飲食店でアルバイトをすることになりました。「労災保険」に加入すると言われたのですが、保険料は給料から天引きされるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月7日 22時0分
国民の「安心」や生活の「安定」を支える制度の一つに、社会保障制度があります。 公的医療保険や公的年金保険など社会保険については身近に感じる方が多いものの、働く人にとってのリスク対策として備える雇用保険や労災保険など労働保険については、なじみがないという方も多いようです。 今回は、労働保険のうち、業務上の病気やけがに備える「労災保険」について解説します。
労災保険のキホン
まず、「労災保険」とは、仕事中や通勤途上における病気やけが、またそれに伴う障害や死亡に対して治療費などが補償される国の制度です。正式には「労働者災害補償保険」といいますが、略して「労災保険」と呼ばれています。
例えば、飲食店でのアルバイト中に熱い鍋に手を触れてやけどを負ってしまった場合や、通勤途中に交通事故にあった場合、労災保険で治療費が補償されます。
原則として、パートやアルバイトを含め、1人でも労働者を使用している場合には、事業主は必ず加入手続きをしなくてはならない強制加入です。なお、労災保険の保険料は全額を事業主が負担します。
今回の質問の場合、アルバイト先で加入する労災保険では、給料から保険料が天引きされることなく、仕事中や通勤途上でのけが(病気)に対する補償が備えられることになります。
労災補償の種類には、1)療養(補償)等給付、2)休業(補償)等給付、3)傷病(補償)等給付、4)障害(補償)等給付、5)遺族(補償)等給付、6)葬祭料等(葬祭給付)、7)介護(補償)等給付などがあります。
業務を要因とするできごとにより療養を必要とする場合には、原則として傷病が治癒(症状固定) するまでの間、労災保険指定医療機関等での受診は無料で受けられます。
労災保険のメリットは何? デメリットはあるの?
労災保険のメリットとしては、仕事中に病気やけがをした場合でも治療費がかからないことや、働けなくなった期間中に賃金の一部が給付されることです。働く側にとって、デメリットはないと考えてよいでしょう。
ただし、あくまでも「仕事や通勤中に発生した病気やけが」に適用される制度であるため、通常の通勤ルートから外れて、立ち寄った先でけがを負った場合などには補償の対象外となります。
労災保険は、法律で定められた制度であり、加入を拒否することはできません。労働者の安全を守るために国が定めた義務であり、すべての働く人に公平に適用されるものです。労働者にとっては、負担は一切かからずにメリットを享受できる制度といえるでしょう。
労災保険の歴史と現状
今回の質問とは少し離れますが、働くにあたっての安心とともに、公的制度として、制度の背景や現状を知っておくことも大切です。労災保険は、もともとは建設業などの危険作業を伴う業種に対する補償として導入された制度です。ただし、最近では、あらゆる業種で「精神」疾患などのリスクも高まりつつあります。
2020年9月には、これまで判断しにくい(=認められにくい)といわれていた「会社の負荷(労働時間やストレス等)」を総合的に評価して、労災認定の判断を行うよう法律の一部が改正されました。
しかしながら、外傷的なけが等と異なり、精神疾患は医師でも診断は難しく、さらに業務が要因との判断には、証明するためのデータや書類の提出を求められる場合や判定までに時間がかかることもあります。会社が、労災を認めてくれないなどのトラブルも多く、訴訟に発展するケースも増えています。
いずれにしても、1人で抱え込まず、早めに社内の相談窓口や弁護士など専門家へ相談することが大切です。
まとめ
労災保険は、働く人が安心して仕事ができるようにするための制度です。保険料は、会社(事業主)が負担し、従業員(労働者)が支払うことはありません。
病気やけがにならないことが何よりですが、もしもの場合でも経済的にも精神的にも大きな助けとなるでしょう。
出典
厚生労働省 労災補償
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士
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