実家をリフォームして二世帯住宅にする予定です。リフォームでも住宅ローンを組んで控除も受けられますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月11日 5時0分
実家をリフォームして二世帯住宅にする場合、住宅ローンを組むことは可能なのでしょうか。また、税金の控除を受けることも可能なのでしょうか。 今回のご相談者さまは夫婦共働きで、小学生と幼稚園児の2人の子どもがいます。 共働きで小学生と幼稚園児のお子さんを持つAさんは、実家を二世帯住宅にリフォームすることを決意。しかし、「リフォーム費用を誰が負担するのか」「住宅ローンはどうなるのか」「相続はどうなるのか」など、多くの疑問が浮かび上がりました。 このようなAさんのケースを参考に、実家を二世帯住宅にリフォームする際の注意点について解説していきます。
リフォームでも住宅ローンは組める?
結論からいうと、リフォームでも住宅ローンを組むことは可能です。新築住宅を建てる場合だけでなく、既存住宅のリフォームにも適用されるローンがあります。
特に、二世帯住宅へのリフォームはバリアフリー化など、一定の条件を満たせば「長期優良住宅化リフォーム推進事業」といった補助金制度を利用できる可能性もあります。上手に活用すれば、金利負担を軽減できるでしょう。
住宅ローン控除は受けられる?
気になる住宅ローン控除ですが、リフォームでも一定の条件を満たせば適用可能です(※1)。
主な条件は、以下のとおりです。
・床面積要件 : リフォーム後の床面積が50平方メートル以上であること
・居住期間要件 : 入居後、10年間継続して住むこと
・借入金額要件 : 1000万円以上(一定の場合、100万円以上)であること
お子さまがいらっしゃる子育て世帯の場合、さらに有利な控除を受けられる可能性があります。例えば、「住宅借入金等特別控除の控除額の特例」により、控除額が最大50万円に引き上げられることがあります(※2)。
ここで重要なのが、住宅ローン控除を受けるための条件です。原則として、ローンを組む人と住宅の名義人は一致している必要があります。Aさんの場合、実家は父親名義のため、以下の3つの選択肢が考えられます。
・メリット:手続きがシンプル
・デメリット:名義変更費用が先に発生する。贈与税が発生する可能性もある
・メリット:名義変更費用を後払いにできる。親の状況が変わっても対応しやすい
・デメリット:住宅ローン契約が名義変更後になる。贈与税が発生する場合がある
・メリット:適切な持分登記により贈与税を回避できる。親も住宅ローンを組むことが可能で、住宅ローン控除が適用できる
・デメリット:将来、売却手続きが複雑になる可能性がある
Aさんは、贈与税や将来の相続も考慮し、専門家と相談のうえ、3番目の方法を選択しました。
将来の相続を見据えた対策を
二世帯住宅のリフォームと同時に、将来の相続を見据えた対策も重要です。特に注意したいのが、小規模宅地等の特例です。これは、一定の要件を満たす住宅用地などを相続した場合、その土地の相続税評価額を減額できる制度です(※3)。
この特例を利用するためには、二世帯住宅を共有名義にしておきましょう。区分所有で登記すると、特例を受けることができません。
親からの資金援助はどうなる?
両親から資金援助を受ける場合、贈与税の発生が気になるでしょう。
住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用すれば、一定の金額までは贈与税がかかりません。ただし、適用には年齢制限や住宅の床面積などの要件がありますので、注意が必要です(※4)。
補助金の有効活用
以下のような、いくつかの補助金制度があります。それぞれの要件を満たす必要がありますが、省エネや耐震、バリアフリー等は、居住者にもメリットが大きいので検討しましょう。
■長期優良住宅化リフォーム推進事業
既存住宅の性能向上や、子育てしやすい環境等の整備に資する優良なリフォームを支援する制度です。一定の要件を満たせば、最大で80万円の補助を受けることができます(※5)。
■子育て世帯への支援
子育て世帯に対する、控除や支援策も活用できる可能性があります。現在、地域によっては子育て支援としてのリフォーム補助金が設けられていることもあるため、最寄りの自治体に問い合わせることをおすすめします。
これらの支援制度は毎年見直しが行われるため、常に最新の情報を参照するようにしてください。
まとめ
実家を二世帯住宅にリフォームすることは、家族の絆を深め、より快適な暮らしを実現する素晴らしい選択です。
しかし、二世帯住宅特有の住宅ローンや税金、相続など、さまざまな専門知識が必要となります。親世帯・子世帯どちらがローンを組むか、どちらがより多くの費用を負担するかなどによって控除額が変わってきます。
Aさんのように、将来を見据えた最善策を選択するためにも、早めにFPなどの専門家に相談することをおすすめします。
出典
(※1)国土交通省 住宅ローン減税 Q&A(2024年4月更新)
(※2)財務省 住宅ローン控除の拡充(令和6年度改正)
(※3)国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
(※4)国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
(※5)国土交通省 令和6年度も長期優良住宅化リフォームを支援します!
執筆者:植田周司
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)
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