40代で「年収106万円」のパート勤務です。10月から社会保険に加入し、万一のときは「障害厚生年金」や「遺族厚生年金」がもらえると聞きました。この年収だと、いくら受け取れるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月10日 5時0分
2024年10月から社会保険の適用対象が拡大され、新たに社会保険に加入したアルバイトやパート勤務の人も多いでしょう。社会保険に加入すると、給与から社会保険料が天引きされますが、将来の年金が増えるとともに、障害厚生年金や遺族厚生年金、傷病手当金、出産手当金が受給できるようになります。 本記事では年収106万円(月給8万8000円)の40代パート勤務の女性が、障害を負ったり、死亡したりした場合に、どの程度の障害厚生年金や遺族厚生年金がもらえるのかについて解説します。また、病気やけがで働けない場合に受給できる傷病手当金の金額についてもシミュレーションします。
年収106万円のパート勤務の人が受給できる障害厚生年金とは?
配偶者の扶養(国民年金第3号被保険者)に入っていて、障害の程度が重い障害等級1・2級の場合、障害基礎年金を受給できます。年金額は次の通りです(2024年度の金額。1956年4月2日以後生まれの人の場合)。
●障害基礎年金1級:102万円+子の加算額
●障害基礎年金2級:81万6000円+子の加算額
厚生年金保険に加入し、障害を負った場合、障害等級1・2級については障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされ、障害等級3級やそれよりも障害の程度が軽い一定の障害の場合でも障害厚生年金(3級)や一時金である障害手当金を受給できます。
各年金の受給金額の計算方法は次の通りです(2024年度の金額。1956年4月2日以後生まれの人の場合)。
●障害厚生年金1級:報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金額(23万4800円)
●障害厚生年金2級:報酬比例の年金額+配偶者加給年金額(23万4800円)
●障害厚生年金3級:報酬比例の年金額(最低保証額は61万2000円)
報酬比例部分の計算は平均標準報酬額×0.005481×加入月数(300月未満は300月とみなす)ですので、年収106万円(平均標準報酬額が8万8000円)のパート勤務の女性の障害年金受給額(年額)は次のようになります(2024年度の金額で1956年4月2日以後生まれの人、子の加算、配偶者加給年金なし、加入月数は300月未満の場合)。
●障害等級1級の場合:約120万円
●障害等級2級の場合:約96万円
●障害等級3級の場合:約61万円
さらに3級より軽い一定の障害でも一時金として障害手当金(報酬比例の年金額×2、最低保証額は約122万円)が支給されます。
年収106万円のパート勤務の人が受給できる遺族厚生年金とは?
遺族基礎年金は、生計維持関係にあった「子ども」か「子どもを持つ配偶者」しか受給できませんが、遺族厚生年金は生計維持関係にあった配偶者、子、父母、孫、祖父母のうち、定められた優先順位が最も高い人が受給できます。
遺族厚生年金の年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額ですので、年収106万円のパート勤務の女性の場合の遺族厚生年金の金額は以下のようになります。
平均標準報酬額(8万8000円)×0.005481×加入月数(300月未満は300月とみなす)×3/4=約10万8000円(年額)
ただし、遺族厚生年金を受け取るのが夫の場合、妻の死亡時に夫が55歳以上でないと受給できません。また中高齢の寡婦加算の対象にもなりません。
病気やけがで働けない場合でも傷病手当金がもらえる
傷病手当金とは、病気やけがのために会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。
傷病手当金の1日あたりの金額は支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3となるので、年収106万円(月額8万8000円)の場合は1日あたり1955円です。連続して3日間休んだうえで、4日目以降30日間休んだ場合は、5万8650円の傷病手当金を受給できます。
傷病手当金は支給開始日から通算で1年6ヶ月間受給でき、今回のケースでは最大で約105万円を受給可能です。
まとめ
社会保険に加入することで、将来の年金額は増えますが、社会保険料が給与より天引きされ、毎月の手取り額は減少します。しかし、受給要件を満たせば、障害・死亡・就労不能に対する公的保障が受けられるようになります。
公的保障が充実する分、民間の生命保険などの保障内容・保険料を見直すことで、家計への負担を減らすことも可能ですので、検討してみてはいかがでしょうか?
出典
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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