新紙幣が発行されましたが、まだ「新札」を見たことがありません。世の中に「キャッシュレス決済」が多いと、入れ替わりが遅いのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月9日 2時0分
2024年7月に発行された新紙幣。4ヶ月が経過した11月時点で、目にする機会が少しずつ増えてきましたが、まだ旧紙幣と新紙幣が混在している状態です。新紙幣に完全に入れ替わるのはいつ頃になるのでしょうか? 本記事では、新旧の紙幣がどのくらいの時間をかけて入れ替わるのか解説します。
紙幣の入れ替わり
2024年7月、20年ぶりに新しい紙幣が発行され、1万円札は渋沢栄一、5000円札は津田梅子、1000円札は北里柴三郎が、それぞれ「お札の顔」となりました。新しい紙幣は徐々に世の中に出回り、旧紙幣と入れ替わりつつあります。
紙幣はどう入れ替わる?
旧紙幣と新紙幣に限った話ではありませんが、紙幣(日本銀行券)は国立印刷局で製造され、まず日本銀行に保管されます。その後、当座預金などを通じて各金融機関に渡り、世の中に流通していくのです。
さまざまな決済場面で使われ、金融機関を通じて再び日本銀行に戻ってきた紙幣は、汚れ方や破損の度合い、偽造物でないかなどを入念にチェックされます。そして再び世の中に戻せるものと戻せないものに分けられ、戻せないと判定されたものは、一部はリサイクルにまわされ、それ以外は焼却処分されます。
日本銀行によれば、紙幣の寿命は、1万円札が4~5年、5000円札や1000円札は1~2年とのことです。5000円札や1000円札の寿命が短い理由は、釣銭に使われるなど使用頻度が高いからといわれています。
何年で新紙幣に入れ替わる?
2024年7月に発行された1万円・5000円・1000円の新紙幣ですが、同年10月の本記事執筆時点で、筆者はまだ新5000円札を手にしたことがありません。紙幣が全て新紙幣に替わるには、何年くらいかかるのでしょうか。
前回は1年で60%
前回、新紙幣が発行されたのは2004年でした。このときは、1年間で全体の60%ほどが新紙幣に入れ替わったとのことです。1年かけて全体の60%しか入れ替わらないとしたら、たった4ヶ月が経過したばかりでは、新紙幣の流通量はそれほど多くないと納得できる気もします。
今回の入れ替わりは遅い?
また、今回の新旧紙幣の入れ替わりは、前回より長期間かかるとの説もあります。その理由は電子マネーなどキャッシュレス決済が増え、紙幣の利用自体が減っているからです。
旧紙幣が発行されたのは2004年ですが、この当時は現在ほど電子マネーが普及していませんでした。今は多くの店舗で使えるSuicaでさえ、同年3月に、やっと乗車券以外のショッピング利用ができるようになったばかりで、対象も駅構内の限られた店舗に限られていたのです。PayPayや楽天ペイなどは、まだ登場前でした。
現在では各種の電子マネーが普及し、現金を使う機会は確かに減少しています。そのため紙幣が新旧交代するまでの期間は、やはり前回より長くかかりそうです。
まとめ
新旧の紙幣が入れ替わるのには年単位の時間がかかることが分かりました。電子マネー決済が普及した今は、相当の時間がかかるかもしれません。
おつりなどで新紙幣を受け取ると、旧紙幣と貨幣価値は同じだと分かっていても、なんとなくうれしくなって、手触りや「すかし」などをチェックした人もいるのではないでしょうか。20年に一度、新紙幣を発行する理由は偽造防止とのことですが、世の中にこうした楽しみも提供しているのでは、と思われます。
出典
日本銀行 銀行券の一生
日本銀行 お札の寿命はどれくらいですか? 使えなくなったお札はどうなりますか?
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士
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