同じ年収600万円で「会社員」と「フリーランス」では、将来の年金額はどのくらい違いますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月8日 23時50分
会社などの組織に属さず、個人で仕事を請け負うフリーランスですが、会社員と加入する年金制度が異なります。そのため年収が同じだったとしても、老後にもらえる年金額が同じになることはありません。 本記事では、フリーランスが加入する年金制度をはじめ、フリーランスと会社員の年金額の違いを解説します。記事内では、フリーランスが年金の受取額を増やす方法もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
フリーランスと会社員は加入する年金が異なる
フリーランスと会社員は、加入する年金制度や支払う保険料の金額が異なります。働き方や暮らし方によって、年金の被保険者の種別や加入する年金制度は図表1のように分類されているからです。
【図表1】
被保険者の種別 | 加入する年金制度 | 職業 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 国民年金のみ | 自営業、フリーランス、学生、無職など |
第2号被保険者 | 国民年金と厚生年金 | 会社員や公務員 |
第3号被保険者 | 国民年金のみ | 第2号被保険者の配偶者(専業主婦など) |
※厚生労働省 日本の公的年金は「2階建て」をもとに筆者作成
フリーランスが加入するのは国民年金
フリーランスが国民年金に加入するのに対し、会社員は国民年金と厚生年金のそれぞれに加入するという違いがあります。
フリーランスが加入する国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人に加入義務があり、年金の加入期間によって受給額が決まる仕組みです。20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)を通して保険料を払い続ければ満額で受け取れますが、未納や保険料の免除期間、納付猶予などで加入期間が短い場合は、その分だけ年金が減額します。
なお、令和6年度の国民年金保険料は1万6980円ですが、年度ごとに見直し・金額に変更があるため、毎年同額ではありません。
国民年金保険料のみ支払うフリーランスに対し、会社員は国民年金に加えて厚生年金の保険料を支払っています。厚生年金の受給額は、支払った保険料と加入期間で決まるため一律ではありません。
保険料額は、給与に対して一定の保険料率をかけて計算します。給料が高い人ほど保険料の金額は高くなりますが、その分だけ受け取れる年金額も高くなる仕組みです。
フリーランスと会社員がもらえる年金額を比較
フリーランスが原則として65歳以降に受け取れる国民年金ですが、20歳から60歳までの40年間を通して保険料を払い続ければ、月額6万8000円(令和6年度)、年額81万6000円です。
厚生年金とは異なり、給料をどのくらいもらっていたのかは年金額に一切影響しません。フリーランスで年収600万円の人も無職の人も、同じ条件で保険料を支払っていれば、年金受給額が同じです。また、年金額も保険料と同様に年度ごとに見直しがあります。
年金受給額を減らしたくないのであれば、保険料の未納期間が発生しないようにしてください。これまでに保険料の免除・納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間がある場合は、承認された月の前10年以内の免除等期間に限りますが、保険料の追納をすれば年金額を増やせます。
なお、厚生年金に加入する年収600万円の会社員の場合、以下の条件にて厚生労働省の年金シミュレーターで試算したところ、年金見込み受給額は年額202万円となり、月額で計算すると16万8333円です。
・年齢:40歳
・就労開始年齢:22歳
・就労終了年齢:60歳
繰下げ受給で受け取れる年金を増やせる
フリーランスと会社員は、年収が同じでも年金受給額の差が大きいことが分かりました。iDecoやNISA、積立預金などで老後資金を準備する方法もありますが、その他に検討したいのが年金の繰下げ受給です。
年金の繰下げ受給とは、原則として65歳から受け取れる年金を66歳以降75歳までに遅らせて受け取る制度です。1ヶ月遅らせることで0.7%の増額率が適用され、年金を受け取った年齢が70歳ならば42%、75歳ならば84%にまで年金を増やせます。また、繰下げ待機期間中や年金の受給開始後に増額率が変動することはありません。
加入する年金制度によって受給額が異なることを理解しておこう
年収が同じでも、年金受給額が同じになるわけではありません。加入する年金制度によって、年金の支給条件が異なるからです。
国民年金と厚生年金のそれぞれに加入する会社員と比べて、国民年金のみ加入するフリーランスの年金額が少なくなることは避けられません。将来の年金受給額に不安がある場合は、早いうちから対策を検討して老後生活に備えましょう。
出典
厚生労働省 日本の公的年金は「2階建て」
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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