ATMで振込先を間違えた…!相手の連絡先が分からない場合、銀行で対応してもらえますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月11日 4時10分
「ATM(現金自動預払機)などで振込先の入力を誤ったらどうなるのだろう」と考えたことがある人もいるでしょう。 誤って送金した先が知人なら連絡をとって返金を頼めますが、相手の連絡先が分からないときはそうはいかないでしょう。その場合、金融機関に返金手続きを依頼する必要があります。 しかし、必ず返金してもらえるとは限らず、受取人の対応次第では裁判に発展するなど、複雑化することも想定されます。今回は、ATMなどで振込先を間違えた場合の対処法について解説します。
振込先に連絡できない場合は「組戻し」が必要
振込先の連絡先が分からない場合は、「組戻し」と呼ばれる返金手続きを振込元の金融機関に依頼することができるようです。
組戻しは、金融機関のコールセンターや店舗窓口などから依頼できます。以下の手数料や書類などを求められることもあるため、ホームページなどで事前に確認するといいでしょう。
・手数料(600~1100円程度で、金融機関によって異なる)
・本人確認書類
・引き落とし口座のキャッシュカード、もしくは通帳
・届出印
・ATM振込時の利用明細票
組戻しの依頼が受理されれば、次の流れで手続きが進められます。
1. 振込元の金融機関が、振込先の金融機関に連絡
2. 振込先の金融機関が、受取人に連絡し、返金の意思を確認
3. 振込先の金融機関が、振込元の金融機関に結果を報告
4. 振込元の金融機関が、振込人に結果を報告(受取人の承認を得られた場合は、返金処理)
以上のように、返金を受けるためには受取人の承認が必要です。受取人と連絡がとれなかったり、出金許可を得られなかったりした場合は、金融機関はそれ以上の介入ができない可能性があるようです。金融機関によっては、組戻しの手数料も返金されないおそれもあるため注意が必要です。
また、承認を得られたとしても、手続きには一定の時間を要します。本来の振込先に早急に入金しなければならない場合、組戻しを待っていると間に合わないおそれがあるでしょう。
返金意思を確認できなければ訴訟を提起するほかない
受取人と連絡がとれなかったり、返金を拒否されたりした場合は、返金を諦めるか、不当利得返還請求訴訟を提起するかの2択となるでしょう。訴訟の根拠としては、民法第703条が該当すると考えられます。
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
ただし、訴えを起こすためには、相手の特定が必要です。銀行は個人情報を開示しない可能性が高いため、弁護士などに依頼する方法が現実的でしょう。弁護士は、受任している事件について必要な情報を得るため、弁護士法第23条の2に基づいて情報の照会を求める権利を有しています。
弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
返金手続きは金融機関に依頼できるが、受取人の承認を得られなかった場合は自力で対応する必要がある
誤って送金した相手に連絡できない場合は、振込元の金融機関に「組戻し」という返金手続きを依頼することが可能です。
依頼された金融機関は、振込先の金融機関を介して、受取人の返金意思を確認します。受取人が返金を承認すれば解決ですが、連絡をとれなかった場合や、承認を得られなかった場合は、返金を諦めるか、不当利得返還請求訴訟を提起するしかないでしょう。
以上のように、ささいなミスによる誤振込も、受取人の対応次第では裁判に発展する可能性があります。こうした事態を回避するためにも、送金の手続きは慎重に行いましょう。
出典
デジタル庁 e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百三条
デジタル庁 e-Gov法令検索 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第二十三条の二
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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