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近所の和菓子屋が「栗」を「1キロ1000円」で買い取ってくれます。自宅近くにたくさん栗が落ちているのですが、拾って売っても大丈夫なのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年11月9日 5時20分

近所の和菓子屋が「栗」を「1キロ1000円」で買い取ってくれます。自宅近くにたくさん栗が落ちているのですが、拾って売っても大丈夫なのでしょうか?

秋が深まり、店頭で栗が並んでいたり、栗が道端に転がっている光景を目にしたりする機会も増えるでしょう。目に映る季節の光景だけでなく、実際に栗を味わうことも秋の楽しみの1つです。   しかし、道端に落ちている栗を拾うことに問題はないのでしょうか。本記事では、そんな身近な自然の恵みである栗を拾う行為について解説していきます。

木に生えている栗は誰のもの?

まず私有地にある「木」はその土地の所有者のものです。またその土地にある木から得られた産出物を「天然果実」といい、これらも同じく土地の所有者のものとなります。つまり「栗」は栗の木が生えている土地の所有者のものであるというわけです。
 
この「天然果実」とは必ずしも「くだもの」とは限りません。「所有者の土地で、所有者の管理のもと得られるもの」なので、畑の米や野菜、飼っているニワトリのたまごなどもこれに該当します。
 

落ちている栗を拾うのは違法?

果物が木から落ちたら、所有者の権利はどうなるのでしょうか。民法89条1項では「天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する」とあるので、栗が木から落ちたとしても、その木の所有者に引き続き所有権があります。
 
もしも自分の土地のものでない栗を拾うとどうなるでしょう。
 

他人の私有地の場合

栗の木がある場所が他人の私有地である場合、土地の所有者の許可なく栗を拾うことは、その私有地の所有者の所有権を侵害することになり、窃盗罪に該当する可能性があります。特に栗を拾うために無断で私有地に侵入した場合は、住居侵入罪にも抵触することになるでしょう。
 
窃盗罪が適用されると10年以下の懲役または50万円以下の罰金が、住居侵入罪では3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。栗の落ちている場所が、山林や里山であっても、その土地が誰かの所有地であれば、同じように罪になります。
 

公道に落ちている場合

栗が私有地の外に転がり出て、公道に落ちている場合はどうでしょうか。
 
落ちている栗であっても、その栗の所有権は土地の所有者にあります。たとえ栗が公道に転がり出ても、その栗は依然として私有地の所有者の財産とみなされるのです。栗そのものが土地の所有者のものである以上、栗の落ちている場所が敷地内であっても公道であっても、他者が拾うことは法律上問題があるということになります。
 
ただし、栗が私有地外に出た場合は、厳密にいうと所有者の占有から離れることになります。つまり「落とし物」のような状態です。この状態の栗を拾った場合は、他人の占有を離れた物を横領したとして、占有離脱物横領罪の1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料が成立する可能性があります。
 

公園や公共施設に落ちている場合

公園や公共の施設に栗の木がある場合、その施設は「市民のもの」なので、市民であれば問題ないか、というとそうではありません。施設が市民の税金で市民のために作られていても、施設の所有権は自治体にあります。自治体によっては公共施設での無断の果実採集は条例違反となることもあります。
 
施設側が「果実の採取は自由」と明言していない限りは、無断で栗を拾うのはやめましょう。
 

まとめ

道に栗が落ちていたとしても、栗の所有権は栗の木がある土地の所有者のものです。そのため無断で栗を拾う行為は刑法に抵触し、刑罰を受ける可能性があります。もしも私有地や管理されている施設で栗を拾いたいのであれば、必ず所有者や管理者に許可を取るようにしてください。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
e-Gov法令検索 刑法
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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