年金受給者の平均年金月額は5万6316円ですが、基礎年金のみでは5万3157円で厚生年金と比べるとかなり低くなっています。
また、年金を65歳からではなく、繰上げ受給によって60歳から65歳になるまでの間に受け取ると繰上げた月数×0.4%の減額率が適用されます。
年金の見込額を確認する方法
実際にもらえる年金額がどのくらいか予測できない場合は、ねんきん定期便を確認してみてください。ねんきん定期便は、毎年の誕生日月にはがきまたは封書で届き(年齢により異なる)、これまでや今後の加入実績に対する年金の見込額が記載されています。
その他にも「ねんきんネット」を活用すれば、今後の働き方や年金の受給開始年齢といった条件を指定したうえで、もらえる年金額がどのくらいになるかシミュレーションできます。
65歳以上の夫婦2人の生活費
総務省統計局総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年」によると、65歳以上の夫婦のみで無職世帯の生活費とその内訳は、図表2のとおりです。
【図表2】
項目 | 月平均額 |
---|---|
消費支出 | 25万959円 |
食料 | 7万2930円 |
住居 | 1万6827円 |
光熱・水道 | 2万2422円 |
家具・家事用品 | 1万477円 |
被覆および履物 | 5159円 |
保険医療 | 1万6879円 |
交通・通信 | 3万729円 |
教育 | 5円 |
教養娯楽 | 2万4690円 |
その他消費支出 | 5万839円 |
※総務省統計局「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」をもとに筆者作成
老後の生活費が心配な場合の対処法
老後の生活費を年金だけで何とかするのは難しい可能性が高いため、早いうちから対策を検討しておく必要があります。例えば「定年退職後も再雇用や再就職で収入を得る」「繰下げ受給で年金額を増やす」「貯蓄に取り組む」といった方法が挙げられます。
再雇用や再就職で収入を得る
定年退職後、すぐに働かない生活をするのではなく、再雇用や再就職を検討してみてください。働いて収入を得れば老後生活に備えて貯金できるうえ、厚生年金被保険者になれば老齢厚生年金の受給額を増やせます。
生活に余裕があるなら繰下げ受給で年金額を増やせる
十分な貯金がある場合にかぎりますが、繰下げ受給で年金の受け取り開始時期を遅らせて、年金受給額を増やすのも方法の一つです。繰下げ受給は、原則として65歳で受け取れる年金を66歳以後75歳までの間に繰下げると、1ヶ月に0.7%が増額され、最大84.0%まで年金を増やせる制度です。繰下げ受給によって適用した増額率は、生涯にわたって継続します。
老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方の繰下げも可能なので、そのときの状況に応じて決めてもよいでしょう。
早いうちから資産作りに取り組んでおく
早いうちから銀行口座に余裕資金を預けておく、積立保険や個人年金保険などで備えておく、NISAやiDeCoを活用するなど、資産作りに取り組んでおくとよいでしょう。ただ貯蓄をするのではなく、「何歳までにどのくらい貯めたい」と決めておくと、計画的に貯めていけるでしょう。
老後に備えて年金額や貯蓄額を増やす取り組みを進めておこう
会社員であれば、老齢基礎年金と老齢厚生年金のそれぞれを受け取れます。被保険者期間やどのくらいの収入を得ていたかによって年金額は異なりますが、会社員の給料ほどの金額をもらうのは難しいです。国民年金の第1号と第3号被保険者の人は年金受給金額が厚生年金より少なく、生活費がより不安になるでしょう。
年金だけで老後の生活費をまかなうのは厳しい可能性が高いため、できるかぎり定年後も働いて収入を得る、貯蓄をするなどして備えておくと安心です。
出典
厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
総務省統計局 家計調査報告〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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