娘のために貯めてきた「200万円」を夫の口座から娘の口座へ移しました。もしかして贈与税がかかるのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月10日 4時0分
子どもの進学や就職など、将来必要になるであろう資金を貯金している方もいるでしょう。しかし、実際に渡すときは、金額によっては贈与税の課税対象になるケースがあるため、注意が必要です。 課税されないためには、非課税になる項目やいくらまでなら問題ないかなどを知っておくことが大切です。今回は、子どもへ渡すお金が非課税になる条件や、課税対象になったときの税額などについてご紹介します。
多額のお金を一度に譲渡すると課税対象になる可能性がある
贈与税の基礎控除は110万円と定められているため、110万円を超える贈与は課税対象です。親子間であっても、多額のお金の譲渡は贈与とみなされる可能性があります。
もし200万円を一度に子どもの口座へ移動すると、基礎控除を引いた90万円が課税される金額です。国税庁によれば、課税価格が90万円のときの税率は10%なので、贈与税は9万円かかります。
贈与税は1年間の合計で計算する点に注意が必要
ただし、贈与税はその年の1月1日から12月31日までの1年間で受け取った財産の合計額で計算します。もし子どもが同じ年に200万円以外の贈与も受け取っていれば、税額が変わる点に注意が必要です。さらに、受贈者である子どもが成人していて贈与された相手が直系尊属なら特例税率、それ以外なら一般税率が適用されます。
今回は、同じ年に以下の条件で贈与されたときの税額を求めましょう。
・子どもは成人済み
・父親から口座移動で200万円
・祖父母から現金300万円
・母親から100万円
今回のケースだと、1年で受け取った贈与合計額は600万円です。基礎控除額を引いた490万円が課税金額になります。また、全員が直系尊属のため、適用されるのは特例税率のみです。
特例税率だと、490万円のときの税率は20%、控除額が30万円のため、税額は68万円になります。
なお、もし直系尊属と直系尊属以外の両方から受け取っていたときの税額は、以下の手順で計算した金額です。
1 すべての贈与を一般税率で計算し、実際に直系尊属以外の方から受け取った金額の割合をかける
2 すべての贈与を特例税率で計算し、実際に直系尊属の方から受け取った金額の割合をかける
3 1と2の合計額が納付税額
生活費や教育費としてなら非課税
贈与のなかには、税金がかからないとされている項目があります。国税庁によると、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」は贈与税がかかりません。そのため、子どもの口座に家賃や学費としてお金を送る分には、非課税になるでしょう。
ただし、非課税と認められるのは、必要になるたびに生活費や教育費のため使われた金額分のみです。例えば、子どもの入学金として送ったお金を子どもがほかの用途に利用したときは税金が課されるでしょう。
なお、生活費や教育費だけでなく、お年玉やご祝儀、見舞金なども社会通念上相当と認められる範囲であれば課税されません。明確な金額は示されていないため、子どもにお年玉やご祝儀として渡したお金が課税対象になるか分からないときは、専門家や税務署に確認したほうがよいでしょう。
条件を満たせば非課税で多額のお金を送れる制度もある
子どもへお金を渡す目的が明確なときは、制度の活用も検討しましょう。例えば、「教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置」では、直系尊属から入学金や授業料などの教育資金目的で送られるお金であれば、事前に手続きをしていると最大1500万円まで非課税で渡せます。
ただし、手続きをする前に送金した分は対象になりません。この制度を利用できるのは令和8年3月31日までです。また、教育資金目的以外で使用するとその金額は制度の適用外と判断されるため、注意しましょう。
200万円だと贈与税の課税対象になる可能性がある
贈与税は、生活や教育で必要になるたびに必要な金額を支払っているのであれば非課税です。しかし、目的外で使用したり多額のお金を一度に子どもの口座へ移動したりすると課税対象になるケースがあります。
もし子どものためにお金を贈与したいときは、年間110万円以内におさえるか、非課税制度を活用しましょう。合わせて、制度を利用するときは目的外で使用しないよう伝えておく必要があります。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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